闇を撒く者との戦いが終了して。
 元の世界に戻るため、いやいや(笑)盗賊たいじ(いじめ)をしている、
 リナ達一行。
 たったの、五日の間に、その近辺に、
 盗賊殺しの、旅の一座。
 と、噂があっという間に広まって。
 フィリアは、リナと一緒に出かけた先で、
 古物品をみつけて、大はしゃぎの毎日。
 ゴールドドラゴンの能力で、
 ちょっと、別次元に、品物を収容していたりする。
 そんな中で、リナ達がうけた、とある依頼。
 どうやら、魔法を使う、盗賊がいるらしい。
 それの狙いが、封印されている、剣。
 ということ。
 リナは、その盗賊退治の報酬とは別に。
 その剣の封印といたら、自分の物にしていい、
 と、話をつけて。
 洞窟の中にあった、剣を無事に手にしたはいいけども。
 そのまま、リナの意識は・・眠りについた。




戦いの後に・・・・。




 がし。
 リナの手を、ガウリイがつかむ。
 そして、低い声で・・・・。
「・・・・・・リナはどうした・・・。」
 と。
 リナに向かって言い放つ。
 しばし、目が点。
「ぷ・・・・・・ぶくくくくくくくくくっ!!
 やっぱり、面白いな。そなたたちは・・くくくっ・・・・。」
 リナの声で、それが笑い始める。
「何、気にするな。」
 リナがいう、ガウリイにむかって。
 忍び笑いをしながら。
「・・・だから、リナはどうした!!」
 悲鳴に近いガウリイの声。
 本当に、面白い(はあと)
「・・・・ガウリイさん?」
 そんなガウリイの様子に、首をかしげているゼロス。
 ヘルさんも、何か、震えてますし・・・・。
 リナがもっている剣をみつつ、ゼロスは、そんなことを考える。
「何、リナ=インバースは、ただ、今は眠っているだけだ。」
「・・・本当だな!?あんたの中に・・取り込まれたんじゃないんだな!」
 ガウリイは、思いっきり、リナに向けて、殺気を放っている。
「え・・・ええ・・・と。」
 ゼロスは、理解不能。
「このまえ、このものが、我を不完全に呼び出しかかったのでな。
 そのまま、我は、このものの中にいたわけだ。
 まあ、このたびは・・・ちょっと、実験も兼ねているが・・な・・。」
 リナがいう。
 確かに。
 ちょっと、面白いことを相談して、決めてるから(はあと)
「・・・リナは、無事に戻ってくるんだろうな・・・。」
 ガウリイが、リナを見据える。
「この我が、嘘をつくとでもおもうか?」
「いくら、ロード・オブ・ナイトメアでも・・リナを奪うのであれば・・・。
 ・・・・・・・・・・許さない・・・・。」
 低く、それでいて、はっきりと、言い放つガウリイ。
「ぷ・・・・・・ぶくくくくくくくくくくくくくくくくっ!!!」
 ぷ・・・・あ・・・あはははははは!!
 あ・・・エルと一緒に、思わず、私まで笑っちゃった(はあと)
 かっきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃんんん!!!
 あ、ゼロスが、凍り付いている。
「しかし、よくわかったな。
 気配も完全消して、リナ=インバースそのものとしているのに。」
 リナの姿をしているエルの言葉に。
「当たり前だろ。どんな姿であろうと、俺がリナを間違えるはずはない。」
 はっきりと言い放っているガウリイ。
 いくら、エルの力が多少含まれている魂でも、これは、本当に面白いわね(はあと)
「ぷくく・・。まあいい。安心しろ。リナ=インバースは、
 ちゃんと、お前の側に戻す。
 まあ、とりあえず、しばらくは、我につきあってもらうぞ。」
 エルの言葉に。
「・・・リナは、無事に戻ってくるんだろうな・・。」
「当然だ。まあ、これは・・一種の・・準備・・みたいものだな。」
「・・・??」
 まあね♪
 あと、一年後になるけども。
 とりあえず、負担のかからない程度には、
 ちゃんと、下地は作っておかなくちゃ(はあと)
「が・・・・ガガガガガガガウリイ・・・さ・・・・ん・・?(汗)」
 かすれるような、声で、ゼロスが、ガウリイに問いかけたのは。
 ガウリイがほっとして、リナの手を離したときだった。
「まあ・・リナが無事なら・・いいが・・・・。
 ・・・びっくりさせないでくれよ・・・・。リナ・・・。」
 脱力しているガウリイ。
「そんなに、気になるのか?この人間の娘が?」
 リナに降臨しているエルの言葉に。
「当たり前だろ?リナは、俺の全てだからな。
 あのときも、俺は、そういったはずだが?」
 リナを追いかけて、あの混沌の空間の中でのことを言っているガウリイ。
「では、我もいったはずだよな。
 ・・まさか、我が、汝らを元の世界に戻す・・条件。
 忘れたわけではあるまい?」
「・・・まあ・・な。それは・・まあ・・そのうちに・・。」
 リナの同意を得てからでないと・・・。
 そんなことを思っているガウリイ。
 ちなみに。
 条件とは。
 一度、二人の肉体は、消滅しているから、
 それを元に戻すにあたって。
 混沌とのつながりが多少なりともできる・・ということ。
 それでなくても、リナとガウリイの中には、
 誕生した時点から、多少の、エルの力が含まれているのだから。
 曰く。
 人の、全てをも投げ出す精神力と、全てを受け入れる力。
 全てを許す勇気などを持っている人間の精神。
 それを持ち合わせた。
 力ある存在を創りだす。
 ということ。
 つまりは。
 私や、エルは、ガウリイとリナに、子供を作ってほしいのである。
 その方が、面白いから(はあと)
 二つの、異なるが、それでいて、同じ力を持っているこの二人。
 リナの中には、ルナの・・神の力の余波も含まれている。
 神魔融合。
 それが、リナとガウリイの中にある、混沌の力で、それができる。
 それに、混沌の力を加えたら。
 どんなに、力ある存在が誕生することやら。
 はっきりいって。
 実験するには、値する価値がある。
 面白そうだから(はあと)
 何しろ・・・・とことん、見ているだけ・・というのは、暇すぎるから・・・・。
「ア゛ア゛ア゛ア゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛の・・・。」
 ゼロスがどうにか、ようやく声を出す。
「ん? 何だ? ゼロス?」
 ガウリイが、そんなゼロスに言い返す。
「いいいいいま、ガウリイさん・・リナさんを今何と呼びました?!」
 信じたくないらしい。
 かなり、面白いほどに、狼狽している。
「久しいな、獣神官よ。まあ、我のことは、気にするな。
 ちなみに、他の存在にも気取られることは・・許さん。」
 リナの声で、エルがいう。
「あ゛・・・・あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
 完全に、ゼロスは、頭をかかえつつ、その場に、ひざまづいた。
 まあ、リナが無事なら・・いいか。
 ガウリイは、別に、エルが降臨していようが、何していようが。
 リナさえ無事なら、全てがオッケィらしい。
「いっとくが・・それは、リナの身体なんだからな!!
 傷・・つけるなよ・・。」
 あ゛あ゛!
 ガウリイさん!!
 何て口の聞き方をぉぉぉぉ!!
 ゼロスが頭を抱える。
「それと!! はやく、リナをもどせ!!」
「ぷくく・・。我に対して、恐怖を感じないとは・・・。
 面白い存在だよな・・・。あいかわらず・・くくくっ・・・。」
 完全にエルは笑っている。
 それは、私も同感(はあと)
「まあ、すぐに・・とはいかないぞ?
 まがりなりにも、リナの精神には、このヘルが、
 入り込もうとしてたからな。
 少しばかり、蝕まれている。こいつに。」
 ・・・ひぃ・・・。
 かすかに、悲鳴が響いている。
 リナが、剣を掲げる。
 へ・・ヘルさん・・(汗)
 気の毒に。
 ヘルさん・・・・。
 ゼロスは、そんな、仲間をみつめていたりする。
「まあ・・な。だから、リナには触るな!
 って忠告したのに。それ・・魔族だろ?
 気配的には、ゼロスと同じくらい・・・。
 というか、竜神官ラーシャートと、同じくらいじゃないか?」
 はっきりきっぱり、図星を突いているガウリイ。
 さすが(はあと)
「ほう。さすがだな。そう、この剣の形態しているのは。
 冥神官ヘル。冥王ヘルマスターフィブリゾに使えていた、直属の神官だ。」
 リナがいう。
 フィブリゾは、千年前の降魔戦争のとき。
 欠片を宿している人間を見つけるべく。
 自分の配下の者達を使って、星中にばら撒いたのである。
 それをみつけだすべく。
 輪廻では、分からない、深層に、封印されている欠片を発見するために。
 つまりは。
 剣のふりして、その人間の精神(魂)に入り込み。
 それができなければ、その人間には、魔王の欠片が封印されている。
 ということ。
 リナに出来なかったのは・・・。
 リナの中に、すでにエルがいたのと。
 リナの中には、エルのちから・・金色の力がふくまれていたがためだけど。

 ちなみに。
 ガウリイにもはいりこめない。
 ガウリイの中にも、金色の力が含まれているから。
 ・・と、今は、関係ないことは、おいときましょう(はあと)
「さて・・じゃ、はないところ、アメリア達に合流しましょ♪
 ガウリイ♪」
「・・・リナの声で、いわれたら・・違和感があるんだが・・・。」
 リナの言葉に、ガウリイがしぶしぶといっている。
「気づかれたら、リナ=インバースは、とうぶん、戻さないぞ?」
「しっかりと、普段どおりにします!!」
 ガウリイが、即答する。
「よろしい(はあと)」
 ちらり。
 ゼロスの方を一瞥しているリナ。
「ゼロスは、分かってるわよね(はあと)」
「は・・・はひ・・・。」
 涙を流しているゼロス。
 まさか・・・・。
 魔王さま・・このこと・・知っていて・・あの手紙ですか!?
 ゼロスが、上司を恨んでいたりするのは、まあいいとして。
 リナが、ちゃんと、元結界の中に戻ってくるまでの、
 保険として、残されているのが事実だけども。
 つまり、Sもルナも、リナの中に、エルが残っていたのは、
 気づいてないし(はあと)
 当然だけども(はあと)
「じゃ・・いきましょ♪ ガウリイ♪ ゼロス♪」
『はい・・・・。』
 リナの言葉に、素直に、ガウリイとゼロスも、
 リナの後から、洞窟を出て行く。
 先にいっているアメリア達と合流すべく。

「リナさん!! 遅かったじゃないですか!!」
 アメリアが、リナ達が洞窟から出てくるなり、いう。
「ああ、ごめん、ごめん。ちょっとね。」
 ちらり。
 余計なことは言わないことvv
 ガウリイとゼロスに、しっかりと釘を直に精神に叩き込んで。
 アメリアの問い詰めを交わしているリナ。
 じぃぃぃぃ・・・・。
 リナがもっている、剣をみているルーア。
 ぽん。
 しばらく、みつめていて。
「ああ、だから、封印してたのか。」
 納得している。
 一応、一部ともいえない、欠片を受け継いでいるルーアは。
 その属性で、リナがもっている、剣が何なのか。
 理解している。
「どうかしたんですか?ルーアさん?」
 すっかり、ルーアを気に入っているフィリア。
「あのね。」
 ルーアが言いかけるより早く。
「それより・・早く、村に戻ったほうがいいのでは?」
 ゼロスが、その言葉をさえぎる。
「なあ、ゼル、村から、煙がもくもくと上がっているのは・・何でだと思う?」
 気配からして、分かっているガウリイなのに。
 あえて、普段の通りに振舞っている。
 いつもの、くらげの振りは、リナの為なのだが。
 ここで、気づかれたら。
 リナが戻ってくるのが遅くなる!
 それが、ガウリイの心の心情がゆえに。
「何!?」
 ガウリイの言葉に、ゼルガディスが、村の方をみる。
 夕焼けが始まる景色の中に。
 不似合いな、どす黒い、煙が、村のある方向から、立ち上がっていた。

「・・・っ!! 村が!!」
 ルーアが悲鳴を上げる。
「いけません!! はやく、戻りましょう!!」
 アメリアがいう。
 がたがたがた。
 ルーアが震えている。
 最悪な情景を空想して。
 ぎゅ。
「大丈夫・・大丈夫・・。」
 そんな、ルーアをフィリアが抱きしめる。
「そんなことより!! 急ぐわよ!! 皆!!」
『おう!!』
 リナの言葉と同時に駆け出す。
 気が動転しているのか。
 リナが、空間をつなげて、道をかなり、短くしているのに、
 気づいたのは、ゼロスとガウリイのみだった。

 ぷすぶすぶす・・・・。
 ごぉ・・・・・・・・・。

 ―ええぇぇぇぇぇん・・・・。
 ―うわぁぁぁぁぁ!!!

 村につくと、
 炎に巻かれて、村人達が、逃げ惑っていた。
 その中に、三つの人影。
 炎の中心たるその場所に。
「さあ、いいかげんに、渡してもらおうか!! 伝説の剣を!!」
「ぐ・・・だれが・・。」
 先ほど、リナ達に依頼をしていた、村長が首をつかまれて、
 空中に浮かんでいる。
「ライナ長老!!」
 ルーアが悲鳴を上げる。
「ルーア!! きちゃいかん!!」
 ごぶっ。
 血が吹き出る。
 内臓を痛めつけられているがために。
 フィリアが、その人影の姿を捉える。
 その瞳に。

「・・・・・・ジプサム、オリビン、ストウロ!!!????」

 姿を認めると同時に。
 フィリアが、絶叫を上げた。
「おやおや、どうやら、フィリアさんのお仲間さんのようですねぇ。」
 ゼロスが、あいかわらずにこにことして、様子を見ている。
「あなた方!! 何をやっているのですか!!
 か弱い、人間相手に!! それが、火竜王に使える者のすることですか!!」
 ごげっ。
 その言葉に、思わず、アメリアとゼルガディスがこける。
 ジラスもこけてるが。
「・・・フィリアか、知れたこと!! 災いは、つむに限る!!」
「そんなの、正義じゃありません!!」
「・・・・まったく・・・・。
 火竜王の配下は・・ろくなのがいないのか・・・。」
 ゼルがため息をついている。
「というか、もしかして、フィリアさんが、一番、まともなのでは?」
 アメリアが、そのゼルガディスの言葉につっこんでいる。
 だん。
「神に使えるその身でありながら、なんたる暴挙!!
 無抵抗なものをいたぶる! それは、スナワチ悪!!
 神の名をかたり、悪事を働いているのも同然です!!」
 アメリアが、びしぃ・・・。
 と、指を突き立てている。
「あれ・・・火竜王の馬鹿の配下・・なの?」
 ルーアが、呆然といっている。
「馬鹿ともいいたくなりますねぇ。これでは・・・・。
 まあ、スィーフィードが首にしたがってるのも、ある意味、
 納得ですがね。(はあと)」
 にこにこと、ルーアをなでているゼロス。
 フィリアはというと。
「なぜです!! なぜ!?
 ストウロさま!! 彼方様は、教えを広めるために、
 神殿から出奔された。そう聞き及んでいましたのに!!」
 フィリアが叫ぶ。
「おやおや。これはこれは・・・。
 どこまでも、真実を捻じ曲げるのが、お好きな種族なんですねぇ・・。
 火竜王に仕えていた黄金竜というのは(はあと)」
 フィリアの言葉に。
 ゼロスが、やれやれ。
 と、手を掲げている。
 フィリアと彼らが言い争っている隙に。
 手の中にいた、村長は、ガウリイとゼルガディスが助け出していた。
「ごほごほごほ・・・。神に・・仕える・・・存在?」
 むせこみつつ、血を吐きながら、フィリアと彼らの様子を見ている村長。
「しかし、こう、炎があると、蒸せるわよね。」
 リナが一言いう。
 その言葉をきき。
 ゼロスが、何を言わんとしているのかを察して。
 錫仗を振りかざす。
 かぁぁぁぁぁ!!!
 アメリア達にとっては、一瞬、まばゆい、光がしたと思うと、
 光が退いた、瞬きしていたその後には。
 完全に、炎は、治まっていた。
「あら、ゼロスもやるわね。」
「い・・いえ・・それほどでも・・・(汗)」
 リナがつぶやいた言葉に、汗流しているゼロス。
「出奔!? 何を言っている!! この、我の崇高な知識を理解しない、
 赤の竜神に、破門されたんだぞ!! 我は!!」
 本当は、火竜王に、全ての責任を押し付けられて、
 追いやられた。
 というのが事実。
 フィリアの言葉に、言い返すストウロ。
 彼らは、以前の古代竜エンシェントドラゴンの討伐の責任を、
 全て押し付けられて、(ルナが断罪した)
 火竜王に、切り捨てられた存在。
 それでも、うらむのは、火竜王でなくて、断罪を下した、
 赤の竜神をうらんでいたりする。
「ほんっとうに、フィリアさん。貴女は、世間知らずですよねぇ。
 古代竜エンシェントドラゴンの虐殺。
 それをスィーフィードが、火竜王を断罪したときに。
 火竜王さんが、彼ら三人に、全ての罪を押し付けたんですよ(はあと)
 これ、僕らの間では、有名ですよ(はあと)」
 ヴラバザードは、神族にしとくのが、惜しいって(はあと)
 ゼロスがつけたしているが。
 フィリアの耳には届いてない。
『なぁぁぁぁぁぁんですってぇぇぇぇぇ!!!!!!』
 アメリア、フィリアの絶叫が。
 焼け落ちて、炎が消えている村にこだました。
「そんなの、神側のすることじゃないです!!」
「そうですわ! それでは、なまごみ魔族と同じことではないですか!!」
 フィリアが説得を開始しようとする。
「黙れ!! 黙れ!! フィリアよ、貴様は、分からないのだ!!
 力こそが、我らが正義だということに!!
 災いとなる芽は、早めにつみ。
 力あるものは、我らに組するのが定め! というもの!!」
 ストウロに使えていたオリビンが、フィリアに殺気をむけて、言い放つ。
 空は、静かに、暮れ初めている・・・・。
 暗闇が、ほとばしるころ、
 その場には、にらみあいをする、
 金色の髪の女性、フィリアと。
 元は金だったのだが、歳のせいか、色調細胞が、枯渇して。
 銀色の髪となり、年老いている老人が静かに言う。
 参考までにいえば。
 彼は、フィリアの叔父にあたる。
 すなわち、フィリアの父、バザード=ウル=コプト。
それの、兄でもある。ストウロは。
「・・・・こんなんじゃ、ヴァルガーヴが世界を浄化しようとしていたのは。
 納得だな。」
 あきれはてているゼルガディス。
「一度、火竜王に正義の講習をする義務があります!! 絶対に!!」
 アメリアが、いきまいている。
「・・・と、それより! アメリア! ゼル!!
 些細などうでもいいことは、ほっといて!!
 村人の怪我人の手当てが先でしょ!!」
 リナが一括する。
 いつもの、リナらしい口調。
「はっ・・そうでした!!」
「それもそうだな!!」
 ばたばたばた・・・・。
 あわてて、アメリアと、ゼルガディスは、村人達の治療に入る。
「まったく・・・・。
 本質・・・分かってないやからというのは・・これだから・・・。」
 リナが小さくつぶやいたのは。
 当然、アメリアとゼルガディスには、届かなかった。
 エキサイトしているフィリアには、当然然り。

「何で、罪もない、村人を襲うんですか!!」
 まだ、フィリアは説得を続けている。
「何をいう!! 降魔戦争において、この村に、剣が封印されたのは、
 調べがついている。そんな危険と思えし品物は、
 この世の中から、抹消すべきものだ!!」
「だからって、人をあやめたり、傷つけたりするのは、スィーフィード様の、
 教えに背いています!!」
「抹消っ・・っていっても。
 どうせ、力ある武器を手に入れて、何かしよう。
 とたくらんでたのは、何処のどなたでしたっけ?」
 にこにこと、フィリアと彼らが言い争っている、その真ん中に。
 ゼロスが、いきなり出現する。
「生塵!! 邪魔しないでください!!」
『ドラゴンスレイヤー・ゼロス!!』
 フィリアと、ジプサム、オリビン、ストウロの言葉が、完全に重なった。
「フィリア!! 貴様!!」
「違います!! 仲間なんかじゃないです!!
 それより、そちらの行動の方が・・。」
 フィリアをにらみつけている三人。
 それをにこにこと、訂正もせずに、見ているゼロス。
 ぎゅ。
 今まで、じっとしていた、ルーアの拳から、血が、滲み出す。
 我慢の限界を突破した証しとして。
「五月蝿いぃい!! どっちが悪なんて、一目瞭然でしょ!!
 私の友達・・・村の人達に・・・・何するのよぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

 ルーアから、光がホトバリデル。
 それと、同時に。
 暁色の眩しく光る、槍などが。
 ジプサム、オリビン、ストウロの三人の身体を貫いていた。
『くっ・・!?』
 後退する黄金竜達。
 後退した、彼らの目に。
 リナが、お目当ての剣らしきものを持っているのが、映りこむ。
「女!! それをこちらによこせ!!」
 無謀にも、リナにつっかかってくる、黄金竜。
 レーザーブレスをはきながら。
 リナはよけない。

「・・・・リナ!!」

 ざしゅ・・・・。

 リナがいた場所に、ブレスが、収縮し・・消える。
 ガウリイが、その直後。
 リナの身体を引っ張って、移動させていた。

「馬鹿!! リナの身体に傷でもついたらどうする!!」
 怒っているガウリイ。
「きゃあ(はあと)ガウリイさん、ラブラブです(はあと)」
「旦那もいうときには、いうな。」
 アメリアとゼルガディスが感心していたりするが。
 今のリナは、エルである。
「あれくらい、大丈夫よ。」
 リナがいうと。
「それは、リナの身体なんだからな!!
 お前一人の身体じゃないんだからな!!」
 知らないものが聞いたら、完全に誤解する台詞を言っているガウリイ。
「ああ、はいはい。」
 本当に、この人間は・・あきないな。
 エルがそんなことを私に言ってくる。
 確かに(はあと)
 面白い(はあと)
「くっ!!!! 娘、それをこちらに手渡せ!!」
 まだあきらめていない。
「別にいーけど・・・・。文句、言ってもしらないわよ?」
 かしゃ!
 リナが、剣を放り投げる。
『リナ(さん)!?』
 そんなリナの動作に、驚いているアメリア、ゼルガディス、フィリア。
「ふ・・・ふはははは!!これで・・これで・・力が!!!!」
 地面に落ちた、それを拾おうとするストウロ。
 がっ。

 彼がそれをつかむ直前。

「アメリア!! ゼル!! 結界を張れ!!」
 ガウリイが叫ぶ。
「ゼ・ロ・ス(はあと)」
 リナの言葉に。
「はははははははぃぃぃい!!!!(汗)」
 ゼロスが、両腕を突き出す。
 刹那。
 ゼロスの力によって、馬鹿な三人の竜以外を除いて、結界が張られる。
 結界といっても、バリアなようなもの。
 異次空間フィールドと化す、結界とは、また異なっている。
 つまりは。壁を作っているだけ。


「ぐ・・・・・・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 アメリア達の目の前と。
 村人達の目の前で。
 人形であった、彼らが、本来の黄金竜の姿に戻り。
 そして・・・それより、直、異形と化して行く。
「おやおや・・・・。
 どうやら、竜を媒体にすると・・・・。
 面白い魔族が出来るようですね(はあと)」
 ゼロスがそれをにこにことしながらみているが。
「何がおこっているんですか!?」
 アメリアがいうと。
「何か・・あれ、ラグナ・・なにとかって、呪法に近くないか?」
 ガウリイが、するどく本質を言い当てている。
「何だ!? 何だ!?」
「ひ・・・ひぇぇぇえ!?」
『うどるのげぎゃぁ!?』
 結構、冷静なアメリア達とは裏腹に。
 村人たちは、完全にパニックに陥ってしまっているが。
 ゼルガディスも、変わり行く、竜の姿を認める。
「人格を崩壊させて、そのままその肉体を器とする。
 ちょっとした、以前の冥王様の実験の残りですよ(はあと)」
 にこにこと説明しているゼロス。
「無理やり、自我を崩壊させて、そこに、精神生命身体である、
 あんた達、魔族を器として、実体化させる。
 ・・・そうでしょ?(はあと)ゼロス(はあと)」
 リナが分かっているのに、あえて、リナの振りをしながら。
 アメリア達の納得いくように説明している。
「は・・・はあ。」
 ゼロスが、何と応えるべきか、汗をかく。
 下手な説明は・・命がないどころか。
 消滅さられらてしまいますし・・・。
 思考を読まれているとも、知らずに、ゼロスはそんなことを思っているが。

「おおぉぉい、あんた達ぃぃぃ・・・・・。
 何をどう思ってたのかはしならないが。
 それ・・・・魔族だぞぉぉぉぉ!!
 そのあんた達が、狙ってた・・剣。」
 いきなり、ガウリイが、彼らの方に向かって叫ぶ。
 ずめしゃ!!
 そのガウリイの言葉に。
 リナ以外の全員は。
 地面に直後にキスをした。

「あ・・・・あんたはぁぁあ!!いきなりばらすなぁぁぁあ!!!」

 すっぱぁぁぁぁんんん!!

 リナのスリッパ攻撃が炸裂する。
 丁寧にも、この辺りまで、行動をリナと同じにしているエル。
 ギギィ・・・。
 ゼロスの方を見ているアメリア。
「ええ。あれ、滅びちゃいました、冥王様の直属の部下で、
 冥神官ヘルさんです(はあと)
 はははは(はあと)降魔戦争の回収し忘れ(はあと)
 ってとこですね(はあと)」
 さらり。
 と、暴露しているゼロス。
「・・・・どういうことだ?」
 ゼルガディスが、ゼロスにすごんで聞いている。
 ちらり。
 リナの方をみているゼロス。
 リナは、ただ、面白おかしく、その光景をみているだけ。
 それは、笑いをかみ殺しているので、見た目には、苦渋の表情に見える表情だけど。
 リナがかすかに、うなづいたのを確認して。
 冷や汗ながしつつ。
「実は、皆さん、降魔戦争は、ご存知ですよね?(はあと)
 あのとき、冥王様は、人に転生してた、赤瞳の魔王様は、
 生まれたときから、把握されていたんですが、
 分かれてしまった、欠片たる、分身も目覚めさせて、
 魔王様の力の復活を狙ったんですよ。
 ですから、この世界中に、種をばらまきまして(はあと)
 あれも、その作戦のうちの一つです(はあと)」
 にこにこと、楽しむかのごとくに説明しているゼロス。
 内心は、ひやひやものだが。
 その間も。
 自我を失い、下級魔族に憑依された、ストウロは。
 苦し紛れに暴れ始めていたりする。
 つまりは、暴走を始めているのだ。
「まあ、剣や、人間が使う、品物に形状を変えて、
 精神を蝕んで。・・で、蝕まれなかった、人間が、欠片の持ち主。
 ということです(はあと)」
『・・・・な゛!?』
 よく、リナ・・無事だったな・・・。
 リナを見ているゼルガディス。
 まあ、リナだからな・・。
 しかし、それで納得していたりもするのだが。
 アメリア、ゼルガディス、フィリアが絶句する。
 ルーアは、村人達を安全に、バリアで守っている。
「おやぁ・・・・・。
 ・・・暴走・・はじめちゃいましたね(はあと)
 トリガルウさんの時のように(はあと)」
 楽しむ口調のゼロス。
「・・・・くるぞ!!!」
 ガウリイの一言。
 それが、戦いの合図にもなった。




−続くー




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