■2025年11月号

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バイオジャーナル

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●遺伝子操作生物
●世界自然保護会議が遺伝子操作を容認

 2025年10月9〜15日、アラブ首長国連邦のアブダビで「IUCN世界自然保護会議2025」が開催された。この会議での最大の焦点の1つが、遺伝子操作を容認するか否かだった。会議では、絶滅危惧種の病気に対する免疫付与、遺伝子ドライブを用いた侵入種の根絶、絶滅した動物の復活、などのプロジェクトが提案された。それに対して、全大陸にまたがる90以上の団体から、遺伝子操作した生物を自然環境に放出した場合、その結果は予測不能であり取り返しがつかない、として反対声明が出された。しかし会議では「合成生物学と自然保護に関するグローバルポリシー」が採択され、遺伝子操作容認に向けた舵が切られた。〔Save Our Seeds 2025/10/10ほか〕

●GM食品
●カナダでは3種類のGM野菜・果物が流通

 カナダの市民団体CBANによると、カナダで流通している遺伝子組み換え野菜や果物は、スイートコーン、パパイヤ、そしてピンクの果肉のパイナップルの3種類。ただし、これらの野菜や果実は広く出回ってはいない。一方、カナダの食卓は、GMトウモロコシ、ナタネ、大豆、テンサイから作られた加工食品が占拠している状況にある。さらに今後、ゲノム編集カラシナ、イチゴが市場に参入する恐れがある、と報告した。〔CBAN 2025/10/5〕

●異種移植
●日本でもブタの腎臓を用いた異種移植実施へ

 米国や中国で異種移植が積極的に行われているが、日本でも豚の腎臓を用いた異種移植に向けた動きが活発になっている。明治大学発のスタートアップ企業のポル・メド・テック社(川崎市)は10月11日、豚の腎臓を腎不全患者に移植する異種移植を、早ければ2027年に実施する、と発表した。名古屋市で開催された日本移植学会の総会で同社の創業者で明大の長嶋比呂志専任教授が明らかにした。ポル・メド・テック社は、米国企業が開発した臓器移植用豚をクローン技術で増殖している。その米国企業は米国ですでに移植を進めており、そのデータをもとに国に承認申請を求める予定だが、国内では異種移植の経験がないため、承認には難航が予想される。〔読売新聞オンライン版 2025/10/11〕