海抜マイナス140メートル。駅の中では我が国で最も標高が低いところにある吉岡海底は、世界最長の海底トンネルである青函トンネルの中にある。海底駅と聞くと、水族館のように天井に魚が泳ぐ姿を想像してしまうかも知れないが、正式には「定点」と言って、列車火災等の緊急時における避難所として設けられたものである。

 時刻表上では駅となっているが、ここではあらかじめ海底見学の予約を申し込んだ人しか下車することができない。見学者は係の人の指示に従って海底内の見学をすることになっている。

 一口にトンネルとは言っても、列車が走る本坑だけでなく、本坑を掘るために造られた作業坑、地質調査を兼ねてトンネルを造るコース取りに一役買う先進導坑など、トンネル内は沢山の坑道があるので単独行動では間違いなく迷子になってしまう。

 吉岡海底は利用客誘致の為、平成10(1998)年からドラえもん海底見学コースを設け、ドラえもん広場を作って好評をもたらしたが、広場がある所の本当の目的は、軌道や電気の保守や故障車が発生した時の保守用車を収容するための横取基地である。

 現在は見学者が吉岡海底から地上に出ることは許されていない。様々な業者が出入りをしていて、見つかったら怒られてしまうのだという。

 ホームがトンネル内で、デジカメでは納得した撮影ができない理由で今まで吉岡海底の訪問を敬遠して来たが、3月18日のダイヤ改正で北海道新幹線の工事を理由に、この駅の定期列車による海底見学コースを取りやめしまうため、急きょ吉岡海底の見学をする運びとなった。

 見学時間は1時間40分と素人目にしてみたら、けっこう時間があると思われがちだが、坑道が迷路のように入り組んでいるため、係の人も全てカバーができず、説明もやや駆け足気味だった。

 「何回も来てくれれば色々な所に連れて行ってあげるんだけど…」と係の人が言っていたが、残念ながら私の吉岡海底の海底見学は一度きりで終わってしまいそうだ。

                                                                (2006.2.21)
吉岡海底の駅名標


ホームに戻る
隣の竜飛海底に戻る 路線別リストに戻る 都道府県別リストに戻る 隣の知内に進む
吉岡海底の正式名称、「吉岡定点」
Yoshioka-kaitei
現在はドラえもん広場に使われている横取基地
本坑と並行して作られた作業坑
吉岡海底