嵐のようなカップルは、二人を弄ぶことに飽きたのか、いつの間にかどこかに行ってしまった。やっと落ち着いて過ごせる、二人は屋台を離れ川原に向かった。そして石の上に腰掛ける。

「今日は何か精神的に疲れた・・・」

すると、真琴が越谷にくっつく。

「でも、僕は楽しかったですよ。こんなに大勢と過ごすのも久しぶりだったから」

その一緒に過ごした人というのが納得いかないが、真琴が楽しければそれでいいか。
越谷のほうもあっさりと割り切ってしまう。
しばらくそうやっていると、パーンという大きな音がする。






「あ、もう花火が上がる時間なのか」

「そうみたいですね。・・・きれいです」

うっとりとしながら真琴は天空を見つめる。
そこには夜空に数々の大輪の花が咲いては消えるのを繰り返していた。
二人は何も言わずに見つめていたが、しばらくすると真琴が寂しそうな顔をする。
越谷もそれに気づいた様で、どうしたんだと聞く。






「越谷さんは急に消えたりはしませんよね・・・」





「何言ってるんだ?」



「ええ、花火を見ていたらなんか急に寂しくなって。
あんなに華やかでも、消えるのはすぐだから・・・。今は幸せでもそれが終わるのってすぐなのかな・・・」




越谷は考え込む。ここで自分は離れないということを言うのは簡単である。
だけど、それでは真琴の不安を完璧に拭い去れないような気がした。




「俺が急に消えたりしないという保証は出来ないな。

いつどこで何が起こるかわからない。

だからこそ、今を精一杯生きていくのが大事だと俺は思うよ。
まぁ、明日を考えるなと言っているんじゃない。
結局、人生って打ち上げ花火の連続みたいだと俺は思う・・・」









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