第５話・「進化する天才」 　 　　 　さて、前回何か合ったような気がしますがそんなことは気にしてはいけません。 　色々合ってやっとあれから何があったのかを思い出しましたので、続きをさっさとすすめちま いたいと思います。 　近所のツタヤで大量の画材と資料を買いあさってからというものの、約一ヶ月が経ちました が、侑紀（仮）氏からはいつまで経っても漫画をこれだけ描いたぜ。という速報は入ってきませ んでした（私は最初から、書く気など無い）。 　これはもう、あれしかありません。 　いつものあれだ 　 　 　あきた。 　 　 　 　第一、意欲なんてものが言い出したその瞬間からギャバンが蒸着する位の速さで消失するよ うなボンクラどもには漫画なんてちんたらしたものははなっから合わないのである。 　パテが乾く前に無理矢理ヤスリを掛けたり、色を塗ろうとしたりするような奴には、細かい作 業など出来ないのである。 　 　しかし、そんなある日のことだ。 　一枚のファックスが届いた。 　 　それは、な、なんと漫画の原稿らしきものであった！ 　それも、凄まじく細かく細部まで丁寧に描かれた！ 　私は、泣いた。 　 　 　 　フラッシュバックが起こった（別に変な薬をやっているわけではないよ？） 　中学生の時の自分が、そこにいた。 　中３の自分、そして教室。 　そして中３の侑紀（仮）が描いた一枚のラクガいや、芸術。 　中３の私と佐川（本名）は果てしなく驚嘆した。身体、いや、宇宙が震えた。 　 　　そこに描かれていたのはたった３コマ。 　セリフはたった２つ、「ｺﾝﾁﾜ」「お、おまえは」のみ。 　だが、それだけで充分であった。既にそこに宇宙があったのだから。 　 　そうだ、あの時あの教室で感じたあの衝撃だ。あのインパクトだ。 　ネ申が帰って来た。 　いや、むしろ、もはや神すら超えた何かがそこにあった。 　いわば超神だ。ビビューンだ。 　克己でなくとも「天才めｯｯ！」といわずには居られないだろう。 　早速私はこの感動を裏ゲー「香港１９９７」の漫画化という形にし、彼に電送した。 　が、後日この私の感動の結晶は感熱紙ごと私に投げ返されることになるのだが、 それはまた別の話である。 　 　　　　　　　　　　　〈ﾓﾄﾞﾙ〉　　　　〈続く〉