支援費制度
2003年4月から始まる「支援費制度」についてのコーナーです。
サービスの受け手側は今までの「措置制度」では住んでいる市町村から紹介された限られたサービスしか受けられませんでしたが、「支援費制度」では自らが選択できるようになります。
サービスの提供側は今まで社会福祉法人を持っている企業、団体に限られていましたが、これからは法人資格のある企業、団体なら自由にサービスを提供できるようになります。
 国としては受け手側が自由にサービスを選べるようにすることにより、企業を競わせ、安くて、質の高いサービスの供給を目指すみたいです。 
 今までは社会福祉法人の資格を得れば、大きな事故を起こさない限り、、安泰な経営が約束されましたが、一般企業との平等性を保つため、助成金のカットなどが行われ、勝ち組、負け組みに分かれる時代がくることが予想されます。 
 
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2003年1月24日朝日新聞社説より

■障害者支援――地域福祉の名が泣く

 厚生労働省の周辺に、連日のように車いすの人たちがやってくる。日が暮れても、建物の前から動こうとしない。

 4月から新しく始まる支援費制度を目前にして、厚労省が突然、地域での生活を支えるホームヘルプサービスに実質的な「上限」を設ける方針を打ち出したからだ。

 障害者や支援団体は、危機感をつのらせ、抗議の声をあげている。

 支援費制度は、高齢者の介護保険のように、一定の自己負担とともに、どんなサービスを受けるか、どの事業者を使うかを障害者自身が選べるようにするものだ。ホームヘルパーから食事や入浴などの介助を受けて、地域で暮らすことも夢ではなくなると障害者や家族は期待していた。

 その中心となるのは、自治体が行うホームヘルプサービス事業だ。国は10年ほど前から費用の2分の1の補助金を出して、その育成をはかってきた。

 ところが、厚労省は実績にあわせて出してきた補助金の配分を変える考えだ。

 来年度からは全身に障害のある人で月120時間程度、重い知的障害の人は50時間など、平均利用時間から割り出した障害別の基準にもとづいて人数分の補助金を支給することにしたいというのだ。

 「全国一律のサービスが受けられるよう公平に配分するためだ。上限ではなく基準と受け取ってもらいたい」と厚労省は説明している。

 しかし、これから取り組む自治体では、国の基準がそのままサービスの上限になる可能性が高い。一方、手厚いサービスを行ってきた自治体では補助金が減らされ、サービスが低下する心配がある。

 努力を重ねてきた自治体は、自分たちへの補助金を削って何もしてこなかったところに回すのか、と反発している。

 障害者も支援団体も無制限に補助金を出せと言っているのではない。「限りある大切な補助金だからこそ、今の案をいったん白紙に戻して、有益な配分方法を当事者と一緒に考えてほしい」と訴えているのだ。もっともな提案ではないだろうか。

 熱心な自治体はこの補助金を活用し、障害者の切実な声に応えてサービスの拡充につとめてきた。厚労省も上限を設けることなく、ひとりひとりの障害に応じたサービスを提供するよう指導してきた。

 その結果、1日10時間以上の介護が必要な重度の障害者も施設から出て、アパートやグループホームなどで暮らすことができるようになった。

 厚労省の方針が実施されると、せっかく地域で生活を始めた人たちが、また施設に戻らなければならなくなる恐れも強い。

 来年度からの「新障害者プラン」で厚労省は「施設から地域へ」という基本方針を打ち出したばかりだ。それなのに、「利用者本位」の支援費制度の内実がこんなことになっていいはずはない。


2003年8月20日更新
「脱施設」に関する記事が朝日新聞に掲載されました。
いつも気になるのが「欧米諸国は何十年前から脱施設を始めたけど日本はまだ作っている」ということば。
いろんな方が使われますが、解体された「欧米諸国の施設」はとんでもなく規模が大きく、なかには3000人をこす知的障害の方々を山奥に移住させ、村を作ってしまった国もあります。片や日本の大規模施設と言えば国、県運営による「コロニー」と呼ばれる建物が何棟も集まってできた集合体です(大学のキャンパスみたいです)。(1000人を超すことはないです)しかも、この「コロニー」は最近は建設されず、施設が建設されても入所者数100人以下。ユニット形式といって10名ぐらいの生活空間で仕切られているのがほとんどです。
「欧米諸国が脱施設だから日本も脱施設」ではなく、「好きな物が食べれる」、「好きな時間に寝られる」当たり前の生活環境実現のため同一生活区間人数の少人数化する必要があるという表現の方がいい気がします

何ですぐに「欧米では***だから日本も***するべきだ」という表現を使うのかさっぱりわかりません。根本的に人口密度など環境が違うので、「欧米」など関係なく、対象になったことのことだけを考えればいいような気がします。
自分に言わせれば「欧米福祉」は大したことないです。一般的に言われる「欧米福祉」は「ドイツ」、「アメリカ」、「北欧」などのそれぞれの良いところをあわせた現実には存在しない像です。簡単に説明すると、プロ野球だと投手も野手でも一流の選手(野茂選手のような球を投げ、古田選手のようなキャッチング、イチロー選手のような肩と足、清原選手みたいなホームランを打てる人)、サッカーだとキーパーもフォワードもできる選手(川口選手のようにゴールを守り、中田選手のようにゲームをつくり、高原選手のようにゴールできる人)。もっと極端に表現するとカールルイスのように走り、ブブカのように飛び、イワンソープのように泳ぎ、アイルトンセナのように車を運転するひと。こんな選手が実際に存在しますか。いつもそう思います。

朝日新聞ホームページより

■コロニー縮小――隔離の時代は終わった

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 群馬県高崎市の山中に何棟もの建物が点在する。重い知的障害のある人たちの大規模入所施設、国立コロニー「のぞみの園」である。(リンクさせてあります)

 500人ほどが1棟に25人ずつ暮らしている。1部屋に3、4人。食事や入浴は決められた時間通りに進められる。

 作業場も趣味を楽しむセンターも診療所も運動場も広大な敷地に備わっている。人里離れたところで営まれる別世界だ。

 唯一の国立コロニー、のぞみの園のあり方を議論してきた厚生労働省の検討委員会が、知的障害者に対する施策の抜本的な転換を求める報告をまとめた。

 だれもが地域でその人らしく生きるという考え方に沿って、07年度までに3〜4割の人が施設を出て周辺地域や出身地のグループホームなどで暮らせるように、と提言したのである。

 30年も前から、大規模入所施設を反省し、「脱施設」に取り組み始めた欧米諸国とは対照的に、日本は施設を増やし続けてきた。遅すぎた感はあるが、数値目標を盛り込んだ報告が出たことは歓迎したい。

 地域での暮らしを確かなものにするには、多くの壁を乗り越える必要がある。

 71年に開園したのぞみの園に入っている人の平均年齢は53歳。入所期間は27年に及び、出身地も全国にまたがっている。国が施設に偏った予算の配分を変えることはもちろんだが、全国の自治体も入所者を迎えるための住まいやサービスなどの整備を急がなければなるまい。

 滋賀県は、知的障害者が県内どこに住んでも24時間、365日、在宅でサービスを受けられる仕組みを築いている。

 ある施設の職員たちが、地域で暮らす障害者のためにボランティアでホームヘルプサービスを始めたのが発端だった。

 職員たちが独立し、96年、甲賀郡に地域支援の拠点「れがーと」を設立した。ヘルパー派遣をはじめ日中預かり、夜間預かり、休日に映画や買い物に付きそうサービスなどを多様に提供してきた。

 県はこの試みに注目し、県内各地に同様の在宅サービス網をはりめぐらした。

 滋賀県の試みでとりわけ注目されるのは、グループホームの体験宿泊だ。

 重い知的障害がある26歳の男性は、2年前から体験用のグループホームに毎週通って2泊程度の宿泊を重ねている。50代の両親と暮らしているが、親はやがて老いる。将来のグループホームでの暮らしに備えた予行演習だ。この間、彼は自分でできることが格段に増えた。「先行き、施設という選択肢は消えた」と母親は語る。

 長野県や宮城県でも、コロニー縮小に向けた準備を独自に始めている。

 のぞみの園には、入居者や親たちにきめ細かく配慮しながら、自治体や民間施設のモデルになりうる「脱施設」を実行してもらいたい。

ヤフー「コロニー」へリンク

2003年9月20日更新

措置費時代、福祉施設利用希望者は自分が住む施設を選ぶことができなかったため、東京都民なのに東京都が委託した地方都市に移りすまなければ施設生活が送れないという状況になり、(東京都内に施設を建設するより、地方都市に建てた方が建設費、維持費が安くなるため) これが問題視され、「地域で暮らす」という方向になり、自分で選べる「支援費制度」へと変わっていきました。
この委託施設の一覧表を見つけたのでリンクさせます。

東京都委託地方施設一覧表へリンク

ちなみに東京と給与水準がベースになるため、その地域にある地元運営の施設より職員の給与待遇が良いとか、助成金の差より設備が豪華など裏話も存在します。
2003年9月21日更新
「猫の手」へリンク
介護保険制度支払額を簡単に計算することができます。
2004年1月22日更新
 甲府市支援費支払い遅れ報道集
 支援費制度では、サービス提供業者がしょうがいしゃの方に提供したサービスの報酬を市町村に請求し頂くことになってますが、甲府市では約束された日にちを大分過ぎても支払われないという状況になり大きく報道されました。余談ですが、支払いが遅れたため資金繰りに影響が出た支援業者もいたみたいです。

1)2003年年末
2003年年末。甲府市のサービス提供会社への支援費支給が遅れているという報道が大きくされました。第一報 毎日新聞ホームページより 
 担当職員をひとりしか置いてないなど甲府市の支援費の支給システムの改善が必要という報道内容がほとんどでした。

ところが
2)2003年1月22日 
 朝日新聞が報道した「下水道料金徴収漏れ」のニュースでとんでもないことが発覚しました。
朝日新聞1月22日記事へリンク 
 支援費のミスをした人の過去の仕事をチェックしていて下水道料金のことが発覚したとのことです。甲府市役所がちゃんとしたシステムをしていれば両方とも起きなかったことなので残念です。これ以上に根本的になんで福祉の経験がない人を異動のはじめから、措置費から支援費にかわったばかりの大事なポジションにしたのか?なんで同じシステムの介護保険制度の経験者を回さなかったのか?疑問は残ります。
 
2004年1月25日更新
 タクシーの資格がなくても有料移送が4月より認定されるとのことです。支援費制度に認定されることにより、利用者側の自己負担の軽減、サービス提供側の収入増が期待できます。運転手は有資格者(ヘルパー2級など)はかわらないと思います。自家用車を認めるとサービス提供時間が増加するのに比例して、支援費の支給も増加するので予算の破綻が今まで以上に心配になります。

<国交省>福祉団体の有料移送追認へ タクシー事業許可なしで

 NPO(非営利組織)などの福祉団体によるお年寄りや障害者の有料移送サービスについて、国土交通省は4月から、タクシー事業の許可や2種運転免許がなくても認めることを決めた。3月末までに自治体などに通達を出す。有償移送には道路運送法上、タクシー事業許可などが必要だが、NPOなどによるサービスの需要は高く、実態として30年近く全国で違法状態が続いていた。この現状を追認し、実態に合わない制度のほうをようやく改めることにした。

 福祉団体が障害者らを病院などまで送迎する有料移送サービスは70年代に始まった。タクシーの半分以下の料金で利用できるほか、きめこまやかな介助サービスを提供するNPOも多く、現在では全国で3000以上の団体が活動している。だが多くの団体は事業許可がなく、運転者も2種免許を持っていないケースが多い。旧運輸省は「違法だが、営利目的でない限り、摘発対象としない」と黙認してきた。

 構造改革特区の一環として昨春から、特区(神奈川県大和市、大阪府枚方市など10地域)では白ナンバー車でも一定の条件下で高齢者や障害者の有料移送が認められた。国交省はこの特区での条件をベースに規制緩和を全国に広げることにした。

 国交省によると、NPOなどがサービスの実施を、市町村が有識者らと作る機関に申し出る。この機関がサービス内容を認めれば、国に申請後、活動できる。サービスの対象には、知的障害者や精神障害者も明記する方向だ。ただ、使う車は、車いす用リフトなどのついた福祉車両に限るのか、普通乗用車まで認めるのか、まだ決まっていない。【野倉恵】(毎日新聞)
2004年2月4日更新
 1月20日の読売新聞に半年近く前に「東京都が運営する施設を民間委託する」と決めたその後のことが記事になりました。民間施設は人件費の安い非常勤者をたくさん雇い運営しているので都が運営を辞め、委託することにより出来る差額をこれからのグループホームなどの設置に使うとのことです。

1月20日読売新聞記事へ