木造モルタル駅舎の前に松の大木が1本そびえ立つ姿が印象的な駅、下徳富。駅前には農業倉庫があり、構内には使われなくなった貨物用のホームが残されていて、かつては農作物の積出駅としての役割を担っていたことを偲ばせてくれる。駅舎の中に入ってみると、窓口は板で塞がれているが、きっぷ売り場とチッキという、昔ながらのレイアウトだ。
下徳富の駅舎内で特筆すべきなのは、その売り場とチッキの間の柱の部分に暖炉が埋め込まれており、青く錆びついた銅板の扉も非常に貴重的だ。実際遠くから駅舎を眺めてみると、煙突があり、それが中の暖炉へとつながっているのだろう。今でも使えなくもないが、安全上、使わない方がいいかも知れない。
およそ2か月前に札沼線の末端区間の全駅訪問チャレンジの時、台風の影響で列車が止まり、下徳富のみ列車による乗下車ができなくなってしまい、その代わりとしてバスに乗って下徳富にアクセスしてみた。国道275号線上にあるバス停から駅までは徒歩で約10分ほど離れているが、その時の訪問時はバスを降りた後、30分後に反対方向から乗らなければならないバスが来るので、急ぎ足で歩き、駅の写真を何枚か撮ってまたバス停に戻るという行程だった。1日1往復の末端区間とほぼ並行して浦臼から新十津川役場を経由して滝川へ行くバスは1日4往復運行され、乗客もさほどいないため、列車の本数が減らされてもさほど影響がないという印象を受けた。
そんな下徳富の列車での訪問未達成が心残りとなって、前々から飛行機のチケットを購入して、北海道を再訪問。11月ながら、まさかの大雪に見舞われ、下徳富も辺り一面雪景色となったが、それはそれで素晴らしい景色を見せてくれた。
新十津川を目指す多くの鉄道ファンを横目に下徳富に下車し、駅の写真と駅ノートの書き込みをしていたら、あっという間に折り返しの列車がやって来る。下徳富の訪問で、札沼線の末端区間でやることは全てやり切ったという達成感が湧いた。
(2018.11.23)