■2013年5月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

今月の潮流●GM作物栽培による蝶への影響


 メキシコで、オオカバマダラ蝶のコロニーが大幅に減少していることが明らかになった。オオカバマダラは、北米で大切にされている蝶で、北米大陸を縦断してメキシコにあるコロニーに戻ってくる。減少の原因は、GM作物の拡大に伴い、除草剤ラウンドアップの消費量が増え続けたからだと考えられている。
この除草剤の使用が、蝶が好んで食べるトウワタを枯らし、激減させた。昨年末から今年初めにかけて行われた調査によると、9つあるコロニーの合計が1.19ヘクタールで、前年同時期の調査に比べて59%も減少していることがわかった。蝶は1ヘクタールに5000万匹いると見られており、大量の減少となる。調査を行った米カンザス大学の研究チーム代表のチップ・テーラーは、蝶や蜂のように植物の受粉にかかわる昆虫が大幅に減少することは、生物多様性に甚大な影響をもたらす、と述べている。 〔Los Angeles Times 2013/3/13〕

 ヨーロッパでは、Btトウモコロコシの花粉がクジャク蝶の死亡率を増加させる可能性がある、という研究が報告された。気候データやトウモロコシと蝶の季節学的データを用いて、蝶の年間ライフサイクルと、幼虫の餌となる植物の葉へのトウモロコシ花粉の蓄積のシミュレーション・モデルを構築した。それによると、中部および南部ヨーロッパでは、Bt花粉と幼虫の生育時期が重なるため、死亡率の増加が予測されるという。Btトウモロコシの栽培が蝶に及ぼすリスクについて、より詳しい包括的な評価が必要である、と研究者らは述べている。〔Ecological Modelling 2013/2/10〕