Far away 〜少年の恋〜

──written by透海あきらsama@銀の雫




「オリヴィエ様、オリヴィエ様ーっ!!」



今日もまた、少年はあたしのところへ駆けてくる。

栗色の髪をなびかせ、空色の瞳を輝かせ。

そしてあたしの目の前まで来ると、

いったい何がそんなにうれしいんだか満面の笑顔になる。

ちょっと得意そうに。

『どこにいたって俺はオリヴィエ様を見つけますよ』 とでも言いたげに。

この純情・青春・熱血を絵に描いたような生真面目な少年は、

どうしたものかあたしのことを好きだと言って憚らない。

少し下から見上げてくる真っ直ぐな視線。

まだまだ幼さを残すその瞳が、時々どきっとするほど熱っぽく輝く。

心ごと、もっていかれそうになる。

でもそれも―――悪くない。



「オリヴィエ様、俺のこと全然子供だと思ってらっしゃるでしょ?

 確かに今はそうかもしれないけど・・・・でも見てて下さい!

 俺、必ずオリヴィエ様につり合うような立派な騎士(ナイト)になってみせますから!」

少年期特有の甘い戯言と、それを笑うことはカンタン。

でもあたしは笑わない――笑えない。

だってもう望んでしまってるから。

誰よりも、あたし自信がそのことを。



好きに、なってしまったのかもしれない。

自身の司る風のような、この少年を。

少年は前だけを見て歩いていく。常に高みを目指す。

今はあたしを見上げるその視線も、

すぐにあたしに追いつき、そして追い抜かしていくんだろうね。

時間(とき)の魔法をその身に受けて、少年は大人になっていく。

そしてその身をかけて守るべき愛する存在(ひと)に出逢った時、騎士へと変貌を遂げる。

今はまだ少年の恋。

いつの日かあんたはあたしをおいて、あたしを忘れ、

あたしの手の届かないところへと羽ばたいていくのかもしれない。

それでもかまわないよ。

たとえこの先に待つのが別れだとしても、あたしはあんたを見ていたい。

早く大人になりな、ランディ。

あんたがあたしの元から飛び立っていく日も、最後まで笑って見送ってあげるから。



――でもね。

ホントは少しだけ祈ってるんだ。

あんたを騎士へと変える存在が、このあたしであることを、ね・・・・・・。


fin.





さんくすめっせーじ(by ひろな)     2002.10.27

きゃあ〜ん、みんな見て見てーっ!
あきらさんから素敵風夢創作をいただいてしまいました〜〜!!\(^o^)/
うちのサイトの2周年記念なんて、そんな本人ですら忘れてたのに(それどころじゃなかったからね……(^^;)<地獄の夏コミ(^^;))、なんてお優しい方なのでしょう……っ!! あ〜んどヴィエ様BD記念ってコトで、将来有望な(?)風の子ランディの愛を!プレゼントでっす☆

告げられた想いを、ちゃかして終わらせてしまうのは簡単だけど、もうそんなことできないくらいに囚われてしまっている。 そういうの、すごく好きです。後戻りできないところまで来てしまっている。後戻りなんて、もうしたくないくらいに。
空さえ射抜く真っ直ぐな瞳のその先を、見てみたいと思ってしまっている。
──そして私はもうこの二人の行く先を見たくて仕方なくなってしまっています。
毎度のコトながら、なんて的確に私のツボを射抜く言葉を使ってくるのでしょうこの人は。人の心には感性の扉がいくつかあって、それぞれたくさん鍵穴がついているのですが、あきらさんと私の鍵&鍵穴は、かなり同じ形をしているものが多いのではと思うのです。物語の中の言葉とか、サイトの素材とか、もう、やられっぱなし。
ほんとにどうもありがとうございます!!
どうかこれからも、私の心をぐらぐら揺さぶるような素敵なお話をたくさん書いてくださいv




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