風邪に注意!

──written by 紫月sama@Cheshire Cat






「……クシュンッ」

聞こえてきたくしゃみの音に、宍戸は顔をあげた。途端に、こちらを伺う長太郎と目が合った。何か言おうと口を開きかけて、またクシュンとひとつ。それから、ズルズルと鼻を啜る音が続く。

「風邪か?長太郎」
「…はあ、そーみたいッス」

放課後の図書室も、5時を回ると閑散としている。期末テストの期間に入って、テストまでもう1週間を切った。長太郎も部活がないので、こうして図書館の片隅で向かい合って勉強をしているのだ。ふたりがいる場所は、オープンスペースの閲覧室ではなく、もともとは閉架式書庫だったところの隅にある、隔離されたような場所だ。長太郎のくしゃみは、静かな空間にやたらと大きく響く。

幸い他に人影がないからいいようなものだが、それでも長太郎は気を使って鼻をかんだ。
宍戸はそれを見て、眉を顰めた。

「おい。テストの日に熱出すなんてことになんねーよーに気をつけろよ?」
「はい……んっ…クシュンッ」
「…くしゃみ以外へーきなのか?どっか具合悪いところ――てか、もう帰った方が良くねえ?」
「大丈夫です!ホント、くしゃみだけですし。俺、ちゃんと家に帰ったら手洗ってうがいしてますし、夜も早めに暖かくして寝てますから」

宍戸が部活を引退してからというもの、いくら自由参加で部活に来てくれているといっても、やはり以前より会えない時間が増えた。だからこの貴重なふたりでいられる時間を、自分の体調の所為で不意にはしたくなかった。

「ホントか?」
「本当ですって……んっクシュンッ」

大丈夫といいながら、くしゃみの止まらない長太郎に、宍戸は心配顔になる。
暫く考え込んで、なにやら思いついたような顔になる。カタンと音を立てて立ち上がり、長太郎の隣へ寄る。不思議そうな顔をした長太郎の頬に手を添えると、すばやく辺りを見回して人が居ない事を確認すると、唇を合わせた。

「ッ!……んっ」

突然のことで驚いている長太郎の口腔に舌を入れ、絡ませる。反応をあまり示さない長太郎に不審を覚えながらも、少しの間キスを続け――離した。

「何するんですかっ!」
「…何って…お前の風邪…吸い取ってやろーかなって。俺に移れば治んだろ」
「俺を殺す気ですか!?」
「はあ?」
「口でしか息できないのに、口を塞がないでくださいっ!キスは嬉しいけど…それに、宍戸さんが風邪引くのは俺が嫌です!」
「うっ」

いろいろもっともなことを言われて、宍戸は押し黙る。その様子に申し訳なさを感じた長太郎は、慌てて告げる。

「治ったら、いっぱい宍戸さんからキスしてください!ね、いいでしょう?」
「馬鹿やろ、そしたらもーキスなんてしてやんねー」
「そ、そんなあ……宍戸さん〜」
「おら、遊んでないで続きやれよ。さっきから全然勉強進んでねーだろ?」
「う〜〜〜〜〜」

不満そうな長太郎を見ない振りして、宍戸は手元のノートに視線を移した。
内心密かに、自分から長太郎にキスしてやるのもいいかもしれない、と思いながら。




<END>





あああああ……長太郎、どうしてあなたはそんなにかわいいの…………(落涙)。

つーことで(?)。
紫月さん@【Cheshire Cat】から素敵な誕生日プレゼントをいただいてしまいました〜vv
なんて幸せ者なの私! そして長太郎!(笑) 愛されてるよー!!
紫月さんちの長太郎は、ホンッッッットにもう!宍戸さんに愛されまくって宍戸さんを愛しまくってシアワセ絶好調でバリかわいいので! HIRONAサン、至福でございます……。
今回のこれも、くしゃみ! くしゃみが! 「くしゅんっ!」なのよーかわいいいいいい〜〜v さらに、するまえに「……んっ」て息つめるのが! もうもうもうかわいくってかわいくって……(エンドレス)。──はっしまった、くしゃみ談義で終わりそうですこのコメント(をい)。
宍戸さんもかわいいですね〜。風邪吸い取ってくれちゃうなんて(でもそれって無理だと思います・笑)。ていうかキス! や〜ん大胆〜♪(喜)
なーのにそんな千載一遇のチャンスに「俺を殺す気ですか!?」とか言っちゃう長太郎が、私は好きです(笑)。なんかこういうイマイチ甲斐性が足りない人って好きなので……(苦笑)。い、いや、将来に期待ってコトで!!
風邪が治った後、無事に長太郎君が宍戸さんからのキスをいただけることを祈ってマスv(笑)
紫月さん、どうもありがとデス! また長太郎について語りまくりましょう〜〜♪

(2002.12.2 UP)





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