涼しい映画館2004年度バックナンバー

パッション メル・ギブソン監督の話題騒然映画。キリストが十字架にかけられるまでの最後の12時間を描いている。騒然となったのは、キリストに対する拷問シーン。むごい。痛い。なんでこうなっちゃって、キリスト教が生まれるのか。イエスの教えって何?理解してないかもしれないが、非常にシンプルな映画だと思った。深いことはわからないが、魂を揺さぶられるものがあった。いい映画だ/ちなみに、原題は「THE PASSION OF THE CHRIST」で”キリストの苦難”という意味だ。「パッション」は(情熱)という意味なのに、どうして〜of the Christになると(苦難)になるのかな。


21g 今、一番観たい女優ナオミ・ワッツの主演作。さらにショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロと名優ぞろいで、見応えあり。監督はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(長げぇ)という、メキシコの監督さんです。ピーンと線が一本張りつめていて、触れると切れちゃいそうな人間ドラマ。


丹下左膳 百万両の壺 山中貞雄監督による1935年の同名作品のリメイク。しょっぱなの対決シーン、しょぼい音楽と迫力ない立ち回りにズッコケたが、そのあとはまったりイイ雰囲気。ちょっとTVドラマっぽいけど、いい感じで観ていられた。こういうの好きだ。和久井映見のキツい女房がなんかよかったなぁ/編集がお粗末なところあり。


ドラムライン 名門マーチング・バンドのお話。主人公にいまいち魅力がない。でも、ドラム・バトルは迫力十分。日本のブラスバンドも参考になるだろう。来年から、高校野球の応援がレベルアップしたりして。


箪笥(たんす) 韓国のホラー。映像と音楽がいい雰囲気で、特に美術(衣装も含め)に力が入っている。ストーリーはちょっと分かりづらいが、そのくらいがかえって余韻を残すもの。作品の完成度は高いと思う。ショッキングシーンも、飛び上がるほどビックリするところがある/今年は『冬のソナタ』が流行ったが、韓国ものブームの本質として俺は「ノスタルジー感」をあげる。韓国映画はそれが現代ものだとしても、どこか懐かしい、日本の30年くらい前の風景やら心情を雰囲気として持っている。それは邦画がいくら再現させようとしても”もはや”できない類のもので、この作品にもそれはある/ちなみに原題は「Tale of Two Sisters」。「箪笥」とはうまく付けたものだ(漢字表記が絶妙に怖いw)。


69 sixty nine 村上龍原作。オープニングのアニメが楽しい(「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」みたい!)。今、若手で一番上手い2人が揃っているので、それなりに見応えはあるが、この世代(’60年代)ではない観客を共感させるまでのパワーはないかな。これがまだロックバンドやらスポーツものなら楽しめたんだけど。


I Z O以蔵 三池監督作品。この豪華出演陣でこの内容なら、どんなブッ飛んだものができるのかと思っていたが、少し期待が大きすぎた。途中からはなんだか『魔界転生』を観ているようだったし、全体的に新鮮なシーンが無かった。俺としては、もっとエロく、もっと笑っちゃうシーンが欲しかった。石橋蓮司の対決シーンと、学校の廊下で夏樹陽子に謝るシーンは面白かった。あと、松方弘樹はすごいね。顔がマジ恐いよ。美木良介は『仁義の墓場』につづき貫禄十分。松田龍平はカラーが違って浮いてたな。


下妻物語 ジャスコ・ネタに大笑い。ジャージ着て死ぬ「ジャージ天国」に大笑い。まだ序盤だ。そして、このテンションで最後までぶっ飛ばす。CM出身の監督ならではの映像が面白い。ファンタジックな絵が多いが、冒頭の桃子と軽トラ激突シーンの妙にリアルな映像にはコダワリを感じた。カラフルな映像と奇抜なキャラがなんだか『キューティーハニー』に似てるなと思ったが、実は、テーマもけっこう近かったりする。ハマる映画だ。


ロスト・イン・トランスレーション 正直、これもよくワカランかった。映像と音楽、そして舞台が東京であること、これらを興味深くみていたら物語が終わっていた…。だってこれ、アカデミー最優秀脚本賞だもんな。えっ、脚本そんなに良かったデスカ?ってカンジで。あと、ヒロインが途中で京都へ行くんだけど、YOU、鎌倉行きなさいって鎌倉。近いんだから〜/サントラはヘビーローテーションで聴いてマス。


マッハ! いやー想像どおりというか、期待以上でも以下でもなかったというところ。「少林サッカー」の突き抜けた面白さはない。だけどアクションはさすがにすごい。悪党に追跡されるシーンではJ・チェンの「プロジェクトA」を思い出した/中盤の格闘場のシーンも面白かったのに、どうもいまひとつスッキリしないんだよな。熱い部分が抜けている。なぜか。たぶん、悪の親玉がジジイで障害者だからだろう。だからクライマックスでのテンションが低いのだ。こいつとは戦えないもんな。


みなさん、さようなら これはよくワカラン。今年のオスカーの外国語映画賞を獲ったカナダ映画。原題は「蛮族の侵入」というのだが、ここは重要である。「みなさん、さようなら」なら、末期ガンと診断された父親と家族のハナシであるのだが、「蛮族〜」だと、これはずいぶん思想的なものになる。俺は「さよなら〜」だと思って見ていたので(ようするにただの感動物語だと思って見ていた)、ピンとこなかったのかもしれない。もう一度観れば少しはワカルかも…。蛮族ってなんでしょ。


スティグマータ 聖痕 スティグマータ(聖痕)とは、磔刑のキリストと同じ傷が生きている人間の身体に浮かび上がる現象だそうだ。つまり、手のひらに釘の刺さった痕や、背中にムチの傷が突如現れるのだ。この物語はピッツバーグに住む一人の女性がある日突然この聖痕を受け始めるというもので、その神秘的な展開やスタイリッシュな映像はかなりいい。さらに俺のように聖書を全然知らない人間は、「ほうほう、そんなんだ」といって無邪気に楽しめる。だがそれでも、事件の真相は弱かった。「エクソシスト」っぽい余韻のラストは好きだけどね。(旧作)


東京ゴミ女 『ヴァイブレータ』の廣木隆一監督作品。ずいぶんマニアックな題材なのでw見ながらツッコミまくっていた。まったりとした雰囲気はGOOD。どう収集つけるのかと思っていたが、ラストがファンタジーっぽく流れてしまって残念(まぁ、最初からファンタジーだといえばそれもそうだが)。それにしても、これ、男が主人公だったら…(汗  (旧作)


サンキュー、ボーイズ ドリュー・バリモアが作家を夢見る少女をキュートに演じている(15歳から35歳まで!)。彼女の貫禄ある演技は見ていてすごくポジティブな気持ちにさせてくれる。よい気分にさせてくれる人間ドラマだ/ドリュー演じるビバリーとフェイの友情がいい。フェイ役のブリタニー・マーフィは初めて見たが、うまい。(旧作)


エージェント・コーディ 『スパイキッズ』のような話。だが思春期のコーディは「スパイキッズ」のテーマである家族愛などクソ食らえとばかりに自己中心的。スレている。かわいくない。そこがいいのだ。コーディ君は将来、ジェームス・ボンドになる素質もあり、悪の帝王になる器もある。


ホーンテッド・マンション ユニヴァーサルのディズニー・アトラクション映画第2弾(第1段はパイレーツ・オブ・カリビアン)。監督が『スチュワート・リトル』でシニカルな表現を見せたロブ・ミンコフなので期待したが、フツーに終わっていて残念だった。しかし、もっと残念だったのがエディ・マーフィ。残念というより、凡庸な演技にエディ・ファンとしては悲しい気持ち(正直、ただの俳優に見えた瞬間が何度かあった)。テレンス・スタンプはいい存在感。怪しい洋館に見事にハマっていた。(準新作)


ドーン・オブ・ザ・デッド 『ゾンビ』にはちとうるさい。同時期に公開された『テキサス・チェ−ンソー』と同様に、こちらも上質のリメイク作品になっている(そして同様にヒロインが強い!)。オープニングの速い展開(ゾンビをもったいぶらさず、いきなり登場させる)、黒人リーダーの存在などオリジナルを彷彿させる。ショッピング・モールの中の生活は、オリジナルを上回る面白さ。オリジナルに比べ登場人物の数が多いためか、息苦しい、閉鎖的な感じが少なくなっている。ゾンビの描き方は、オリジナルに見られた無常観、宗教観の産物というより、動きが速い(爆走する)為かケモノ的で、自然災害の趣。これはこれで十分面白い。


デアデビル 盲目のヒーローだなんて知らなかった。盲目の少年が正義の味方になっていく序盤は面白いんだけど、 その後の展開はつまらなかった。 ベン・アフレックはあきらかにミスキャストだ。障害者っぽくない。 敵役のコリン・ファレルを主役にすればいいのにと思った。(旧作)


ブレイド もうひとつ(バカの)センスが欲しかったような/ブレイドの持っている刀は日本刀なのだろうか。部屋に仏壇があったり、出陣前には線香をそなえたりと驚きのシーンがあるが、この「刀」にこだわったシーンがないのはどうしたもんか。前半のヴァンパイア殺戮はおとなしめだが、後半はグロいシーンがたくさん。バカ映画の鏡といえるラスト・シーンは拍手ものだ。(旧作)


ピンポン 窪塚の例の事件の後に観たので、ファーストシーンの「I can fly!!」には笑ってしまった/これは卓球の話だが、後から始めた奴が才能によって皆を追い抜いていく(そして負けたやつは不良になる)というところで『キッズリターン』を思い出した。だから後半の展開には新鮮味があった/卓球のシーンがいい。演じる役者もキマっている。スマッシュが成功した後、フェンスに当たったボールにスピンがまだかかっており、しばらく”生きている”ところなんかさりげないが大事なところである。うーん、卓球がやりたくなった!(旧作)


新・仁義の墓場 実在したヤクザ・石川力夫の半生を描く。渡哲也主演の『仁義の墓場』のリメイクだが、今回、舞台が現代に移し変えられている。とにかく岸谷五朗 が恐い。顔がコワイ。迫力がある。作品としても面白いが、この岸谷を観るだけでも四つ星半の価値はある。(旧作)


キューティーハニー コメディとシリアス部が良いさじ加減。アニメのノリも再現し、奇抜なキャラも楽しい。サトエリは可愛くカッコよく、ラストはノリが速くて、泣けるヒマもなかった。80分の大娯楽作。まず、片桐はいりのゴールデン・クローに爆笑。庵野監督は学生時代に、『愛国戦隊 大日本』というゴレンジャーのパロディのようなものを撮っていたが、そいつを思い出した。音楽も楽しく、特にコバルトクローとの対決シーンで流れていたコミカルなものが良かった。俺的にこの作品の最大の見所は、終盤の人質解放のシーンから、ブラッククローとの対決に変わるその瞬間だ。音楽がクラシックから突然テーマ曲に変わるのだが、ここが気持ちいい(じつはこの手法って、TVアニメのときのパターンなんだけどね)。物足りないところはアクションシーン。平凡に終わっていて残念。ヘンな写真アニメも成功していない。とくに『キャシャーン』を観た後だったので、アクションシーンの弱さが目立ってしまったのかも(キャシャーンは、アクションカットのキレ味が超絶なのだ)。まぁでも、これが味といえば味なのかな。


極道黒社会 三池監督・黒社会シリーズ第2弾。全編台湾ロケで雰囲気はいい。が、もうひとつパンチが欲しかったところ。注目は、哀川翔の部屋にあるパソコン(劇中けっこう使用される)。たぶん、富士通かNECのペン166くらいだと思うが、なんだかなつかしい。んで、またしても田口トモロヲ怪演。(旧作)(※写真が1枚も見つからなかったのでナシ)

イン・ザ・カット 『ピアノレッスン』のジェーン・カンピオン監督作品。メグ・ライアンが脱ぐ!とかいって、そっちばかりクローズアップされるが、女の監督だけあって、ちょっと異色のサスペンスに仕上がっている。俳優がみな素晴らしい。特に刑事役のマーク・ラファロの抑えた演技は良かった。メグ・ライアンも思ったより貫禄があったし、なによりキレイだった/サスペンスとしてこの殺人事件はちと弱いが、殺人事件がテーマではないので問題なし。


キャシャーン まいった。作品としてアラいところはたくさんある。しかし、この紀里谷監督入魂、まさに魂の入った熱いキャシャーンにマイッテしまった。キャシャーンが大好きだった俺としては、「キャシャーンという作品の魅力」は完全に描ききれていると思った。キャシャーンの魅力とは、主人公の苦悩と、敵であるブライキングボスの秘密、そしてキャシャーンのスピードと”鉄をも砕く”パワーである/まず何と言っても登場シーンがいい。その新造パワーを見せつける見事にカッコいいシーンになっている。音楽もいい。その後のアンドロ軍団との対決は、正直、カッコ良すぎて泣けてきた(ところどころ、効果音がアニメの音になってるので注目!)。俺的にはスパイダーマン2を越えたかっちょいいシーン認定だ。もうこの2つのシーンだけで満足できる。その後はかなり想像力が必要で、自分で話の補完をしていけば良いw …なんて思っていたら、ラストでまた泣けてしまった。こういうラストに弱いんだよなぁ。


デイ・アフター・トゥモロー パニックものは面白い!雪に閉ざされたニューヨークなんて、子供のときに観ていればきっとトラウマになったと思う。ハリウッド映画としてはちょっと面白かったのが、通常、危機に落ちた主人公らは、自ら行動し道を切り開いて行くという、「行動こそ最善策」パターンをとるのだが、今回は、図書館を脱出しようとする民衆に待ったをかけ、「じっとして時を待つ」という道を選択している。本を燃やして暖をとったり、ケガをするのが女の子だったりと、さすがドイツ人エメリッヒ、ちょっと違う。それにしても同じニューヨーク、摩天楼から現われる映像、ゴジラよりも、津波のほうがオッカナイものである。


漂流街 原作・馳星周。三池監督いつもの無国籍・新宿・ギャグ&バイオレンスものだが、どうもテンポが悪い。粗雑な作りが「味」を通り越して、ちゃちくなってしまっている。シーン的には面白いものがたくさんあるのだが、なんかリズム感が無い。致命的なのは、主人公の2人が全然カッコよくないのだ。とくにミッシェル・リーはもっとカッコよく撮って欲しかった。吉川晃司は同系統の及川光博に喰われてしまっていたような気がする。(旧作)


新宿黒社会 三池崇史監督、'95年のデビュー作。笑いとバイオレンスの配分が絶妙で、テンポもノリもいい。椎名桔平がカッコイイ。田口トモロヲはもっと見たかったが、意外にアッサリ殺られてしまって残念。冒頭の警官が殺されるシーンがショッキング!(旧作)


日本黒社会 三池監督・黒社会シリーズ第3弾。ちょっと古めかしいカンジの話。主人公達の行動がいまひとつよくわからんが、こういうものは、カッコよければいいのだ。みんなカッコよいので◎。今回の主役は北村一輝。悪役に竹中直人。この2人って、競演多いな。今回、田口トモロヲは主人公の幼なじみ役でまたいい味出してます。(旧作)


ヒューマン・キャッチャー スマッシュヒットしたホラー『ジーパーズ・クリーパーズ』の続編だ。あいかわらず我が道を行くというか、奇妙な味をもった作品である。何が奇妙かというと、悪魔のような造型のモンスターが出てくるのだが、コイツの正体がさっぱりわからないのだ。また、わからせようともしていない。「23年ごとに蘇えり人を食う」という設定があるだけだ。ほとんど自然現象、地震か津波のようなモンスターである。昔話の化け物なのだ。現代を舞台にした化け物フォークロア、それがこの奇妙な味の正体のようである。


テキサス・チェーンソー オリジナルの『悪魔のいけにえ』は大好きな映画である。そしてこの映画も面白い。無理に脅かそうとするところがなく、自然に、ありのままに(何の映画だw)この事件を描いていると思う。これは監督のセンスもあるが、やはり素材がそうさせるのであろう。笑いを一切排除し、残酷シーンもかなり抑えているところなど、久しぶりにいいホラーを観たという感じ。ヒロインが活躍しすぎるきらいもあるが、今の時代、叫んで逃げまくってるだけの女の子じゃあ怒られてしまうのだろう。


花とアリス 『リリィ・シュシュのすべて』に続く岩井俊二監督の中学生もの(途中から高校生)。リリィ・シュシュはドンヨリ重ーい映画だったが、これはスッキリしていて後味もいい。というか、コメディか?というくらいに笑える/エピソード的には、アリスとお父さんのお話が良かった。それと、アリスの家がスゲえ。あんなに散らかっていて、かっこいい部屋は初めて見た。ママ(Winkの相田翔子)もビックリキャストだ。アリスは有栖川(ありすがわ)というくらいだから、金持ちなのかな?/主演の2人がバランス良く描かれていてる。名シーン多し。ハナと先輩の文化祭の教室のシーン、窓の外から覗く、巨大鉄腕アトム・バルーンの目線がなんとも絶妙で。


アイデン&ティティ みうら じゅん原作、田口トモロヲの初監督作品。いきなし冒頭、「イカ天」出身のミュージシャンらのコメントで始まったりするのだが、この作品で描きたかったものは、いったい、バンドブームなのか、ロックというもの自体なのか、それとも麻生久美子演じる彼女に対する思いなのか。実際、その全てを描いているのだけど、どうもその3つが俺の頭の中ではひとつにならなかった/この映画は「みうらじゅん」のアイデンティティに関する思いが色濃く出ている為、好き嫌いが分かれるところであろう。俺は「アイデンティティ」には関心がないので、爆笑して、涙ぐんだりもしたが、こういう主張はどちらかといえば嫌いである。


フリーダ メキシコの女流画家フリーダ・カーロといえば、高校のときに大きな展覧会があって、それを見に行ったクラスの女の子が、「絵を見て初めて泣いた」と言っていたのを思い出す/これはマジメな疑問であることを最初に言っておくが、なぜフリーダは眉毛がつながっているのだろう。最初は絵の中の自画像だけかと思っていたら、実際本人もつながっているのだ。映画のなかで事情がわかるのではないかとかすかに期待していたが、結局わからなかった/フリーダもよかったが、夫リベラを演じたアルフレッド・モリーナがいい。そう、「スパイダーマン2」のDr.オクトパスの人だ。意外にも映画デビューは「レイダース/失われたアーク」の敵役だそうだ/映像、とくに絵画が実写に変わる「だまし絵」シーンが面白かった。これを機にフリーダの作品をじっくり見てみようと思った。(準新作)


東京原発 次々と明かされる不備だらけの日本原発事情、そして迫り来る危機。『宣戦布告』をコメディにしたらこうなるのではないか/とにかく会議をする都庁のトップたちのキャラが面白い。みんないかにもその辺にいそうな奴ら(都庁のトップがその辺にいたら困るのだが)だし、エラそうな事を言ってても最後は逃げ出す東大教授や、眠気を我慢してプルトニウムを運ぶトレーラー運転手など、デフォルメして描いてはいるが、「いや、現実こんなもんだよな…」と思わせるとってもコワーいコメディです。


キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 実話を元にした痛快サギ師映画。サギ師映画といえば『スティング』があるが、一番の違いは、やはりスピルバーグ、何がしかの教訓が入っている。情緒的雰囲気がいまひとつなのはスピルバーグ映画に共通する事だが、テンポと演出の切れ味はさすがに職人芸だ/オープニングのアニメが超カッコいい!この雰囲気バツグンのOPでグッと引き込まれた。


ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲 爆笑お下劣映画。パロディやゲスト出演者満載でかなり楽しめる。なかでも、マーク・ハミルとキャリー・フィッシャー(ルークとレイア姫ね)にはビックリ。他にも盟友ベン・アフレック、マット・デイモンはもちろんのこと、ウェス・クレイヴン(「エルム街の悪夢」の監督)なんかも出てます。


女理髪師の恋 『完全なる飼育』シリーズ第5弾。小林政広監督作品。北村一輝と竹中直人が『あずみ』に続き、「切れ」ずに終わった。やはりこの2人には何かを期待してしまう/荻野目慶子は声が良かった(セリフの声です!)。「引き」の画面が多く、寄りがほとんどないので、声は重要なのだ/この手のハナシって、例えば東京のアパートや長屋で描くとむちゃドロドロなるんだけど、この映画は陰鬱にならないで終わっている(しかも挿入歌、主題歌が「りりィ」なのに!)。それは、舞台の北海道の広さと乾いた空気がそうさせないのと、引きを多用した、風景と人間を一緒に見せる観察眼的演出が効いているからである。エンディングのりりィの「時の過ぎゆくままに」はよかった。(旧作)


デスレース2000 1975年のロジャー・コーマン製作作品。最近レンタル屋でDVDを発見、ようやくこのカルト映画を見た。レース中に人を轢き殺すとポイントが入るという(特に子供と老人のポイントは高い)、たしかにこの時代ならではのトンデモ設定にカルト化した理由をみたが、DVDのリマスター高画質が空しくなるほどB級、いわゆる最低映画である。主演は『キルビル』のビル役、デビッド・キャラダイン。『ロッキー』でブレイクする直前のスタローンが悪役マシンガン・ジョーで出演している。ギャラはたったの1000ドルだったとか。(旧作)


嗤う伊右衛門 蜷川作品。京極夏彦原作。京極小説って読んだことないけど、こういうハナシを書くのね。面白いじゃん。映画は、心理的に恐いところはなく、ホラーの恐さ。もっともっと暗い画面で、じわじわジメジメ撮って欲しかった。ちょっと明るすぎる。乾いてい過ぎる。ラストのカットは「おおっ」と思ったけど、やっぱり後味としては物語に浸りたいので、無いほうがよかった。


ゴシカ 『13ゴースト』等のダーク・キャッスル・エンタテインメント作品。今回は『リング』のような「何かを訴える霊魂」の話。ハル・ベリー、熱演/犯人の設定がどうも良くない。犯人の描写が少なすぎる為、真相が判っても、妙に後味が悪い。もっと「エンタテメント」な作りにして欲しかったなぁ。


クジラの島の少女 ニュージーランド、マオリ族の小さな村が舞台。マオリ族といえばスターウォーズのジャンゴ&ボバ親子。なんか出てくるオッサンは皆ジャンゴ・フェットに見えるw ヒロインの少女はマオリ出身のケイシャ・キャッスル=ヒューズ。これで至上最年少アカデミー主演女優ノミネート。SWのボバ小僧も、このくらいの容姿の子役にして欲しかったよ。って、本作の感想だが、素晴らしいです。少女も素晴らしいが、頑固じじい、マオリの星一徹・族長コロに共感してしまった。クジラが泳ぐシーンも良かったなぁ、プロジェクター全開。プロジェクターほんとに良いから、みんな買え。キャッスル=ヒューズのプロフィール見てたら、「次回作はスターウォーズ EP3」 えーマジで〜!


スクール・オブ・ロック ずーっと楽しみにしていた作品。主演のジャック・ブラックのギャグは笑えるところもあるが、ちょっとウザイところもある。彼よりも、校長先生のジョアン・キューザックが良かった。なんかカワイイ/ロック版「がんばれベアーズ」といったところだが、デューイ先生はちょっとワガママ過ぎ。子供達のほうが大人だ。子供らは、何を教わり、何の成長をしたのだろうか…。それでも爆笑シーン多く、音楽映画ということもあって、ラストは爽快、ノリノリだ。が、何かしっくりいかない。なんでだ?ーそうだ、この映画、先生と生徒達の「縦の繋がり」はあっても、子供ら同士の「横の関係」が全く描かれていないのだ。うーん、ちょっとお粗末な感じである。


ジョゼと虎と魚たち 妻夫木聡、池脇千鶴ともにすごくいい。特に池脇はただのアイドルかと思っていたら、なかなか貫禄ある大阪女を演じてるし、脱いでるし、ラストの顔もスゲェ/ジョゼが泣きながら「帰れといわれて帰る奴は帰れ」という(というか、その前のチチ触らせてゴミ捨てさせる話の逆ギレ場面から)はいいシーンだ。「くるり」を聴くと切なくなりそう/本編とは関係ないが、ちょっと失敗したのが、観終えたあとに、監督・出演者による「音声解説」(つまりウラ話)を聴いてしまったことだ。せっかくの心地よい感動がなんだか薄まってしまった。最近、DVDによく入っているオマケだが、感動作のときは要注意である。


イノセンス 「Ghost in the Shell 攻殻機動隊」の続編。圧倒的ハイクオリティに終始目を奪われる。難解との評判を聞いていたが、テーマなどむしろ前作よりも分かりやすかった/難解についてだが、ハリウッド映画を中心とする他の映画が、分かりやすく作られ過ぎているのだ。それは、小説やマンガと違い、「映画」(特にアニメ)は、たくさんのお金と労力を必要とする為、リスクを冒すことが難しいからであろう。その意味でいえば、このような映画は、そうそう生まれるものではないといえる/内容は、オタク的とも取れるが、あえて純文学的と言っちゃおう。


THE EYE (アイ) タイの大ヒットホラー。監督は、コーエンやウォシャウスキーみたいに兄弟でやってる香港出身の双子オキサイド&ダニー・パン/出てくる幽霊は女がほとんどで、この辺は日本と感覚が同じなのかなぁと思って観ていた。じいさん幽霊が出てきたけど、全然コワくなかったもんな/ホラー映画の目的というのは、もちろん恐がらせる事。さらに、その世界観や、論理的つじつま、ショッキングシーンの必然性が合わさると傑作になる。その点、この製作陣は、元のアイデアを劇的に高めるまでのウデが無かった。ショッキングシーンにしても、『呪怨』のように洗練されていない/でも、タイのホラーということで興味深く見れた。特にラストの爆発シーンは、「そこまで見せるか!」って感じだった。(旧作)


六月の蛇 プロジェクターで観だしてから、一番その効果があった映画。すなわち映像がすこぶる映画的、大写しの排水口は、倒錯の世界への入り口となる。荒々しい二色の画面は、話の中に何度と出てくるモノクロ写真と同じで、常に隠し撮りの不気味さが漂う。いやはやスゴイ映像だ。(旧作)


魔界転生 山田風太郎原作も、ジュリー主演版も未読未見/荒唐無稽さがすごい。最初、全体のハナシがつかめなかったが、解かってきたとたんニヤニヤするぐらい面白くなってきた。これって、天草四郎の徳川に対する”うらみ”の物語なのだが、それがちょっと解かりずらかったのだ/配役が微妙(絶妙?)で面白い。長塚京三演じる宮本武蔵との対決は、事実上のメイン・ファイトなのだろうが、この配役はまさに微妙だった。しかし、やたら貫禄のある役者を持ってきてもつまらないだろう。まぁともかく、このシーンは興奮したので良し。音楽も盛り上げてくれる/忘れちゃいけない麻生久美子。某雑誌に、『RED SHADOW/赤影』の彼女をさして「登場シーンのみ大傑作」というのがあって笑ったが、本作も強烈だ(爆 (旧作)


あずみ 北村龍平監督作。出世作『VERSUS』の出演者がちらほら出ているが、なんといっても佐敷三兄弟の末弟役・坂口拓にもっともっと活躍してほしかった。主演の上戸彩と「やえ」役の岡本綾のアップシーンで思ったが、一見、岡本綾のほうがキレイなようで、しかし寄りで3秒以上になると上戸彩のスゴさがわかる/竹中直人と北村一輝のコンビは、2人ともそのうち”何か”やりそうwで期待していたが、特に何も起こらなかったので残念/随所に北村監督の持ち味が発揮されていて、アクションシーンはかなり楽しめるのだが、もうちょっと主題や主人公の決意を打ち出して欲しかった。(旧作)


ゼブラーマン 哀川翔・主演100本記念映画。監督・三池崇史。冴えない教師役が意外にハマっていた哀川翔。しかも最後までタンカを切ったり、キレたりしないで、”冴えないまま”ヒーロー演じていたのがよかった。三池節も好調。脱力系・防衛庁エリートの渡部篤郎も好演。そしてなにより”ヒーローもの”としてのディテールがしっかりしている。マニアックな部分も含めて、この辺は脚本・宮藤官九郎の力だろう。カッコイイし、笑えるし、かなり楽しめた。


幸福の鐘 DVDのインタビューでSABU監督は、「いままで何作かは、期待されたものに応える為、いわゆるサービス精神を持って作ったところがあるが、今回は本当に作りたいものだけを作った」と言っている。題名のとおり、この作品は「幸福」についての話だ。裏はない。そして幸福観についての議論は置いておいて、このチャレンジャーな作りは成功していると思う。主役が寺島進のせいか、少し北野映画に似ている雰囲気もあるが、SABU監督の個性が静かに爆発している大傑作だ。


殺人の追憶 韓国で記録的大ヒット、衝撃作なんて文字も躍っていて、いったいどんなすごい話なんだ?!と期待したが、意外にフツーだった。いや、衝撃なんて何もないぞ。どうもこの作品は、実際に起こった迷宮入り連続殺人事件の再現よりも、この時代ー1986年という、近くて遠いこの時代を描いたノスタルジック感がミソなのではないかと思う。監督さんは30代か、ゲーセンで”鉄定規”を使用しての「ハイパーオリンピック」や、ナイキのシューズが実は「ナイス」という偽物だったりするシーンに思わずニヤリ/たしかに演出に切れは感じられたが、脚本はいかにも大衆向けだ。(って、大衆映画だけど)


アドルフの画集 第一次大戦後のドイツが舞台。原題は「MAX」。裕福なユダヤ系ドイツ人、マックス・ロスマン(画商)が主人公なのだが、ヒトラーのシーンが面白すぎて、マックスは脇役になってしまっている。また、全体に物語の緊張感が弱い。これはやはり、製作者の描きたいのは”青年ヒトラー”であって、マックスは隠れ蓑、隠れ蓑をメインに持ってくる脚本なのだから仕方がないのか/テーマは分かり易く、もしもヒトラーが画家として歩んでいたら…というものだ。この主題はいいとして、問題は、描かれているヒトラー像であろう。国がどうだ、ユダヤ人がどうだというより、貧乏、チビ、職なし、モテない、そして自分の才能に不安を抱いているといった、共感の対象として十分な青年像であるのだ。しかしこれは、ヒトラーが悪魔になるのはもう少し先ということで、この時代の彼は、いかにも普通の怒りや焦りを持った青年であった、ということでよいのではないかと思う。物語の最後、完成した作品を渡すために、喫茶店でマックスを待つヒトラーのウキウキした顔が印象深かった/ちなみに、この映画の公開に合わせ、東京でヒトラーの絵画展が開かれる予定であったが、直前に見送られた。残念。


ヴァイブレータ コンビニで女が男に会う、女は男のトラックに乗って行きずりの旅へ/トラックの旅っていいんだよね。以前に大型のトラックの助手席に乗ったことがあるが、あの狭いんだけど、妙に居心地のいい空間を思い出した/大森南朋があまりにも優しすぎるので、これはもしや、彼女がコンビニで妄想していただけなのでは…なーんて思ったりして。(準新作)


マルホランド・ドライブ デビッド・リンチの最高傑作。黒澤に『夢』という映画があるが、もしもリンチがそんな映画を作ったら、どんなものが出来るのだろう。彼はこれまで、悪夢のような話ばかりを作ってきたが、ここに描かれているものは、ひとりの女優の願った夢なのだ。哀しいLove Story。ベッドに横たわる死体を見て泣けてきた。劇場の進行役は云う、「これらは何もかも、まやかしです。」 それは悪魔のきまぐれか。引き鉄を引く刹那に、ダイアンが見たまぼろしか/こういうものにどっぷり浸かって観ているとき、映画はいいなぁと思う。ナオミ・ワッツの天才も満喫した。(旧作)


ロスト・ハイウェイ デビッド・リンチの悪夢。いやもう、ほんとに悪い夢をみているようだ。謎が謎を呼び、それが積み重なり、観客は結末に期待する。しかしリンチは、アクロバティックにそれを裏切る。この空中ブランコと水槽脱出を同時に見ているような感覚が、たまらない。(旧作)


チアーズ! アメリカン・ハイスクールもので、こんなにラブシーンのない映画もめずらしい。チアリーディングのスポ根ものであるが、その設定が面白い。主人公らの高校は金持ちで、彼らは皆大きな家に住んでいる。対するライバル校は、黒人・マイノリティの貧乏学校で、大会に出る金すら集まらず、出場が危ぶまれる。俺的には、ライバルは、お蝶夫人みたいなスーパー金持ち軍団か、ロシアの女ドルフ・ラングレン軍団にして欲しいなぁ(発想古い…) (旧作)


ターミネーター3 不評が多く、何度かパッケージを手に取ってはいたのだが、プロジェクターをきっかけにこの度ようやくレンタル。…けっこう面白かった/なんか、「2」のノリよりも、ファーストに近い、いい意味でB級っぽくって良かった。なにより、主役がジョン・コナーになってるのがいい。ターミネーターの骨格は、「世界の滅亡を知ってしまった1人の女子大生」の話なのだ。だから、息子であるジョンは、それを阻止する為に力を尽くす。これが大河で、横を一緒に流れているのが、殺人マシーンのエピソードなのだ/終盤、1作目「ターミナーター」を踏襲したシーンが出てくるが、こういうのは好きだ。もちろんアクションもすごい。クレーン車のチェイスもいいが、トイレの格闘がお気に入り。(旧作)


インソムニア クリストファー・ノーランの初メジャー大作。しかし「メメント」が良かったからといって、いきなしA・パチーノとR・ウィリアムスってスゴいな/なんだか話が散漫な印象が。つうか、A・パチーノが「ウソをつく」ってのがどうも引っかかってしまうんだよな、『セルピコ』loverの俺としてはw/でも、あの不眠症のパチーノの感じはとても良かった。そんでもって、ラストの「…もう眠らせてくれ…」というセリフにはヤラレた!と思った。(旧作)


メメント クリストファー・ノーラン衝撃の出世作。じつは、この映画より「プロジェクター」で見るようになったのだが、ちょっと失敗したと思った。なぜかというと、ただでさえ入り組んだ話でしっかり見なきゃいけないのに、ちょこちょこ機器の設定を変えてみたり、暗いシーンのコントラストにチェックを入れてみたり…は、話がワケワカラン〜状態に(中盤からようやく分かって来たけど)/そのせいか、いまいち盛り上がらなっかのだが。つうか、なんかネガティブな主人公がイヤだ。(旧作)


青の炎 ひさしぶりに観た、ガツんとくる正統派・青春映画。演劇界の巨匠、蜷川幸雄の演出は、話のスジを外さない丁寧な作り、長いエスカレーターのシーン、水槽にかざす手の映像など、とっても映画的で印象に残った。山本寛斎の父親も妙にリアルで怖い。それにもまして、この映画にシンクロ(恥ずかしながら)してしまうのは、その設定である。舞台が鵠沼、江ノ電、134号線ともうヤバいw 原作も良いそうなので、ぜひ読んでみたいと思う。(準新作)


ヒットラー ヒットラーの前半生をかなりダイジェストに、表面的に描いた米CBSのTVムービー。俳優も良く、映像も立派にできているので、それなりに見ごたえはある。ただ、政権を握り、これから世界大戦が始まるというところで物語は終わってしまうので、ずいぶん物足りない気がした。


美しい夏キリシマ 去年のキネ旬・第1位。1945年夏、終戦の数日前の南九州の片田舎の風景が目の前に広がる。敵機グラマンが田園を悠々と飛んでいく。使用人なつの毅然とした姿(なつに限らず、本編の女性はみな毅然としていて美しい)、康夫の祖父・重徳の厳格さ(原田芳雄が好演)、対する、香川照之演じる一等兵、石田えり演じる小作人イネの泥臭い人間像。これらを含んだ、この「風景の再現」がすごいと思った。


巌流島 「五輪書」でまったく触れられていない巌流島の決闘、いったい巌流島で何があったのか? ということで、新たな武蔵像、新説のようなものを描いているが、これは、(多少でも)資料的裏付けのあるハナシなのか、それとも、脚本家のまったくの想像なのか、それが知りたい。でもって、じつは西村雅彦の佐々木小次郎が一番斬新だったりするw (準新作)


シモーヌ 「タイムライン」につづき、またもや「要想像力」な作品である。しかもかなりの脳内補完が必要である。監督は『ガタカ』『トゥルーマンショー』など、一風変わった作風のSF作品で知られるアンドリュー・ニコル。彼の「ヴァーチャル女優もの」ということで、どんな皮肉や、ブラックな笑いが見られるかと思っていたが、ちと期待し過ぎたか。話の展開や、そのリアリティはマンガレベルである(「ドラえもん」より劣る、というか、「こち亀」Like)。これは絶対、コメディで作るべきストーリーであったと思う。それと、主題は分かるが、CGによるヴァーチャル女優の話が面白すぎるので、皮肉や警告を発しつつも、人間俳優賛歌で終わるようなエンディングが見たかったとういう欲求が残る。というところで、俺は、ウィノナ・ライダーのオーディションのシーンがとてもよかった。このシーンが唯一、人間俳優のすばらしさ(凄み)が出ていたと思うからである。


タイムライン 面白い。こういう話は大好きだ。マイケル・クライトン(ジュラシック・パークの原作者)のストーリテリングはさすがだと思った。時間(とき)を越えたロマンスも好みだし、悪役の始末の仕方も良し(笑)。映画化に際しての説明不足、ご都合展開なぞなんのその。そんなの描いてたら何時間あっても足りやしない。細かいところは、想像力で補いましょ。あ、そうそう、監督はお懐かしやリチャード・ドナー公である。


スパイダーマン2 泣いた。しかも途中で2回。最初は、電車のシーンで泣いた。その後は、ただスパイダーマンが摩天楼を飛び回っているだけで泣けた。あの体を反り返して飛翔する歓喜の姿に感動して泣いてしまったのだ。サム・ライミの演出は、やっぱり「死霊のはらわた」、ガッチリひつこい、油多め。あっさりさっぱり醤油味のT・マグワイヤとの相性はばっちり。前作よりも良かった。泣いたので、5つ星w 男子必見!!(劇場)


ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS ラス前ゴジラ。あいかわらず、言いたいことは分かるが(想像で補えば)、しょーもない脚本である。今回のポイントは2つ、シリーズ始まって以来のことが2つ。1つは、ゴジラよりも、主人公(金子昇)のほうが目立っていたこと。もひとつは、完全に人間の武器(機龍)でゴジラを倒せたこと。(第1作もそうだけど、今回はメカということで) ゴジラが倒れるときに、かつての名シーンが走馬灯のように映し出されるところが感慨深い(なんの感慨だよ) 感慨無量。


デス・サイト イタリア・ホラーの巨匠ダリオ・アルジェント最新作。ただのサスペンス(コラッ!)。殺しの場面は少ないとはいえ、やはりアルジェント節は健在だと思った。見所は、インターネット・ポーカーの勝敗で殺しを行う犯人の設定だろう。しかも、恐怖に引きつる人質の顔がライブカメラで配信されているし。もうやったもん勝ちである。齢還暦を過ぎても、常にアンテナを張り巡らす巨匠にチンチン!(←イタリアで乾杯の意味だったよな、たしか)


少林寺三十六房 父親を殺された若者が少林寺で修行し、敵討ちをする話。典型的な中国カンフー映画の展開だ。見所は三十六の部屋を一つ一つクリヤーしていく修行のシーン。主人公の成長(動きと顔つき!)が、その編集テンポと相まって、見るものに快感と興奮を与えてくれる。見終えたあと、無しょうに『ドラゴンボール』が読みたくなった。長らく日本ではお目にかかれなかった’78年クンフー映画の名作。そう、あのリー・リンチェイの『少林寺』(82年)より4年早いのだ。噂には聞いていたが、今回のDVD発売でようやく見ることができた。しかも高画質リマスターでめっちゃキレイ!タランティーノのおかげだな。(旧作)


インファナル・アフェア ハードボイルドと携帯電話について。シブイ刑事が携帯を頼りに行動しているのはかっこ悪い。緊迫した場面での着信音はずっこける。着信履歴で話が急展開するのはやめてほしい。尾行していて、携帯が鳴り、尾行がおじゃんになるのはいかがなものか。とにかくこの映画、手に持ってるのが「拳銃」ではなく「携帯」なんだよな。いいシーンがいくつかあったけど、主人公たちが全然カッコよく見えなかった。(準新作)


ギャンブル・プレイ ニール・ジョーダン監督。元凄腕ギャンブラー(ニック・ノルティ)を主人公に、シブいおじさま達にヒロインひとりという、哀愁漂うおやじ映画。1955年の『賭博師ボブ』の、なんと3度目のリメイクらしい。いかにも雰囲気が良く、面白くなりそうだったが、結局、なんだかよくわからないまま終わってしまった。途中でかなり眠くなる映画である。


アンダーワールド ケイト・ベッキンセールの眉間にしわ寄せっぱなしのタフな表情がいい。この映画、とくにどうってことないお話なのだが、とても楽しく観れた。それというのは、見せ場の多くをCGに頼らず、昔ながらのアナログ手法で撮影しているからなのだ。狼男の変身シーンや、変身後のクリーチャーは、特殊メイクと着ぐるみによる効果を駆使して作られている。狼男といえば、『狼男アメリカン』や『ハウリング』といった特殊メイクの名作があるが、もしかしたらハリウッドには、CG万能の現代でも、狼男は「特殊メイク」でやろうという、リスペクト、もはや伝統のようなものがあるのかなと思った。最近のCG映画に食傷気味な俺としては、この映画のアナログっぽさに共感し、狼クリーチャーが出てくるたびに、「ほら、やっぱり本物は迫力が違うよ」とひとり悦に入っているのである。


キルビル Vol.2 はちゃめちゃな前作よりも、今回はまともな仕上がりだが(特に日本人には)、「ハトリ・ハンゾー・ソード」がどうのこうのというシーンになると、やや危うい雰囲気になる。これはたとえば、アメリカ旅行に行って、グランドキャニオンを見物、一人雄大な雰囲気に酔いしれているときに、日本人観光客に遭遇し、お互いイヤなものでも見るようにすれ違う、この感じに似ている。ビルをはじめ、キャラクターがことごとくカッコいい。もう最高にかっこよくて笑えるのが、中国での特訓シーン。あの急ズームアップがたまらん。師匠もこれ以上ないキャラに作り込まれている。ビルの中国でのシーンがカットされているらしいが、いっそVol.2を中国編にして、全3部作にして欲しかった!


ブルース・オールマイティ 「ライアーライアー」のトム・シャドヤック監督。笑える(ニュースキャスターのシーンは腹がいたい)。アイデアもノリも良い。ただ、「ライアー」のときもそうだったが、この作品も、説教くさい部分がいやだ。ジム・キャリーって、ドタバタでアナーキーっぽいけど、かなりヒューマニストで保守的なヒトなんだろう。今回ドキリとしたのが、献血のシークエンス。ジム演ずるブルースは最初、「血というものは体の中を流れるもの、なんで、吸い取られなくちゃいけないんだ!うんぬん」なんて、献血に対してわめいている。献血ぎらいの自分としてはそうだそうだと笑って観ていたが、終盤、ブルースが事故に遭い輸血されるシーンで、そのときの彼の気持ちがすごく分かって、けっこうショック。説教くさい脚本(ホン)はいやだいやだ。俺は、献血というより注射がきらいなんだよね。注射じゃなかったら献血します(爆


フォーンブース 映画製作者なら誰しも、「やられた!」と叫んでしまうような作品。なんしろ、劇中ずーっと、電話ボックスの中なんだから。もう、舞台上演できそう。最初、この作品の評判を聞いた時は、才能ある若手監督の作品だと思った。だけどこれ、(もはや)大御所、ジョエル・シューマッヒャーなのだ。ジョエルかっこいいぞ! で、この作品、アイデアはいいのだが、テーマやメッセージの点でもうひとつ。主人公が公衆の面前で「罪を告白」するところがクライマックスになっているのだが、それで彼が救われるのなら、犯人はまるで神父のようではないか。だいたい、悪人でイヤな野郎のはずの主人公が、事件に巻き込まれた瞬間から「ただの被害者」に変わってしまうところに深みの無さを感じるし、犯人の動機には、例えば黒澤の『天国と地獄』の犯人・青年医師のような、あのなんともいえない「やりきれなさ」、「怒りや不満」があるようには見えない。つまり、災難にあった男の話としてはいいのだが、「犯人の行動に共感」を憶えるような脚本、せめて序盤までは、主人公がいやな悪役然としている展開が見たかったと思う。


バリスティック このなんともイケイケの題名、日本配給会社の造語かな?って思ったら、「弾道」という意味の英語なんですね。内容のほうは、ルーシー・リューのアイドル映画みたいなカンジですw …ということで、この映画のクライマックスは前半に来ます。ルーシーがひとりで警官隊をみんなやっつけちゃうところ。むちゃカッコいい。


バッドボーイズ 2BAD 「マルマゲドン」「パールハーバー」のマイケル・ベイ監督。前半のカーチェイスがスピード感・迫力十分。2時間半と長い作品だけど、静と動をテンポ良く見せていて、アクション大作としてはなかなか楽しめます。ただ、かなり悪趣味なシーンがあって、こんなエンターテイメント大作に必要なのかな?と思ってしまいました。悪役キャラが、下の「SWAT」の悪役とどうもかぶってしまうのは、このへんが現代の知的冷血犯の典型だからでしょうか。


S.W.A.T. 70年代の人気TVシリーズの映画化だそうです。だからなのか、キャラの性格付けがしっかりしていて、安心して見ていられる感じです。レンタル屋でTVシリーズのパッケージをみたところ、”サンチェス”(女SWAT)はいませんでした。実際、女性隊員って、70年代にはいなくて、現在はいるんでしょうか。それにしても、こんな危険なことが仕事だなんて……大変そうだけど、ちょっと羨ましいっ!


陰陽師U 豪華なキャスト、ドラマティックな音楽、ユニークでスケールの大きい物語…このエンターテイメント性は、現代邦画ナンバーワンといっていい。「野村萬斎を見せる」という、明確なテーマも大いに強みになっている。今回は、深田恭子・市原隼人というゲストが見所だが、最初、どちらも弱いと思った。終盤、深田恭子は輝いてくるが(この人は、何か人間ばなれしたキャラをやらせるとスゴイ)、市原隼人のほうは、最後までインパクトがなかった。萬斎はマイペース。クライマックスはどうもピーターに見えてしょうがなかった。次回は激しく感情をあらわにする清明がみたいところだが、ならば宿敵には、これまたマイペース、クールさでは萬斎をもしのぐ、浅野忠信を配してはいかがでせう。


ティアーズ・オブ・ザ・サン 竹を割ったような米軍プロパガンダ映画。「ライオンキング」みたいな音楽もいやらしく聞こえる。でも、面白いw ブルース・ウィルスになって、女医を助け、ジャングルを突破しろ!敵の指揮官や、大統領の息子を、存在感のある役者にしているのが良かった。だけど、さすがにラストの現地人の尊敬の眼差しには苦笑したなぁ。


ハンバーガーヒル ベトナム戦争ゲームをしていたら、むしょうにベトナム映画が観たくなった。「そういえば、あれ観てなかったなぁ…」 思い出したのがこの作品。もう17年も前の映画。当時は『プラトーン』が流行っていて、なんだか二番煎じのような気がして観ていなかったのだ。非常に冷静で、芯のある作品だと思った。兵士のやるせない気持ちが伝わってくる。音楽が面白いとおもったら、なんとフィリップ・グラス(現代音楽の巨匠)だよ!(旧作)


フレディvsジェイソン 意外にも、お話が面白かった。冒頭のフレディの嘆き、「オレはみんなに忘れられると、出番が無い」うんぬん、という所などは、『エルム街の悪夢』がいわゆる都市伝説の産物であることをあらためて思い出させてくれる。フレディの芝居も妙にノっていて楽しい。そして、ジェイソンの描き方は今作の白眉といえるだろう。『リング』の貞子のような子ジェイソンを見せられると、思わず肩入れしてしまう。ジェイソンに有利な場所へと、眠っている彼をバンで運ぶシーンは可笑しい。もちろん、ジェイソンと「心が通う」なんてことは一切無いのだが。普通にやれば、”よくしゃべる”フレディが目立つに決まってるところを、バランスよく両者を「おちゃめ」に魅せている。続編に期待大!w


28日後... 『ゾンビ』『死霊のえじき』への愛が伝わってくる。それと『博士の異常な愛情』の香りも少し。ファーストシーンでいかにも「異常現象」の発端を描いてはいるが、その後はこの「異常現象」には触れず、ただ主人公達がいかに生き残っていくかを描いている。そしてそれは終盤の、主人公の強烈な行動によってクライマックスを向かえたといっていいだろう。このスタンスはゾンビものの王道ともいえるのだが、いかんせんオリジナリティに乏しい。『ゾンビ』の俺的リメイクなのか。エンドロールの音楽はツボ(’70っぽい!)。これはやられた。「終末映画」の後味は、エンディング音楽が重要なんだよなぁ。


座頭市 たけしは「市」を演じるにあたって、その役作りに苦心したに違いない。それほど勝新の「市」が圧倒的だったからだ。実際本作の「市」には、最後まで何かもの足りない印象を憶えた。映画としての完成度もけっして高いとはいえない。寄り気味のフレームからは、時代劇の映像が制作費で左右されることが判るし、『ブラザー』あたりから目に付くようになる、海外向けのような撮り方も評価が分かれるところだろう。それでも文句無しに、この映画は面白い。久しぶりに(『みんな〜やってるか!』以来?)コントネタがお目見えしたし、エンディングもすこぶる爽快だ(同時に姉妹にはグッときた)。海外の映画館で、どのくらい笑いが取れたのか知りたいところである。


KOROSHI 殺し 小林政広監督作品三連発。リストラされた人のいい男が石橋凌というのはどうなのか。余計な悲愴感を出さない為の石橋凌なのか。話の内容が前作『ブートレグフィルム』に共通するところがある。それは「仕事」。小林監督はきっと無収入だった時期がけっこうあったのだろうw 自分もそうだったので(w)、リストラされて卑屈になっていた石橋が、「殺し屋」とはいえ久しぶりの仕事を受け、充実感をあらわにしているのが妙に可笑しかった。この映画、音楽がまったく使われていない!そのためか、ラストがとてもさみしかったなぁ。(旧作)


ブートレグ フィルム 小林政広監督。これまた独特のテンポを持った作品だ。このテンポには古い映画のような懐かしい感じを憶えるのだが。背景は雪一色で黒服の男が2人、しかも白黒映画なので、もう夢なんだか現実なんだかわからない。また、サウンドトラックとういには妙にフィルムを支配している音楽。どうやら、小林ワールドにハマってしまったようだ。(旧作)


歩く、人 「あるく、ひと」である。「あるくひと」なら、個人的な問題であろう。「、ひと」ならば、ニンゲンは歩くものだ、歩かなければならない、となるか。小林政広監督作品。とても感動した。作為的であるが、リアルでもある。激しい小津安二郎のようでもある。音楽の使い方もバツグンにうまい。観終わったあと、「ブラボ−!」とおもわず言ってしまいそうな、すばらしい作品。(旧作)


地獄甲子園 漫☆画太郎原作まさかの映画化。けっこうスピリット的には良かったんじゃないかな。主役が最高。もしかしたら、原作を読んでないほうが楽しめるのかもしれない。これから画太郎先生の映画化が増えていくのかな… はうあっ!


ジョニー・イングリッシュ 出だしは退屈した。ベタなギャグもそうだが、アトキンソンがMr.ビーンのように”完全アホ”なときと、意外にマトモなときがあり、どうもしっくりこないのだ。この作品で楽しめたのは、女王陛下を辞めさせて自分が英国王になるという、マルコビッチ扮するフランス野朗のとんでもない野望だ(国王になった後さらにすごい計画あり)。だいたい、女王に銃をつきつけ脅すというシーンはコメディならではだと思うが、びっくりした(日本じゃコメディでも絶対できないよな)。イギリス人の「自分達で自分達をからかう」という伝統的(?)な笑いの嗜好を見せてもらった。ちなみに脚本は本家007(最近2作)の脚本家なんだって!


呪怨2 もうやめて〜っと心で叫びながら観ていた前作の正統な続編。また「あの家」が舞台です。ゾ〜ッ。今回、パワーダウンしたように思えるのは、この恐怖演出に少し慣れてきたからかもしれません。前作をサム・ライミが激賞したのは有名ですが、深いストーリーがなく、映像のインパクトと時間軸をずらした物語構成のみで見せる恐怖演出方法は、確かにわかりやすく、シンプルでもあり、けっこう新鮮だと思います。その点でいうと、前作より洗練されているといっていいでしょう。このシリーズ、エンディングが[推定少女]の曲なんですが、これがけっこう雰囲気があっていい。ちなみに前作は「鍵が開かない」、本作は「間違い」という曲でした。


過去のない男 初めて観ました、アキ・カウリスマキ作品。淡々としていて、ユーモラス、説教臭くもない。批判するのでなく、肯定し、元気を与える。非常に眼差しが暖かいと思いました。そういえば、フィンランド映画なんですね。フィンランドといえば、国民性が日本と似ているとの特集をTVで見たことがあります。日本の演歌も流行っているそうです。実際、劇中にその演歌が流れるのですが、一瞬それとわかりません。違和感がないんです。ちなみに、フィンランドにはシベリウスというクラシックの大作曲家がいるのですが、本場ドイツやフランス、イタリアではほとんど人気がない。で、人気があるのが、ヨーロッパではイギリス、そして日本なんです。自分も、北欧の神秘的で冷たい肌触りが好きで良く聴きます。というわけでフィンランド、一度は行ってみたいですね。(準新作)


ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還&二つの塔 なぜ一緒なのかというと、完結篇を劇場で観るために前日に速攻で2を観たから! 計6時間! あまり1作目が記憶になかったので、最後に、「フロドって王子様じゃないんだっ」って気づいたりして…。そんなんでも完結篇は感動した。劇場で観てよかった。それにしても、ラスボス弱いなぁw お気に入りのキャラは、フロドの友人サムと[ いとしいしと ]スメアゴル。あのCGクリーチャーは演技賞ものだと思う(マジで)。


ロックンロールミシン 行定勲監督作。サラリーマンの主人公が偶然昔の友人に会い、自分の生き方を考え、会社を辞める。そして、服のインディーズ・ブランドを立ち上げようとしているその旧友らと共に生活を始める。なんとも懐かしい香りのする、サラリーマンにとっては夢心地のような生活。が、現実は厳しい。学園祭は必ず終わりが来るのだし、千は千尋になって元の世界へ戻るのだ。・・・良い映画です。(旧作)


シティ・オブ・ゴッド ブラジルの悪ガキ映画。悪ガキだー。ホントに悪ガキだぁ。ナイフなんか出てこない。銃だ、みんな拳銃で戦ってる。監督の少年時代の実録らしい。内容は刺激的だけじゃなく、映画としてもよくできてるし、センスもいい。監督のフェルナンド・メイレレスは03年度米アカデミー賞・監督賞にノミネートだって!


アンダーカバー・ブラザー アフロなドラゴン野郎・ブルース・リーライが007よろしく活躍する、おバカ映画。というか「オースチン・パワーズ」の黒人版(脚本家がオースチン・パワーズ/ゴールドメンバーの人)。でも悪が白人主義組織で、対するのが正義の黒人秘密組織というところが本家にない過激要素だ。そんなあらすじと主人公のド派手な格好を見て、「これが面白くないハズがない」と思ったが、意外に地味な内容だった。ギャグが古くさすぎるし、主人公に芸がない。一番期待していた、ファンキーな音楽とキレのある映像が見られなかったのも残念。ヒロインが白人のデニス・リチャーズというのが面白い。(準新作)


極道恐怖大劇場 牛頭(ごず) すごいもの観させていただきましたw 三池監督作品。これを見てハッキリわかったことが、「デット・オア・アライブ」(評価の高い三池作品)がいまいち好きになれない理由は、哀川翔と竹内力だったのか…とw 三池ワールドの毒には、どちらかというと地味な役者がいい。あの2人だと濃すぎちゃうんですよね。曽根英樹、フツーっぽくてよかったです。それと、吉野きみ佳!なんかスゲえぞ。(準新作)


クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード 前2作「オトナ帝国」と「戦国大合戦」で高い評価を受けた原監督に代わって今回は水島努・新監督。基本的にアプローチは変わってないです。違う所といえば、映画しんちゃん特有のノスタルジックさが無い!いちおうネタ的には、映画「地獄の黙示録」を持ってきてますが、「ああ、いいなぁ」と思うところまで来ていない。脚本も前作「戦国大合戦」に比べたら、足元にも及んでいません。ただ、ジェットコースターと自転車競走のシーンはなかなか興奮するものがありました(インディジョーンズっぽいかな)。 



チャーリーズ・エンジェル フルスロットル もう冒頭から見せてくれます。トレーラーが落っこちるやつ。なんだもありのアクション。突き抜けてるなぁ。バイクのシーンもすごい。「マトリックス」に匹敵するエキサイティングなアクション。まぁそれにしても、このノリは貴重ですな。(準新作)


バーバーショップ アイスキューブ主演のコメディ。バーバーショップでケンカが起こりそうになったときに、音楽がかかるとみんな踊りはじめる。このシーンが印象に残った。黒人スターがけっこう出ているらしいのだが、知らないのが残念。いつもながら、黒人映画はコメディといっても非常に真面目です。(準新作)


刑務所の中 マニアがこうじて銃刀法違反で逮捕された漫画家が、刑務所での日々を描いた漫画が原作。とにかく可笑しい。とにかく食欲を刺激する。自由について考える。人生について考える。ニンゲンの生活について考える。こんなにツボにハマったのは、語り部でもある主人公、花輪(山崎努が好演)の感受性に共感を覚えたからだろう。ちなみに漫画のほうは、2001年手塚治虫文化賞の1次選考で1位だったにもかかわらず、最終選考を作者が辞退したそうです。(準新作)



72時間 不治の病を宣告された主人公が、自分の死は自分で決めたいと、殺し屋を雇って自分を殺させるという展開に、もうひとつ説得力が欲しかったような。しかし、ここで納得しないと次に進めない。その後の展開は非常に面白いのだが…。この設定、多分コメディにしたほうが面白いのではないか?誤診を知った主人公が、急に、街の中でコートを着た男達にビクビクするなんて絶対笑えるシーンになると思うw こんなことを言っているが、実は主人公エメットにかなり感情移入して観ていた。引き込まれる展開、曲者役者陣(とくにティム・ロスの殺し屋は見ごたえあり)、演出も細かい。ドラマチックな音楽も◎。ラストがよかった。思い切った終わらせ方といっていいだろう。キース・シュナイダーという人の第1回監督作品だそうだ。この名前、要チェックである。


BLOOD ザ・ラスト・ヴァンパイア 『人狼』や『攻殻機動隊』、最近では『キルビル』でCG融合のハイクオリティなアニメーションを見せる「プロダクションI..G.」の作品。約45分と時間が短く、実験的な作品だった。ストーリー的にはとくに目新しいものは無く、音楽も平凡だが、3DCGとの融合の妙、太めの線で描かれた寺田克也デザインのキャラ、その色彩と光は素晴らしい。(旧作)


座頭市 1989年に勝新太郎監督で作られた傑作。60年代、70年代に作られたシリーズと比べて遜色ないどころか、それらを上回る作品に仕上がっている。その最大の理由は、市が年をとっていることだと思う。市というヒーローの最大の特徴である、世間から見捨てられた、世捨て人としての「市」というポジションがリアルに(そして凄みを増して)伝わってくるのだ。それはファーストシーンで既に顕著に表れていて、「この映画、ただものではないかも…」と思わず背筋を正してしまった。黒澤とは違う、もうひとつの日本時代劇の頂点である。(旧作)


山猫は眠らない 狙撃手という題材、しかもほぼ全編現場にしては、いまいち緊張感に欠けた仕上がりだ。だが、この雰囲気がいい。遠くから相手を狙ってジッと待つというスナイパーに、男ならワクワクしてしまうものなのだ。敵スナイパーの銃の先端が見えたとき、「あっドラグノフだ」と判ったのがうれしい、そんな映画だったりもする。(旧作)


連合艦隊 真珠湾攻撃から、戦艦大和の最期までを描く。長門裕之らゼロ戦整備士と新兵パイロットのシーンは泣ける。終盤の戦闘シーンは悲しいが、この種の悲壮感は『さらば宇宙戦艦ヤマト』での体験がすごすぎて…w 古手川裕子や森繁久弥の故郷のシーンがなんか良かった。でもやっぱ整備士と新兵パイロットのシーンが泣けるよなぁ。(旧作)


子連れ狼 三途の川の乳母車 劇場シリーズ第2作目。その残酷度からカルト的人気がある。たしかに斬られかたや血の出かたが他の時代劇と違うw 演出も面白い。漫画的なものを意識したのかはわからないが、かなり斬新である。「ダーティハリー2」のような音楽もカッコいい。アイデアの面白さに関しては、基本的に原作に忠実なので、いかに原作がすごい(ぶっとんでる)かと言うことである。アメリカでは1980年頃に『ショーグン・アサシン』という題で上映されてかなりヒットしたらしい。『13日の金曜日』などのいわゆる80’sスプラッター・ムービーに影響を与えているという話は有名である。(旧作)


座頭市血煙り街道 1967年のシリーズ17作目。この作品の「キモ」は、ラストの勝新と近衛十四郎(戦中戦後、殺陣の実演巡業をしていた)の決闘シーンの「スゴさ」らしいのだが、最近のCG格闘に目が慣れてしまったせいか、それほど感激できなかったのが残念だ。それでも、このシリーズはリアルだと思った。シリーズ17作目くらいになれば、「とんでもない敵」とかが出てきてもよさそうなのに。他の時代劇ヒーローものに比べるとなんとリアリズムに徹しているのだろう!ちなみに本作はアメリカで「ブラインド・フューリー」(1989年・ルトガー・ハウワー主演)としてリメイクされている。(旧作)


新・座頭市物語1963年のシリーズ3作目。本作よりカラーになった。市の師匠の妹(坪内ミキ子)が「市さんと一緒になりたい」と市に告白するのだが、それを感激して受けるシーンが良かった。その婚約を知った、市を狙っていたヤクザの行動も泣かせる。(旧作)


ラストサムライ なかなか熱い映画だった。格闘シーンや合戦シーンも迫力十分(動きが速くて目が追いつけないところもあった)。渡辺謙も評判通りだったし、また子役がとてもよかった。あの眼差しが良かった。しかし、全体的に物語が単調で、盛り上がることは盛り上がるのだが、使い古された新鮮味のない盛り上げ方である。ネイサン(トム・クルーズ)に付きまとう、監視役の侍のシークエンスがもっと見たかった。このコンビはもっと笑いが取れたはずで(またそれが終盤、感動につながる)、単調な展開に潤いを与えることができたはずだ。さらにこの映画の一番の欠点は、ネイサンとタカのラブストーリーだろう。「仇」が「愛」に変わる過程にもうひとつ説得力のあるシーンが欲しかった。(ここより2004年)


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