■2010年10月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る





























バイオジャーナル

ニュース


●GM汚染
●米国で広がるGMナタネ遺伝子汚染

 アーカンソー大学の研究チームがノースダコタ州の道端で生育している野生キャノーラを調査したところ、野生キャノーラの80%からGM遺伝子が検出されたと、ピッツバーグで開催されたアメリカ生態学会で報告した。現在、ノースダコタ州で栽培されているキャノーラは、除草剤耐性GM品種(モンサント社のラウンドアップ耐性、バイエル社のバスタ耐性)が大半を占めている。畑から遠く離れた道端で生育している野生種にも遺伝子が拡散していることが明らかになった。検出されたのは、モンサント社の遺伝子が41%、バイエル社の遺伝子が40%で、両方の遺伝子が検出されたサンプルも2つあったという。 〔Nature News 2010/8/6〕

●中国の備蓄米に未承認GM米混入

 中国政府の緊急備蓄米に、未承認遺伝子組み換え米が混入していることが、環境保護団体グリーンピースの調査でわかった。同国で違法栽培されているGMイネは、世界各国で検出されている。政府備蓄米は洪水や旱魃など災害時に配布されるため、さらに汚染が全土に広がるおそれがある。汚染米は湖北省で生産されたものと思われる。 〔ガーディアン 2010/7/19〕

●クローン
●カナダでもクローン牛流通か?

 欧州でクローン牛が出回っていることが判明したが(先月号参照)、波紋はカナダにまで広がった。カナダ食品検査庁(CFIA)は、英国で作られた体細胞クローン牛の受精卵が、カナダに輸入されたという情報を得て、調査に入った。カナダでは、クローン家畜・GM家畜由来の食品は認められていない。〔Cattle Network 2010/8/17〕

●遺伝子組み換え昆虫
●マリでGM蚊生産実験中

 マリにあるCentre’s Genomics and Proteomics研究所の実験室内で、マラリア抵抗性GM蚊の生産が進められている。この蚊の生産のために、ウェルカム・トラストが180万米ドルを提供し、マリの科学者3人が、英国キール大学で訓練を受けた。 〔SciDev.Net 2010/8/4〕

●遺伝子組み換え作物
●室外で生育に異変を生じたGM小麦

 スイスのグループが行った研究で、GM小麦が環境によって有害な影響を受けることが示された。温室での栽培では普通に生育し、真菌病への耐性も確認されたが、温室外の環境では代謝作用に異変が生じ、極めて毒性の強い真菌病(麦角病)への感染が見られ、収量が最大50%減少したという。GM作物が、管理された温室環境とは異なる室外の環境や、気候変動などにどのように反応するかは未知の部分が多いと研究者らは指摘している。 〔Test biotech 2010/7/26〕

●家畜の肉や乳からGM飼料のDNAを検出

 ドイツのTest biotechが行なった調査で、GM作物を飼料に用いた家畜の乳や内蔵、筋肉から、組み換えたDNAの断片が見つかった。今年4月にイタリアの科学者が発表した報告でも、山羊の乳からGM大豆由来のDNA断片が見つかっている。これらの断片は、山羊の乳由来のベビーフードでも見つかっている。〔Test biotech 2010/8/19〕

●オセアニア事情
●ニュージーランドでGM松の試験栽培申請

 ニュージーランドのScion社が、GM松の試験栽培を申請した。作付け場所は、北島中北部にあるロトルーアで、25年間かけて4haの土地に4000本を植える。最大8年間育成され、次々と植え替えられる。この試験では、組み換えた遺伝子が木の成長や受粉、除草剤への耐性、バイオマス利用、木の密度や安定性にどれだけ影響するかを見る予定である。 〔Hawke’s Bay Today 2010/8/26〕

●モンサント社、豪州の小麦種子企業の株取得

 米モンサント社が、オーストラリアの小麦種子企業インターグレイン社の株19.9%を取得し、同時に技術提携の契約を結んだ。インターグレイン社は、筆頭株主が西オーストラリア州政府で、同州でのGM小麦推進の先導役になる可能性が出てきた。 〔Monsanto 2010/8/26〕