■2011年8月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●GM作物の殺虫毒素が作物本体の成長を妨げる

 殺虫性GM作物が作り出すBt毒素(cry1Ac)が、その作物本体の生育・発達に悪影響を及ぼすという研究報告が出た。これはインドの研究チームが発表したもので、Bt毒素が成長を妨げていることを示した最初の事例。
 殺虫毒素を高濃度で発現するGM作物ほど、生育や発達に遅滞や異常が見られる可能性が高いという。研究者はさらに、殺虫毒素が動物や人間にどのような影響をもたらすかを調査する、と述べている。 〔Deccan Chronicle 2011/6/3〕

●インド開発のGMヒヨコマメ、米国で評価中

 インド・アッサム農業大学農業バイオテクノロジー学部のB.K.サルマーが、ゾウムシ抵抗性ヒヨコマメを開発した。現在、この豆は、米国の大学で安全性評価が行われており、その後、生物多様性評価が行われる。 〔The Telegraph 2011/6/22〕

●豪州でGMホワイトクローバーを開発

 オーストラリアでGMホワイトクローバー(シロツメクサ)が開発された。このGM作物は、ウイルス抵抗性品種で、ウイルスのコートタンパク遺伝子を導入して作り出した。今後、実際にウイルスに抵抗力があるかなど、評価実験が進められる。 〔Weekly Times 2011/6/9〕
●アジア事情
●インドのGM綿栽培を告発する共同声明

 6月27日、インドの農業研究の団体などが共同で、Bt綿の大規模栽培によって生物多様性が失われ、綿栽培農家400万戸の健康が危険にさらされている旨の声明を発表した。現在インドでは、綿栽培の90%がGM綿になっている。この共同声明参加団体は、カルナタカ大学農業科学部、bioReインド社、スイス有機農業研究所など。 〔The indian News 2011/6/27〕

●中国政府がGMイネ違法栽培認める

 中国でBtイネの違法栽培が広がっているが、政府はこれまで「承認していない以上栽培されていない」という公式見解を繰り返してきており、今年1月にも農業省が同様のコメントを出していた。しかし、このほど環境省が調査を行い、公式にGMイネの存在を認めた。 〔Agence France Press 2011/6/15〕
●北米事情
●米国農務省、乾燥耐性トウモロコシ審議すすむ

 米国農務省(USDA)が、モンサント社とBASF社が共同開発した乾燥耐性GMトウモロコシの認可に向けて動いている。これまで承認したGM作物は、殺虫性や除草剤耐性品種であり、今回の乾燥耐性トウモロコシが承認されれば、栽培環境に対応するGM品種としてはじめての認可となる。しかし、今回審議しているGMトウモロコシには旱魃に耐えるほどの耐乾燥性はなく、従来品種のトウモロコシの中にも乾燥環境で同様の収量が得られる品種はある、とUSDAは指摘している。〔The New York Times 2011/5/11〕

●米国下院議会、GM鮭関連予算ストップに

 米国食品医薬品局(FDA)が認可に向けた作業を進めているGM鮭について、米国連邦議会下院は承認に反対する動きを見せている。アラスカ出身のドン・ヤング下院議員らは、GM鮭について一切の支出を認めないとする予算案の修正案を提出した。この修正案が下院を通過する見込みである。 〔The New York Times 2011/6/16〕

●耐性雑草が除草剤使用量を増やす

 除草剤耐性雑草の拡大が除草剤の使用量を増やし、環境へのリスクを増幅させているが、米国ネブラスカ州でもトウモロコシに用いる除草剤アトラジンの消費量が大幅に増加している。アトラジンの消費量は、2005年に比べて2010年では740万ポンド(3400トン)増えた。ネブラスカ州立大学リンカーン校で雑草学を専門としているローウェル・サンデルは、バイオテクノロジー分野は雑草を理解していない、と述べた。〔Journal Star 2011/5/29〕

●国連、メキシコ政府のGMO栽培禁止措置撤廃を懸念

 国連の食糧専門家がメキシコ政府に対して、GMトウモロコシ品種の栽培禁止措置撤廃をいまいちど見直すよう要請した。今後懸念される気候変動や飢饉など不測の事態に対処するためにも、同国の主食であるトウモロコシの多様性を守る必要があると訴えている。メキシコは2009年にバイオセーフティ法を見直し、10年間つづいてきたGMトウモロコシ栽培禁止措置を撤廃した。これに対して2011年初旬、ミチョアカンとトラスカラの両州が独自に、GMトウモロコシ栽培(商用および試験)禁止措置を決めている。 〔Latinamerica press 2011/6/30〕