■2011年8月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●南米事情
●アルゼンチン政府、穀物メジャーを脱税で訴える

 アルゼンチン政府は輸入大豆に高い関税(2010年35%)をかけ、国内大豆産業(その大半がGM大豆)を支援して
きた。その政府が、大手大豆業者4社を脱税で訴えた。脱税容疑をかけられているのは世界の穀物を支配する穀物メジャー 4社(ADM社、ブンゲ社、カーギル社、ルイ・ドレフュス社)である。農産物の価格が急上昇し、多額の売り上げがあったはずの2008年、4社はアルゼンチンではほとんど収益を上げていないと報告していた。4社とも容疑を否定し、全面的に争うかまえを見せている。〔ガーディアン 2011/6/1〕

●GM作物導入でゆれるペルー

 農業バイオセーフティ法が成立したペルーでは、成立を積極的に進めた農業大臣のバイテク業界との癒着が明らかになり、辞任した(前号参照)が、その後もGM作物導入をめぐる騒動は収まらない。ペルーの国会は、GM作物導入を一時停止するモラトリアム法案を可決、GM作物の輸入や栽培が10年間禁止されることになった。 〔Andian 2011/6/7〕
 また、バイオセーフティ法成立に対抗し、首都リマでは、スサーナ・ビララン市長が先導してGMOフリーを宣言した。 〔Agence France Press 2011/6/17〕
●欧州事情
●ノルウェーがGMジャガイモ禁止に

 ノルウェー政府の規制機関である自然管理局が、独BASF社が開発したGMジャガイモ「アムフローラ(Amflora)」の栽培と、飼料および食品への使用を禁じるべきである、との見解をまとめた。EUは2010年3月にアムフローラを承認したが、EEA(欧州経済地域)合意により、加盟各国はそれぞれ国家単位でGM作物について判断を下すことになっている。
 人の健康、社会的利益、持続可能性、倫理面など総合的に評価した結果、ノルウェーはアムフローラの栽培および使用の禁止を決めた。その理由に、GMジャガイモに含まれる抗生物質耐性マーカー遺伝子「nptII」を挙げている。この報告は環境省へ送られ、最終的な決定が下されることになる。 〔GM Watch 2011/6/6〕
●オセアニア事情
●豪州でGM食品表示法案審議入り

 オーストラリア連邦議会は、GM食品とパーム油に関して食品表示を義務付ける法案の審議に入る。上院Community Affairs委員会が、表示案について討議を行う。消費者は表示の義務化を強く求めているが、産業界は不要だとしている。 〔The Canberra Times 2011/6/15〕


●豪州でGM小麦の人体実験許可

 オーストラリア政府は、GM小麦の人体実験許可を連邦科学産業研究機構(CSIRO)に与えた。このGM小麦は、血糖値を下げる成分や繊維質を増やしたものである。人体実験許可に対して、英・米・インド・アルゼンチン・オー
ストラリアの8人の科学者がCSIROあてに、実験中止のメッセージを送った。理由として、動物実験での評価が不十分であり、人体実験できる状況にないことを述べている。また、環境保護団体などが実験の公開を求めているが、CSIROは拒否した。〔The Sydney Morning Herald 2011/6/27ほか〕

●GM芝は草原を侵す

 ニュージーランドの市民団体「持続可能性会議」は、GM芝は環境に致命的なダメージをもたらすと警告した。政府は10年にわたり、500万ドルをかけてGM芝の調査をしたが、結果を得るにはさらに数百万ドルが必要である。加えて、商業栽培が始まると非GMの芝やクローバー栽培などに悪影響を及ぼし、多額の損害を招く。また、ニュージーランドの芝や牧草などの草原の50%が被害を被る、と警告を発した。〔The New Zealand 2011/6/18〕

●フィジーがGM小麦開発に懸念

 フィジーの人々の間で、GM小麦への懸念が強まっている。オーストラリアで、米モンサント社、独BASF社などの多国籍企業と政府機関がGM小麦開発に邁進しており、それはフィジーの人々にとっては、食卓に登場する小麦の問題になるからである。 〔The Fiji Times 2011/6/21〕
●アフリカ事情
●ケニアでGMトウモロコシ輸入反対デモ

 ケニアの首都ナイロビで、GMトウモロコシの輸入に反対するデモ行進が行われた。続く旱魃によるトウモロコシの不作を受けて、同国政府がGM作物への規制を撤廃すると報じられたことに対して、農業従事者や環境運動団体などを含む一般市民が懸念を表明したもの。すでに南アフリカ産GMトウモロコシの荷がモンバサ港に到着しているとされ、デモ隊はその破棄または輸出国への返送を求めている。 〔BBC 2011/7/1〕
●GMOフリー
●ニュージーランドの市がGMOフリーを宣言

 ニュージーランド北島北部にある人口4万人の都市ワンガレー市議会は、GMOフリー条例を可決した。この採択に、非遺伝子組み換え食品を販売していた土曜マーケットは歓声に包まれ、その祝賀の席に市長も参加した。〔Northern Advocate 2011/6/13〕

●オランダの市がGMOフリー宣言

 オランダのナイメーヘン市(人口16万4000人)が「GMOフリー」を宣言した。GMOについて中立の立場を表明してはいるが、実際には産業界側に傾いているように見える同国では、こうした宣言を打ち出す地域はまだ少なく、2004年に宣言したキューレムボルフ市、2011年1月のフリースラント州に次いで3番目である。 〔GM Watch 2011/7/2〕
●モンサント
●モンサント社の多額ロビー活動費

 モンサント社は、今年の第一四半期の米国政府への働きかけの費用が140万ドルに達したことを明らかにした。これらの費用は、主に議会と農務省向けのロビー活動に使用したものと思われる。 〔Business Week 2011/6/20〕