■2013年1月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●未承認GMO混入のカナダ産亜麻、生産輸出激減

 2009年に欧州で、カナダ産亜麻の種子に未承認のGM品種「Triffid」が混入しているのが見つかり、輸入禁止措置がとられた。その後、厳しい検査体制のもと、欧州への輸入は再開されたが、現在でもサンプルの2%に混入が見つかっている。このサンプルの汚染濃度は、EUが定める0.01%の検出限界濃度すれすれの値まで下がりつつある。混入が見つかる前は全輸出量の80%に相当した欧州市場への輸出量は、7%にまで激減し、カナダにおける栽培量も、混入発覚前の93万トンから51万8200トンに減少した。〔Commodity News Service Canada 2012/10/11〕


●モンサント社の独禁法違反調査打ち切り

 米国司法省は、独占禁止法の疑いで進めていたモンサント社に関する調査を、理由を示さないまま中止した。この調査は、2010年1月から始められていたが、特に成果を上げることなく、いきなり打ち切りとなった。 〔Mother Jones 2012/12/1〕
●中南米事情
●ボリビアでGMO禁止法制定

 ボリビアの大統領エボ・モラレスは「母なる地球」法を制定した。土地所有の集中や地主制度の撤廃、GM作物の栽培・使用・流通を禁じる内容である。 〔Censored News 2012/10/25〕

●ペルー政府がGMO凍結

 ペルー政府は、GM作物の輸入と栽培を10年間凍結する。11月13日に環境大臣マヌエル・プルガー・ヴィデルが発表した。その理由として「在来の作物と生物多様性を守るためだ」と述べた。〔The Argentina Independent 2012/11/14〕

●メキシコに迫る大規模GMトウモロコシ栽培計画

 メキシコでは、モンサント、デュポン、ダウ・ケミカル社によって、GMトウモロコシの大規模な商業栽培が計画され、現在、フェリペ・カルデカン大統領の承認待ちの状況である。承認されると、農民への影響だけでなく、トウモロコシの原産地を汚染し、生物多様性に甚大な被害が及ぶとして、環境保護団体が強く反対している。〔ETC Group 2012/11/15〕
●欧州事情
●EUの除草剤「ラウンドアップ」承認に問題あり

 EUが、GM作物栽培に使用する除草剤「ラウンドアップ」の主成分であるグリホサートを承認した際の経緯に問題があるという研究論文が「環境&分析毒物学ジャーナル(Journal of Environment and Analytical Toxicology)誌」に発表された。執筆者はアース・オープン・ソースの調査責任者クレア・ロビンソンら。そこでは、グリホサートが動物実験で先天性の奇形をもたらしているとする論文があるにもかかわらず、その論文を軽視し、安全と評価して承認した、と批判している。〔Farming 2012/11/12〕

●欧州食品行政の癒着の構造

 EUの独立監査機関である欧州会計監査院が、欧州食品安全局(EFSA)の「癒着の構造」への対応が不十分であると厳しく批難した。EFSAは、ある企業と関係のある食品の審査を、その企業に専門家としてアドバイスしている科学者に担当させたり、EFSAの運営理事会に業界関係者が名を連ねたりしている。とくにGMO委員会は、これまでにも、さまざまな利害の対立を抱えていることが問題視されており、2012年5月には理事会のトップが業界との関係を指摘されて辞任している。〔GM Watch 2012/10/14〕
●アジア事情
●パキスタン州政府とモンサント社の交渉不調

 Bt綿の知的所有権をめぐる、パキスタン・パンジャブ州政府と米国モンサント社の交渉が行き詰まっている。種子を保管して翌年蒔くことを禁じ、農家が違反した場合は州が補償するよう求めるモンサント社に対し、パンジャブ州は補償を拒否している。パキスタン議会繊維委員会は、パンジャブ地域の綿生産増加につながるとして、モンサント社のBt綿の流通に賛成しており、パキスタン政府も交渉再開を求めている。しかし、パキスタンの綿生産農家は昔から、収穫した種子を翌年蒔くという方法で栽培してきたため、これを禁じることはできないし、補償もできない、と州政府は抵抗している。〔Express Tribune 2012/10/17〕

●インドでBt作物の栽培を凍結する報告書

インド最高裁判所の命令で設置された委員会が、Bt作物の試験栽培を今後10年間禁止するべきだ、とする報告書をまとめた。専門家で構成されるこの委員会は、現行の食品安全評価体制やBt綿・Btナスなどに関するデータを検証した上で、試験栽培を行う特別の場所が確保され、適切なモニタリング・システムが設置されるまでは、試験栽培を禁じるべきだと全員一致で結論にいたった。インドは生物多様性条約カルタヘナ議定書の締約国であり、とりわけインドが多様性の中心となっている作物の遺伝子組み換えや、その試験栽培については、「生物多様性に悪影響を及ぼす可能性があることから」禁じるべきだとしている。 〔Economic Times 2012/10/19〕
 その後、この報告書を受けた禁止へ向けての具体的な動きは起きていない。モンサント社や業界団体を始めとするGM作物推進派がロビー活動を行っているためで、最高裁判所も禁止措置を検討する前に「引き続き関係者の意見を聞く」ことに同意しているという。〔GE Free NZ 2012/11/6〕

●インドの綿の生産量が大幅減少

 インド・マハラシュトラ州政府は、Bt綿の生産量が40%の大幅な減少となったことを正式に認めた。同州で400万ヘクタール以上の畑に作付されているBt綿の生産量は、35万トンから22万トンへと減少し、これによる農家の損失は、600億ルピー(912億円)に達し、累積の損失は2000億ルピー(3038億円)になったとしている。〔Daily News and Analysis 2012/11/26〕

●ゴールデンライスの栽培中止求める

 フィリピンで栽培試験が進められているGM稲の「ゴールデンライス」に対して、農民団体と科学者団体が、栽培中止を求めた。この試験は最終段階を迎えており、2013年には商業栽培が予定されている。もし栽培されると、GM稲では初めての本格的な栽培となるため、農民の間で危機感が強まっている。現在、試験栽培が行われているのは、イロコスノルテ、ヌエバエシハ、カマリネススル州の3つの州である。 〔Davao Today 2012/11/12〕