■2024年12月号

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バイオジャーナル

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●RNA干渉法
●RNA干渉法で飼料用昆虫開発

 農研機構と東京大学の研究グループは、国のムーンショット計画の予算を用い、新たな飼料用昆虫を開発した。対象の昆虫はアメリカミズアブで、幼虫が食品残渣や有機廃棄物を食して成長するため、魚粉に代わる家畜用飼料に適しているという。このアメリカミズアブがこれまで飼料に用いることができなかった理由は、必須アミノ酸の濃度不足だった。そこでRNA干渉法を用いてアミノ酸輸送システムに介入して排出機能を低下させ、体内にアミノ酸を高蓄積させるよう開発を進めていた。〔農研機構 2024/11/1〕

●生分解性プラスチック生殖幹細胞移植
●強靭性の高い生分解性プラスチック開発

 大阪大学理学部教授の高島義徳らの研究チームは、既存の生分解性プラスチックに特異な分子設計等を施すことで強靭な生分解性プラスチックを開発したと発表した。このプラスチックは溶かして再び成形でき、しかも強さはほとんど変わらないため、再利用が可能であるという。またリパーゼを用いて分解も可能だとしている。この研究は10月30日付「Cell Press Chem」(オンライン版)に掲載された。〔ResOU 2024/10/30〕

●生物多様性条約
●生物多様性条約第16回締約国会議が未了のまま閉幕

 コロンビアのカリで開催されていた生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)が、最終合意を持ち越したまま時間切れで終了した。最終日の本会議が当初予定の11月1日中に終わらず翌朝まで結論が出ず、多くの国が帰国したため定足数割れとなり、重要なテーマの合意が得られないままとなった。なかでも途上国が求めていた生物多様性を保全するために必要な費用の先進国の負担の割合が合意に至らなかった。また生物多様性の損失を止め反転させるとしたCOP15の目標について、その評価方法をどうするかという議論も結論を得られないまま持ち越された。そのため改めて再開会議が開催されることになった。そのようななか、主要な議題の1つだったDSI(遺伝資源に関するデジタル配列情報)がもたらす利益配分の問題では合意がなされ、DSIを用いて利益を得た大企業などは、利益の一部を規模に応じてカリ基金と呼ばれる国際基金に拠出することとなった。企業規模や拠出の中身等はCOP17で決められる。