hot milk

──written by YUKI




今日は君の誕生日。なのに君はベットの中で、俺はその隣に立ちすくんでいだ。

「やぁ、君は彼女のところの手紙の精霊だね?お疲れさま、でも急にどうしたん
だろう。もうすぐ誕生パーティーが始まるっていうのに」
その手紙を読んですぐ、君の部屋へ駆けつけた(途中で思い出してルヴァ様の所
まで帰ったけど)。
だって風邪で熱がある君を放っておけるわけないじゃないか!

そして駆けつけた俺の目の前で、君は苦しそうに眠っていて・・・。
だからごめん。君の精霊を借りるよ。
本当は俺がマルセル達の所へ事情を知らせに行けば良いんだけど、離れる訳には
いかないから。君の側を、たとえ一瞬でも離れたくないから。
そしてその手紙に「寝ているから、誰にも来て欲しくないみたいなんだ」って書
いたのも俺のワガママ。元気になった君は怒るかな・・・?
怒られたって構わないから、早く元気になって欲しいよ。

ルヴァ様のところで薬は貰ってきた。だけどやっぱり起こすのは気が引ける。
それに手紙には昨日から何も食べてないような事が書いてあった。
だから君に食事を作ってあげるんだ。
ちゃんとお粥の作り方だって聞いてきたんだよ。俺にでも出来る一番簡単な方法
だけど。
・・・って、お粥キライだったんじゃなかったっけ?
うん、確かにそう言ってた。いくら体に良くったって、病気の君にキライなもの
食べさせる訳にはいかないじゃないか。
けど、君の側を離れたくないし、俺って折り紙付きに不器用だから、精霊に頼ん
で教えて来て貰っても上手くできない気がする。
今の君に食べる事が出来そうなもので俺が作れるもの・・・。
そうだ。ホットミルクは?君が前に俺の為に作ってくれたから覚えてる。
鍋に牛乳を入れて暖めるだけなんだ。ほんのちょっぴりのハチミツを入れて。

折角良いアイデアだったのに、君は一向に目覚めない。
鍋と牛乳とハチミツとカップの準備は出来たのに。
一度暖めた牛乳が冷めると膜が張って美味しくないのは知ってるから、作ってお
く訳にはいかないよなぁ。
一瞬、すごくすごく嫌な事が頭をよぎった。
ひょっとして、君がこのままなんてこと・・・。
そんなこと、あるわけないじゃないか!

でも、一度巣くった不安が消える事はない。
だって君はまだうなされているから。
苦しそうにして、いつものあの綺麗で透きとおった瞳を見せてくれないから。
どうして俺は風の守護聖なんだろう。
もし夢のサクリアを持っていたなら、眠っている君を少しでも楽にしてあげられ
るのに。

ふと、ルヴァ様のお話しがよみがえる。
熱が出るのは、体が病気の元と戦っているからだって。
今も君は一生懸命なんだね?
それなら、俺にも応援できるんじゃないかな。
だって俺は勇気を運ぶ風の守護聖。
君が元気になるのなら、俺の中にある全てのサクリアを捧げるよ。
直接人に力を注ぎ込むなんてやったことないからわからないけど、とにかくっっ。

君に届け!俺の勇気!

あぁ、なんだか慣れないサクリアの使い方をしたからかな。
なんだか急に力が・・・。。
君に、ホットミルクを作ってあげたいのに・・・。

その後、心配して様子を見に来たルヴァが見たものは。
高熱に苦しむ部屋の主と、ベットの側で倒れ込むように眠っているランディの姿
だった。
強制連行された執務室からルヴァの声が響く。
「いいですか?ランディ。以前あなたにも”生兵法は怪我のもと”って教えたと
思ったんですがねぇ・・・。確かに、あなたの風のサクリアは生命の息吹や一生
懸命な気持ちを支えてくれます。ですが、風邪の病原菌だって生きているんです。
彼女の白血球の力。まぁ免疫力でしょうか。それを手助けしたとしても、肝心の
病原菌を活性化してしまっては元も甲もありませんねぇ。今回は運良く回復に向
かっているようですが・・・。今後一切こんな真似はしないでくださいね。次も
また上手くいくとは限らないのですから」
「つまり、もっといろいろな事を覚えなきゃいけないってことですねっ?ルヴァ
様」
「ちょっと違っているような気がしますが・・・。まぁ、そんなところですね」
「はいっ。俺、頑張ります。それにこれからマルセルのところで料理とか教えて
貰おうと思ってるんですよ。ホットミルク以外にも、作ってあげたいですから。
それじゃぁ、失礼します」
勢いよく頭をさげて、止めるまもなくマルセルの館の方向へ走っていく。
「はぁぁ・・・。本当にわかってくださってるんでしょうかねぇ・・・」

君が俺のために作ってくれたホットミルクの味は一生忘れられない。
だから今度は俺が君のために作るんだ。
病気になるたびに、また飲みたいと思えるような美味しいホットミルクを。
それから早く元気になれるように栄養のあるものを。
君がいなくっちゃ、俺達の未来は始まらないんだからさ。



さんくすめっせーじ(by ひろな)     2001.12.2

きゃあ〜〜んvv(とろけ〜v) ランディ様が私のためにホットミルクをっv
YUKIさんから素敵な誕生日プレゼントをいただいちゃいました〜〜っv
しかも、ちゃんと(?)私がお粥嫌いだってのまで盛り込んであります(笑)。ええ、きっとランディ様が作ってくれたものでも、お粥は食べられないと思いますよ私(>_<)。「食べないと良くならないよ」なんて言われちゃったり……、──あ、それはそれで萌えかもv(死)
しかもランディ様一人称ですv ランディの奮闘ぶりがわかってGood♪(笑) ランディ一人称、私は書きにくくて苦手なんですが、読むのは好きなんですよね。この人こんなこと考えてんだ〜、とか思って。ああ、ランディかわいいvv
YUKIさん、ホントにどうもありがとうございました〜〜vv


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