僕たちの日常・鳳宍編 ──written by 紫月sama@Cheshire Cat |
柔らかな真昼の光は、屋上にも分け隔てなく降り注いでいる。その陽の光を一身に浴びながら、満面の笑みを浮かべて走り寄ってくる長太郎の姿に、宍戸は目を細めた。 「宍戸さん!すみません!…授業ちょっと延長しちゃって」 「おせーよ、馬鹿っ!」 「俺だって早く来たかったんですよう〜。だって宍戸さんと4時間も離れ離れで!」 「……お前バカか?」 「はい、馬鹿ですよ」 けろりと返されて、宍戸は呆れた。 毎日毎日、好きだと言う思いをはっきり示されてぶつけられる事にも、最近ようやく慣れた。 しかしやっぱり…少し恥ずかしいものがある。こうも開けっぴろげで堂々として、そして思いっきりが良いと。 「恥ずかしいヤツ」 ぼそりと長太郎には聞こえないように呟いた。 それからにこにこと笑っている長太郎の腕を引っ張って、ふたりで昼食を取るのに適した場所を捜して座り込む。陽射しに恵まれた場所はぽかぽかして、おなか一杯になったら眠くなりそうなくらいだ。 「今日は、俺、弁当なんだよな」 「え?マジっすか!?宍戸さん!…うわあ、偶然だなあ。俺もそーなんですよ」 長太郎は宍戸に向かって弁当の包みをぶらぶらとさせる。両親共に多忙な長太郎は、昼は学食か、そうでなかったら購買で買ったパンやおにぎりやお弁当の事が多い。宍戸は毎日でも母親が弁当を作ってくれられるのだが、その日の気分によって変えていた。 「へえ。珍しーじゃん。家政婦さんが作ってくれたのか?」 「いいえ。…母さんが作ってくれたんですよ」 いそいそと長太郎は包みを解いて弁当箱を取り出す。育ち盛りの少年に相応しい巨大な弁当箱の蓋をパカッと開けた途端、長太郎が情けない声を出した。 「あ〜〜〜〜〜〜〜ッ!ウインナーが入ってないっ!タコさんウインナーにして入れてってあれだけ言ったのにっ!」 ぷくりと頬を膨らませて唇を尖らせて。まるで聞き分けのない幼稚園児のようなその仕草に、宍戸は苦笑する。中学2年生とは思えないほどの幼さを残すこの恋人は、それでも時折びっくりするほどオトナで。そのアンバランスさが、自分の心をひきつける要因のひとつなのかもしれないと思う。 「んだよ、ガキじゃねーんだから」 「だって!俺、あれ大好きなんスよっ!」 「あ〜〜俺のにもウインナ入ってるから――あ、でもタコじゃねーな。そんでも食うか?」 「はい!!もちろん!!」 こくこくと大きく頷く長太郎に、宍戸はやはり大きな弁当箱を差し出した。長太郎より身体は小さかろうと、育ち盛りの上に部活動をしているので、すぐにカロリーは消費されてしまうのだ。頷いた割にはウインナーに手を出してこない長太郎に、宍戸は首を傾げる。 「んだよ、いらねーのか?」 「ち、違いますッ……そのっ…普通…ほら――あーんとかって」 「あ?」 「宍戸さんが俺に…食べさせてくれないかな〜なんて」 などと、でかい身体で頬を染めて言うものだから、宍戸はがくっと肩を落とした。 しかし大きな目をきらきらさせて、必死に期待している様子を見ると、無碍にもできない。本当にコイツには甘くなってしまうと、宍戸は我ながら呆れた。 「……わかったよ、馬鹿」 「ほ、ほんとですか!?…あの、あのっ……口移しだともっといいな…あ、いてっ」 ポコンと頭を叩かれて、長太郎は呻いた。さすがに調子に乗りすぎたらしい。 キスもして、身体の関係だってあるのに、なんでそんなふうに怒るんだろう。そう思いながらも、そんな宍戸が好きだとさえ思う。 「おら。あーん」 「あーんvv」 宍戸が箸で取って差し出すウインナーに、ぱくりとかぶりつく。歯ごたえのいい皮を食い破ると、いい音がした。残りの半分も口に含み、ついでに宍戸の箸の先端まで舐めてみる。 「あ、何すんだよ」 「宍戸さんと間接キッスvv」 「………お前って、ほんっと」 「馬鹿ですよ、俺。本当は今、お弁当じゃなくて宍戸さんが食べたいし」 「ふつーそーゆーこと、マガオでゆーか?」 「だって、好きなんだもん」 「あ〜〜〜もう、わかったから。…昼飯ぐらいふつーに食わせろよ。…そのあと、な」 「宍戸さん!?マジですか!?」 長太郎は弁当箱を脇へどけると、隣に座る宍戸の身体をギュッと抱き締めた。宍戸がなにやらわめきながらもがいているが、聞こえない振りして。宍戸の身体からは、秋の太陽の暖かな匂いがした。 |
毎度お馴染み 紫月さん@【Cheshire Cat】ちの10万HIT記念フリーSSs(複数形)です〜v ──つーかUP遅(^^;)。すみません毎度……(^^;)。そして贈りモノできずにすみませ……(^^;)。 さて。 本命・鳳宍@屋上でランチタイム♪ 堂々と「宍戸馬鹿」発言する長太郎にラブvv ていうか「タコさんウインナー」って……(笑)。ああもう可愛いなぁ長太郎ってば!!!(長太郎馬鹿がココに) チョウシドのノリは、ランゼ(ランディ×ゼフェル@アンジェリーク)にとっても通じるところがあって、とてもラブ。そんでランゼみたいに背景に重いものがないから(コンプレックスとか任務とか)、より明るく、可愛くできていいですね〜v 年齢も下だし、かわいいかわいいvv ──けどカラダのカンケイはある、と(爆)。 紫月さんちの宍戸さんは、長太郎にとっても優しいので(甘いともいう・笑)長太郎幸せvv 照れて嫌がってみせてもカラダは求めてしまうのね……!?(その言い方やめれ・笑) ああもう! ス・テ・キ☆ 紫月さん、どうもありがとデス! 今年もがんばってください! (2003.1.27 UP) |