■2010年6月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

今月の潮流●問題が多発する米国GM作物栽培事情


 
 米国では、GM作物の栽培が拡大したため、さまざまな矛盾がおきている。ワシントン州立大学教授レイモンド・ジュソウムは、「米国における持続可能な農業に対するGM作物の影響」と題する調査報告を全米科学アカデミーの全米研究評議会(NRC)に提出した。報告では、GM作物によって利益を得ているのは特定の農場だけであり、管理のやり方によってばらつきがある。また、除草剤耐性雑草が広がり利益が減少している、と指摘している。〔Washington State University 2010/4/19〕

 4月13日、全米研究評議会が、GM作物の有効性が失われつつある、という警告を発した。除草剤耐性作物では耐性雑草が広がり、殺虫性作物では耐性害虫が増え続け、雑草や害虫の管理ができなくなった。除草剤や殺虫剤の経費削減や手間がかからないといった、GM作物の有効性が徐々に失われているというもの。〔Environmental News Service 2010/4/13〕

 農地の土壌への影響を懸念する報告も出ている。米国農務省農業調査部の微生物学者ロバート・クレーメルは毎年、米国中西部の調査を行っているが、最近の調査結果から、GM作物の栽培継続に重大な懸念を表明した。広大な面積の農地に同じ種子を用いるため、作物と土壌に予期せぬ深刻な問題を発生させるのでは、という指摘である。 〔ロイター 2010/4/13〕

 有機農家が栽培するトウモロコシへのGMO汚染が拡大している。報告をまとめた米国中西部の有機農家グループのスポークスマンは、汚染のレベルは年々高まっており、有機農産物に危機をもたらしている、今後も検査を続けていく、と述べた。〔The Organic & Non-GMO Report 2010/4/1〕