■2012年5月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●インドの市民団体がBt綿導入10年を総括

 GMOフリー・インド連合は政府に、Bt綿導入10年を期に、GM作物栽培の総合的評価を報告するよう求めた。同時に、連合による報告書「インドにおけるBt綿10年―─間違った広告と果たされなかった約束」を発表した。その中で、Bt綿は収量増をもたらさず、耐性害虫の拡大、新たな害虫の出現、病気の発生、農家の自殺者の増加をもたらしている、と指摘した。 〔The Hindu 2012/3/21〕


●インド・モンサント社が、推進キャンペーンに農民動員

 モンサント社が、インド・グジャラート州でのGM作物推進キャンペーンに農民を動員していたことが明らかになった。手口は村の若者を雇って農民の署名を集め、州政府に提出させるというもの。農民は、この活動を中止させるよう州政府に求めた。〔The Economic Times 2012/3/14〕


●パキスタン州政府、モンサント社の独占要求拒む

 パキスタン・パンジャブ州政府は、モンサント社が求めるBt綿種子の知的所有権保護要求を拒否した。同社は、保護を盾に綿生産の独占をねらっていた。州政府が拒否した理由の1つに、保護要求の中に、農家がGM種子を拒否した場合、州政府がモンサント社に罰金を支払う仕組みが含まれていたからだという。〔The Express Tribune 2012/3/6〕


●中東湾岸諸国がGM食品表示の必要性を確認

 中東湾岸諸国による湾岸協力会議の専門家会合は、GM作物が輸入される際に、適切な表示を行うべきだと結論づけた。アラブ首長国連邦は、すでに米国からトウモロコシや大豆等を輸入しているが、ほとんどチェックされていない。またほかの湾岸諸国も大半がGM食品表示制度を導入していない。 〔The National UAE 2012/3/2〕

●オセアニア事情
●GMO推進農相選挙区に農民代表が立候補

 GM作物に反対する「憂慮する農民連盟」のスポークスウーマンで農家のジュリー・ニューマンが、西オーストラリア州議会選挙で、GM作物解禁にふみきった現州農相で国民党のテリー・レッドマンと同じ選挙区から立候補することを明らかにした。GM作物は、次回州議会選挙の争点の1つ。〔Augusta Margaret River Mail 2012/3/14〕
●遺伝子組み換え作物
●豪州で耐塩性GM小麦の試験栽培

 オーストラリアの研究グループが耐塩性デュラム小麦の試験栽培を行った。塩性土壌での収穫量が25%増加したという。デュラム小麦はシリアルなどに使われ、世界でもっとも広く栽培されている品種の1つだが、塩性の土壌では塩が葉に蓄積して生育が阻害されたり、収穫量が低下してしまう。そのため、現在の栽培品種の祖先にあたる小麦品種で、ナトリウムの蓄積を防ぐ遺伝特質を持つ品種から、現在の栽培品種に、その特質を組み込んだという。研究者は5年以内にこのGM小麦の種子を市販できるだろうと見込んでいる。 〔SciDevNet 2012/3/16〕

●GM作物栽培で蝶が激減

 除草剤耐性GM作物の急増と、オオカバマダラの数が減少した時期が一致することが、新たな研究で明らかになった。ミネソタ大学とアイオワ州立大学のチームによる研究で、GM作物が大規模に導入された1999年から2010年の期間に、米国中西部でオオカバマダラの卵の数が推定81%減少したという。オオカバマダラが卵を産み付け、幼虫が餌にするトウワタが畑からほとんど姿を消してしまったためと見られる。これは、GM種子を使用したことによる、いわゆる「予期せぬ影響」のもっとも顕著な例だろう、と研究者は指摘する。メキシコに飛来するオオカバマダラの数は(その約半数が米国中西部から)年々減少傾向にあり、今年の調査では、昨年に比べ28%減ったと報告されている。除草剤ラウンドアップ耐性作物の導入によって畑のトウワタが減ったために(コーン・ベルト地帯の主に農地で、58%減少と推定)、産み付けられる卵の数が減った可能性が考えられている。  〔Star Tribune 2012/3/16〕


●Btトウモロコシで害虫がより強力に

 独「テストバイオテク」誌が、モンサント社の殺虫性トウモロコシ「MON88017」によって、害虫根切り虫がより強力な害虫に変わる可能性がある、と警告した。米国の研究で、殺虫毒素への耐性を持つようになるだけでなく、幼虫の成長を早め、繁殖力を増大させるという。〔Test biotech 2012/3/26〕
●GM動物
●GM豚、研究頓挫の危機

 カナダ・ゲルフ大学の研究チームが開発した食用GM豚が研究打ち切り寸前になっていた。このGM豚は、糞に含まれるリンを減らしたもので、環境によい豚「エンバイロピッギー」と名付けられていた。かねてより研究資金を提供してきた養豚業界団体が出資を停止したためだが、この間、オンタリオ・ポーク企業グループが支援に乗りだし、研究は継続されることになった。〔Canada.com 2012/4/2〕