■2010年10月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●アフリカ事情
●ケニア政府GM綿承認へ

 ケニア政府は、2012年までのGM綿の増産計画を発表した。同国では、8月中にはバイオセーフティ法が公布され、正式にGM綿の栽培が認められる。栽培されれば、南アフリカ、ブルキナファソに続く、アフリカ第3番目のGM綿栽培国となる。 〔The Fast African 2010/8/9〕

●ウガンダでGMバナナの試験栽培開始

 国際熱帯農業研究所が開発したGMバナナの試験栽培が、ウガンダでまもなく始まる。このバナナにはピーマンの遺伝子が導入され、アフリカのグレート・レイク地方で流行している細菌性立ち枯れ病(BananaXanthomonasWilt)に対して抵抗性を持たせている。〔International Institute for Tropical Agriculture 2010/8/5〕


●アジア事情
●インドでGM鶏を殺処分

 精子に発光遺伝子を導入し、病気に強い鶏を開発するために行っていた、インドのハイデラバード研究所の予備実験が中止になった。理由は、国の安全規則に基づく措置をとっていなかったためで、政府によって鶏の殺処分が命じられた。実験で誕生した263羽の内、GM遺伝子の働きが認められたのは16羽で、その内7羽は早期に死亡しており、残り9羽(雄7羽、雌2羽)が処分された。 〔Hindustan Times 2010/8/17〕

●ブラジルでバイエル社GMトウモロコシ認可無効の判決

 ブラジルの裁判所は7月28日、潜在的影響評価が行われていない、モニタリング計画を欠いているなどの理由で、バイエル社のGMトウモロコシの販売認可を取り消す判決を下した。また、国家バイオセーフティ技術コミッションの異例の対応によって認めた、国家バイオセーフティ協議会のGMトウモロコシ認可も無効とした。これにより、除草剤バスタ耐性GMトウモロコシは、ブラジル国内では販売禁止となる。〔AS-PTA 2010/7/28〕

●カザフスタンが豪州の研究機関と共同でGM麦開発

 カザフスタン政府とオーストラリアの研究機関(Australian Centre for Plant Functional Genomics)は、共同でGM小麦と大麦を開発する契約を結んだ。旱魃や塩分に耐性を持つ品種や、栄養が不足している土地で育つ品種の開発に取り組む。〔GE-NET 2010/8/26〕

●モンサント社がインドでGM小麦と稲を開発

 米モンサント社のインド現地法人マヒコ社が、子会社のマハラシュトラ・ハイブリッド・シード社を通して、GM小麦と稲の開発を進めていることが明らかになった。マヒコ社によると、開発を進めているのは旱魃耐性と塩分耐性品種で、3〜5年後には開発できるとしている。〔Bloomberg 2010/8/6〕

●フィリピンでGMナス試験栽培中止の声、高まる

 フィリピン農務省が国内6カ所で行っているBtナスの試験栽培に、農民が反対している。このBtナスはインドにあるモンサント社の現地法人が開発したが、インドでは猛烈な反対運動で栽培許可がおりなかった。フィリピン農務省は2011年にも商業栽培を解禁する方針。農民は、Btナスについて情報が公開されていないこと、承認プロセスが不透明であること、GMO規制システムが不十分であること、生物多様性が損なわれ、固有品種が汚染されるおそれがあること、環境影響評価を欠いていること、などを挙げている。また、市民団体のSeariceは、プロセソ・J・アルカラ農務省長官に対して、試験中止を求める声明を発表した。 〔Northern Dispatch 2010/8/12ほか〕


●欧州事情
●仏環境保護団体がGMブドウを引き抜く

 フランスの環境保護団体が、ワイン製造に用いるGMブドウを引き抜いた。東部コルマールにある国立農業研究所で試験栽培されていたGMブドウで、昨年9月にも同研究所のGMブドウが引き抜かれている。〔ガーディアン 2010/8/24〕

●イタリアの自由貿易推進活動家がGM作物栽培宣言

 イタリアの自由貿易推進の活動家が、GMトウモロコシ栽培を強行すると宣言し、政府や市民に挑戦状をたたきつけた。すでに組織された農業軍隊が、国内6カ所で、モンサント社の殺虫性トウモロコシ「MON810」を植える臨戦態勢にあるという。〔The New York Times 2010/8/23〕


●北米事情
●米国のGMテンサイ栽培認可、無効に

 米国カリフォルニア北地区連邦地裁は8月14日、GMテンサイの栽培を認めた農務省の決定を無効とする判決を下した。これにより、モンサント社が開発した除草剤耐性テンサイの栽培・販売が違法となる。10州100万エーカー以上の畑ですでに栽培されている分は、収穫しても流通できない。この裁判は、食品安全センターをはじめとする複数の市民団体が、農務省の認可取り消しを求めていた。
 裁判所はすでに2009年9月、GM作物の認可に際して環境影響評価書(EIS)の提出を定めた国家環境政策法(NEPA)に、農務省が違反していたことを認めた(本誌2009年11月号参照)。しかし、すでに栽培されているGMテンサイについての判断が示されておらず、栽培差し止めを求めて市民団体が訴えていた。今年3月には仮処分申請が却下されたが(本誌2010年5月号参照)、本訴で市民側が勝利した。農務省は2012年にもEIS提出を目指しているという。〔AP 2010/8/14〕

●未承認GMイネ流通でバイエル社、また敗訴

 バイエル・クロップサイエンス社の未承認GMイネ流通裁判で、セントルイス地裁は同社に約500万ドルの損害賠償の支払いを命じた。バイエル社は同様の裁判で、5件連続敗訴した。裁判は、バイエル社がGM種子の慎重な取り扱いを怠ったため、米国産の長粒米にGMイネが混入し、損害を被ったルイジアナ州の農家が訴えていたもの。これまでの裁判で敗訴した同社がかかえる賠償金は5200万ドル以上に及ぶが、まだ約500件の裁判を控えている。 〔Bloomberg 2010/7/14〕


●南米事情
●アルゼンチンでGMO推進派が暴力行為

 アルゼンチンでは、除草剤耐性作物に使用される除草剤ラウンドアップによる健康障害が広がっているが、その実態を調査する研究者への、GMO推進派による脅迫が続いている。8月7日、調査の中心にいるブエノスアイレス大学教授アンドレス・カラスコの講演会が、約100人ものGMO推進派の集団に襲われ、中止に追い込まれた。 〔Amnesty International 2010/8/12〕


●モンサント社
●モンサント社とビル・ゲイツ財団の癒着進む

 ビル&メリンダ・ゲイツ財団とモンサント社は米国政府と共同で、GM作物のアフリカへの売り込みをはかっているが、その癒着構造がさらに強まっている。このほど同財団はモンサント社の株を50万株購入し、その癒着構造がさらに強まっている。〔Community Alliance for Global Justice 2010/8/25〕

●GMO承認情報
表1 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧

生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 性質 申請(開発者) 名称 認可日*
ダイズ イミダゾリノン系除草剤耐性ダイズ BASFジャパン株式会社 CV127, OECD UI:BPS-CV127-9 2010年8月25日
ダイズ 除草剤グリホサート及びイソキサフルトール耐性ダイズ バイエルクロップサイエンス株式会社 FG72, OECD UI:MST-FG072-3 2010年8月25日

*正式にはパブリックコメントの後に認可される。