(注)森下アナウンサーのナレーションは完全レビュー。 [カッコ]内はVTRの様子をまとめたもの。インタビューについては、話し言葉のため、要点をまとめました。

いま お笑いを目指す若者が増えている(テロップ)

(テロップ)東京 お笑い芸人の養成所/これまでに400人が学んできた/ しかし お笑い芸人として残れるのは50人に1人か2人/この春 また多くの若者がお笑いを目指す

(爆笑オンエアバトルの紹介)

若手お笑い芸人にとって登竜門といえる番組があります。毎週土曜の深夜に放送している 「爆笑オンエアバトル」です。この番組では、毎回10組のお笑い芸人が登場し、自慢のネタを披露します。 会場には100人の審査員がいて、面白いと判断すればボールを転がします。審査の結果、番組で放送されるのは ボールの多かった上位5組のみ。実にシビアなお笑い番組なのです。
コントに漫才、落語にマジック。さまざまなジャンルから集まった笑いの創造者たちが、オンエア獲得を目指して 毎回熾烈な戦いを繰り広げてきました。番組開始以来、2年間で出場したのは264組にもなります。

(チャンピオン大会決勝に出場する11組)

この中でご覧の10組が、今回行われる「第3回チャンピオン大会」の決勝に挑戦します。 この大会に出場できるのは、これまでオンエアされた回数が多く、しかも好成績をおさめつづけている というのが条件です。いずれ劣らぬ笑いの精鋭10組。彼らの挑戦を受け、タイトル防衛を目指すのが、 ルート33です。栄冠を目指すごらんの11組。彼らはなぜこの世界にとびこみ、今どんな思いで お笑いに取り組んでいるのか、 その横顔に迫ります。

1組目は漫才コンビのますだおかだ。

実力十分の彼らは、常に観客の厳しい視線にさらされています。 [ネタ:#28の覚せい剤のところ/545キロバトルを出した瞬間] 審査員100人全員が玉を入れた、栄光の545キロバトル。全出場者中唯一の記録です。
[インタビュー(主に増田):ただでさえ緊張するのに、 1回とったくらいで毎回「545キロバトルだ」といわれ、客に注目されっぱなし。 そろそろ何かしないと・・・決勝はコント?]

つづいては品川庄司。

最近急成長の彼らは、力強いネタで会場を大いに沸かせます。
[インタビュー(主に品川):仮に500以上でも、入れない人がいるというのは抵抗がある。 その場にいる人をみんな笑わせたい。自分さえよければ、というタイプではない。]
観客全員を笑わせるという徹底した姿勢が、ステージ上で炸裂するパワーにつながります。 [ネタ:#77の王様ゲーム]

(審査員は番組にとってのサポーター)

番組に参加する審査員は、100人全員が一般の視聴者です。ネタを見た感想を、審査員は 「ジャッジペーパー」に記入します。出場した芸人はこの紙を通じて、審査員の感想や反応を知るのです。 番組をきっかけに、お笑いの輪はますます広がっています。番組には、審査員をやりたいという 方々からのはがきが毎日のように届きます。こうして登録された審査員は、現在7000人近くになります。 若い世代の笑いを支える、力強いサポーターたちです。
番組に関連するホームページでは、真剣な意見も出されています。「僕たち審査員は、 真剣に演技をする芸人さんのためにも、真剣に審査しなければいけない」・・・演じる側と見る側の真剣さが 番組を支えています

(ハリガネロック)

お笑いを目指すきっかけとは何だったのでしょうか。ハリガネロックは、自分の可能性を 試すためにこの世界に入りました。[ネタ:#23]
[インタビュー(主に松口):松口はお笑いをやる前に伊丹空港で働いていたが、さえなかった。 子供のころから面白さでは負けなかったので、それで勝負しようと思い、NSCに入った。 漫才は僕の表現、叫びのひとつなので、 出さなきゃいけないところは出すように心がけている。]

田上よしえ。

彼女はもともと女優か歌手を目指していました。自分自身を自由に表現できるところが、 お笑いの魅力だといいます。[ネタ:#61]
[インタビュー:面白いことは好きだったが、まさか自分が芸人になるなんて、と思うと不思議だ。 芝居や歌と違い、自分でゼロから作れるので納得がいく。]

(ドランクドラゴン)

お笑いへの情熱をずっと持ちつづけ、夢を実現させようとしている人もいます。 塚地武雅さんは、小さいころからお笑いにあこがれていましたが、大学卒業後は普通の会社員として働いていました。 しかしお笑いの夢をあきらめきれず、会社をやめてお笑い芸人の養成所に入ったのです。そこで現在の相方・ 鈴木さんとめぐり合い、ドランクドラゴンというコンビを組みました。
現在彼らの大きな目標は、自分たちだけが出演するライブ-単独ライブ- を成功させることです。通常若手が出演するお笑いライブは、 多くの芸人がひとつずつネタを披露していくというスタイルです。自分たちだけで行う単独ライブは、 若手芸人の目標です。この日は、平日昼間の公演にもかかわらず、100人以上の観客がつめかけました。 2人だけで2時間も観客を満足させられるか、不安もあります。[ネタ合わせ/本番のようす]
2人にとっては修行の時期。より多くの舞台を踏むことが欠かせません。
[インタビュー(主に塚地):名前を出してライブを開くというのはうれしい。チケットが売れないのでは という夢を見たこともある。生活はまだまだ厳しい。勉強の場を事務所から 与えてもらっているということで、今回のギャラは一切なし。]

(ホーム・チーム)

チャンピオン大会での勝利を大きな目標にかかげるコンビもいます。ホーム・チームです。 2人は去年の第2回チャンピオン大会では予選で敗退してしまいました。決勝までコマを進めた今年、 2人の意気込みは違います。深夜のレストランで行うネタの打ち合わせも、自然と熱を帯びたものになります。 [ネタ:#58のストーカー]
[インタビュー(主に桧山):ふざけているように見える場面もあるのに、それでお金をもらう。 なんて職業だと思った桧山。コンビを組んだ当初、それを与座にしょっちゅう言っていた。 人を笑わせることでお金をもらうわけだが、それが難しい。 「クラスで一番面白い」人たちの集まりを勝ち抜かねばならない。挫折していく人をたくさん見てきた。 面白くなくなったらどうしようという危機感が常にある。]

7組目はアンタッチャブル。

ライバルに負けない存在感をステージで発揮します、今回で3回連続 チャンピオン大会出場です。[ネタ:#24]
[インタビュー(主に柴田):特にライバルだと意識している芸人はいない。逆に思われたい。 自分らが満足する結果が出せれば、たぶん勝つ。ただ、今の段階ではまだまだ満足していない。]

(アンジャッシュ)

芸人にとって、ネタは個性を発揮できる武器です。自分自身のキャラクターを出せる漫才と、 作り上げた設定の中で役柄を演じきれるコント。8組目は、コントにこだわりつづける2人です。
[インタビュー(主に渡部):]ストーリー性で笑わせるようなコントが結構ある。 (#51のネタのでき方:)児嶋には借金取りから、渡部には彼女から電話がかかり、「え、明日来る!?」という 同じセリフだけど感情が違う。それを発展させて、誘拐とデートという設定に。[ネタ:#51]
[インタビュー:ネタというものは消耗品であって、蓄積されていかない。ストーリー性のネタは、 知っちゃうと笑えないということもある。ストーリーを微調整するわけにもいかないので、 量産するしかない。]

号泣は、言葉が持つ面白さにこだわって漫才で表現します。

[インタビュー:赤岡は、「意見発表会」だと思って ネタをかいている。]
3回連続でチャンピオン大会に出場する彼らは、日ごろ聞き流してしまいがちな会話の中にある、 言葉のおかしさを追求します。[ネタ:#56]言葉の面白さだけでなく、日常の中の疑問や不満。 漫才のテーマは尽きません。
[インタビュー:一生ネタをやっていきたい、と赤岡は思っている。]

(ダイノジ)

家族や友人の一言があって、笑いの道へと歩みだした人がいます。ダイノジの大谷伸彦さんです。 大谷さんは、相方の大地さんとは中学校時代のクラスメートです。明るくて学校中の人気者だった大地さんに対し、 当時の大谷さんは内向的な少年でした。[ネタ:#76]
中学3年のとき、大谷さんは大地さんから、「大谷くんて面白いね」と言われました。今まで人から 言われたことのなかったその一言が、大谷さんの胸に深く染み込みました。内向的だった大谷さんは、 お母さんの一言をきっかけに、人から注目される存在を目指すようになりました。
[インタビュー:今もそうだが、大谷は結構考えこんでしまうタイプ。母のふき江さんに昔、 「人間は何でスタートラインが違うの?」ときいたことがある(家の貧富の差を気にしていた)。 そうすると母が、「小さな家には小さな家の、大きな家には大きな家の悩みがあって、その質や量は変わらない。 人間の本質は何も変わっていない。 自分が楽しくなるには、自分で仕向けなければいけない 」と言った。]
大谷さんの夢が叶うよう、お母さんは願いを込めて表札を贈りました。
[インタビュー:「早く一人前になれますように」と、表札の包み紙に書いてあった。]

(ライブが浸透してきている)

若手芸人によるライブは、いまや毎日のように行われています。 その多くは小劇場やライブハウスなど、若者が行きやすい会場です。 10年程前までは、若手芸人の発表の場といえば、寄席などがほとんどでした。けれども、今ではこうした場所での お笑いライブはあたりまえ。全国各地にも広がっています。若い人でも入りやすい雰囲気、これが 今のお笑い人気の秘密なのでしょうか。

(ルート33)

お笑いが全国各地に浸透してきたことで、若手お笑い芸人の活躍の場も広がりつつあります。 大阪出身のルート33。彼らもこうした影響を受けているコンビです。去年の第2回チャンピオン大会。 初挑戦で彼らは見事栄冠を勝ち取りました。チャンピオンになって以降、活動の場が飛躍的に広がり、 毎日があわただしくなりました。
[インタビュー(移動の電車の中で/主に増田):毎日が過ぎるのが早い。2、3年前は仕事の量も少なくて、 スケジュール表も月ごとにもらっていたが、今は週ごとの紙になっている。]
今回ルート33は、新潟県長岡市で行われるお笑いライブにゲストとして招待されました。 地元のファンの熱狂的な声援があって実現した今回の企画です。
[インタビュー:ものすごくウケたとき、やっててにやけてしまうという堂土。一回味わうと なかなか抜けられない快感だという増田。]

(まとめ)

以上が、第3回チャンピオン大会に挑む11組の出場者です。第2代チャンピオンのルート33が 王座を防衛するのか?それとも新たな王者が誕生するのか?
[チャンピオン大会決勝当日:各芸人の様子]決勝の瞬間を迎えようとする、11組の笑いの精鋭たち。 静かな中にも闘志をたぎらせる若き挑戦者。11組の笑いにかける情熱が、今熱くぶつかりあい、 激しく火花を散らそうとする。高まりゆくボルテージ。張りつめていく緊張感。新たなる伝説の主人公となるのは いったい誰なのか?いよいよ明日、すべてが明らかになる。