漢字、仮名共に上から読んでも下から読んでも同じ読みになる回分駅、瀬戸瀬。これは「セッ・ウシ・イ」が語源となっていて、アイヌ語で鳥の巣の多い所という意味である。
瀬戸瀬の隣には丸瀬布側に伊奈牛、遠軽側には
新栄野という駅が存在していたが、伊奈牛は1990年、
新栄野は2006年に廃駅となっている。瀬戸瀬の駅周辺においても寂れた集落地帯となっていて、現在駅近くにあるのは郵便局やコミュニティセンターくらいだが、半分をJR社員の休憩室で占められていて、少し手狭な瀬戸瀬の駅舎の待合室の中にある駅ノートの書き込みを見てみると、かつては映画館や中学校が存在するほど人が多く住んでいた地であり、さらに瀬戸瀬の中学校からは北海道知事も輩出したという歴史も持っている。
瀬戸瀬に停車するのは普通列車のみで、特急、特快には見向きもされず、かつては朝1本、夕方以降に3本のみという列車到達難易度が非常に高い駅で、当時の私でさえ瀬戸瀬の訪問をどう攻略するか頭を悩ませた。しかし2019年3月のダイヤ改正で昼間に上川~遠軽間を往復してくれる普通列車の運行を始めたおかげで、明るいうちに訪問することが可能となった。
上川11:10発の列車に乗れば、瀬戸瀬には12:30に到着。1時間後の13:39に折り返しの旭川行きの列車に乗るのが最もベストな瀬戸瀬の訪問方法である。瀬戸瀬と聞いて瀬戸瀬温泉を思い浮かべるかも知れないが、そこへは遠軽の駅または駅から20分ほど離れた瀬戸瀬小学校のバス停から遠軽の町営バスに乗らなければならない。しかもバスの本数は非常に少ないので、足がなければ泊まりがけということになる。
瀬戸瀬から旭川行きの列車に乗った時は地元の乗客が一人だけ乗っていたが、その人は隣の丸瀬布で下車してしまい、そこから上川まで乗客は私一人だけという貸し切り状態になった。上川~
白滝間の峠越えの普通列車は昔から乗客がいない区間であったが、現在もその状況は変わっていない。
(2020.2.26)