実務の友
期間計算の一般原則


  期間の定め方としては,次の2つの場合があり,それぞれに期間計算の方法が違っています。

 時・分・秒を単位とする場合
 即時を起算点とし,時・分・秒の終了を満了点とします。自然の時間によって計算する方法で,「自然的計算方法」といいます(民法139条

 日・週・月・年を単位とする場合
 暦に従って計算します。これを「暦法的計算法」といいますが,この計算方法では,次のとおり,「起算点」と「計算方法」,「満了点」の3つについて,法律の定めを確認しておくことが必要です。

(1)起算点
 期間計算の起算点については,原則として,初日を算入せず翌日から起算し(初日不算入の原則),初日算入は例外的な扱いとなります(民法140条本文刑事訴訟法55条1項)。ただし,その期間の初日が午前零時から始まるときは,初日を算入します(民法140条但書)。

 上記の「初日不算入の原則」は,他の法令にも一般的に適用されますが,法令に特別の規定がある場合は,適用が排除されます。「初日算入」の例としては,国会法14条(会期の起算)・133条(期間の計算),公職選挙法256条(任期の起算),刑法23条1項(刑期の計算)・24条1項(受刑・時効期間),刑事訴訟法55条1項但書(時効期間),民事訴訟法95条2項(裁定期間の始期),戸籍法43条1項(届出期間の起算日),年齢計算ニ関スル法律1項(年齢の起算日)等があります。
 法令の施行時期について,例えば,法律の公布の日(官報掲載日)が5月8日で,「この法律は,公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。」とあった場合,「公布の日」は上記の「初日が午前零時から始まるとき」に該当するので,「公布の日」を初日として算入し,20日目の5月27日を経過した時点(5月28日午前0時)をもって施行となり,「 5月28日から施行する」という意味になります。

(2)計算方法
 期間の計算方法は,暦に従って期間の末日を計算します(民法143条1項刑事訴訟法55条2項)。
 「暦に従って計算する」とは,1月を30日として日に換算して計算するのではなく,現行の太陽暦に従って計算することをいいます。

 月を単位とする期間計算では,末日は民法143条2項により求めますが,この法意には,次の3つの場合の計算方法が含まれていると考えられます(注釈民法(5)10頁)。
 
場  合
算出されるべき
満了日
根拠
具体例
(1) 
 月の初日から起算する場合 最終月の末日 民法143条2項本文  1月1日から起算して2か月は,平年なら2月28日,閏年なら2月29日が満了日
 1月1日から起算して3か月は,3月31日が満了日
(2) 
 月の途中から起算し,最終月に応当日のある場合 最終月の応当日の前日 民法143条2項本文  1月20日から起算して2か月は,3月19日が満了日
 1月31日から起算して2か月は,3月30日が満了日
(3) 
 月の途中から起算し,最終月に応当日のない場合 最終月の末日 民法143条2項但書  1月31日から起算して1か月は,平年なら2月28日,閏年なら2月29日が満了日
 3月31日から起算して1か月は,4月30日が満了日
  したがって,この計算方法では,同じ期間でも,年の平閏(平年か閏年か),月の大小(月末が31日か30日か,28日又は29日か)によって実日数が異なってきます。

 年を単位とする期間計算
   期間計算の裁判例
(3) 満了点
 期間の満了点は,末日の終了(午後(深夜)12時の経過)になります(民法141条)。
 期間の末日が
  (1) 日曜日,土曜日
  (2) 国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日
  (3) 1月2,3日,12月29日から31日までの日
に当たるときは,
その翌日が満了日となります(民事訴訟法95条3項刑事訴訟法55条3項本文)。
 さらに,休日等が連続するときは最後の休日等の翌日が末日となります(兼子・条解民事訴訟法390頁,ポケット刑事訴訟法118頁)。



2007.04.08改訂


期間計算の根拠条文
4月1日生まれは,早生まれ

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