■2013年5月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●GM汚染
●沖縄でGMパパイヤが自生

 農水省と環境省は3月26日、GMパパイヤの沖縄での自生に関する調査結果を発表した。これは2011年に発覚した未承認GMパパイヤ種子「台農5号」の違法販売・栽培に関する追跡調査である。すでに農家は、GM品種の可能性が疑われる栽培パパイヤはすべて廃棄させられている。今回の調査では、道端や空き地、庭先で育っているものを対象とした。調査期間は昨年2月から9月で、道端・空き地では69検体中2検体がGMパパイヤだった。庭先では627検体中57検体がGMパパイヤだった。その中には自発的に植えたものではなく、自然に発芽し生育していたものが432検体あり、内16検体がGMパパイヤだった。全体の陽性率は8.5%に達し、いったん環境中に広がったGM作物の除去の難しさを示している。


表1  未承認GMパパイヤ自生調査
調査検体数 GMパパイヤ 陽性率
道端・空地 69 2 29%
民家の庭先(全体 627 57 9.1%
同上(非植栽) (432) (16) (3.7%)
696 59 8.5%



●アフリカ事情
●ISAAA報告、エジプトの栽培面積にも疑問符

 国際アグリバイオ事業団(ISAAA)が発表した2012年のGM作物栽培面積の数字に、エジプトからも疑問符が出された(本誌2013年4月号参照)。同報告では、GMトウモロコシが1000haに作付けされたことになっている。しかし、エジプト政府は昨年1月に、手続きに不備があったとして、輸入されたモンサント社の種子の廃棄を決定しており、それと矛盾することになる。もし作付けされていれば、違法栽培になる。 〔Egypt Independent 2013/3/14〕

●欧州事情
●ポルトガルの大型スーパーがGM食用油を撤去

 ポルトガルの大型スーパーマーケット「モスケテイロス」を有するインターマルシェ・グループが、GM作物を原料とした可能性のある食用油を撤去すると発表した。同グループが確認したのは大豆油で、3月末までに棚から取り除いた。 〔The Portugal News 2013/2/27〕

●EFSA、GM食品安全性評価に動物実験義務付け

 仏カーン大学による動物実験結果の波紋は広がっている。EUは2月25日、GM食品を承認するにあたっての安全性評価に90日間の動物実験を義務づけることを決定し、加盟国が合意した。しかし、カーン大学の実験では90日では短すぎると指摘している。〔Europolitics 2013/2/27〕
 またモンサント社は、欧州食品安全庁(EFSA)が、除草剤耐性トウモロコシ「NK603」のデータを公開したことに対して、EFSAを訴える姿勢を崩していない。欧州の各国政府や議会、多くの科学者の要請で、EFSAは公開に踏み切った。 〔Food Navigator 2013/3/8〕

●米・EU間FTA交渉で駆け引き

 米国とEU間で自由貿易協定(FTA)交渉が6月から始まると見られている。米国政府の担当者は「交渉によってもEUのGMO政策は変化しないだろう」と、オーストリアのメディアに伝えた。しかし、米国連邦議会上院財政委員長は「もしEUが米国の農産物に対する障壁を取り除かなければ、オバマ大統領はFTAを締結しないだろう」と述べた。 〔Thomson Reuters 2013/3/6〕
 EU加盟国の多くがGM食品に対して批判的であるのに対して、米国政府のパートナーである英国政府は、欧州内でGM食品推進派として動き始めている。いくつかの省庁が共同で、アグリバイオテクノロジー戦略の準備を開始した。 〔The Financial Times 2013/3/8〕
●北米事情
●米国のアイスクリーム会社がGMO排除に

 米国のアイスクリーム会社「ベン&ジェリーズ」は、今年中にすべての原材料を非GMOに切り替えると発表した。透明性の重視と消費者の知る権利に配慮した決断だという。同社が本拠を置くバーモント州を含め、米国各州でGM表示法案が検討されていることが影響したとみられる。同社はすでに、使用原材料の80%が非GMで、非GMのアイスクリーム・フレーバーも26種類ある。同社は設立以来、環境保護、持続可能性、社会的正義に取り組む団体を支援している。 〔Organic & amp 2013/2/28〕

●南米事情
●パラグアイの反GMO農民リーダー暗殺される

 GM大豆の栽培拡大に抗議して反対運動を進めていた、パラグアイの農民運動リーダーのベンジャミン・トト・ラスカーノが2月19日、オートバイに乗っていた2人の人物によって銃撃され、命を落とした。彼は、GM大豆が広がるモノカルチャー化(単一栽培)は、水を汚染し、環境を破壊し、人々の健康に良くない影響をもたらすとして反対していた。 〔Toxic Soy 2013/2/20〕

●アジア事情
●中国のGM作物導入延期の理由

 中国政府が市民の不安を避けるため、GMイネとGMトウモロコシの導入を延期していると、3月7日、政府系機関の科学者が述べた。中国は2009年にGMイネやGMトウモロコシの栽培を承認しているが、実際の栽培には至っていない。理由として、市民への情報提供が不十分だということがあげられていた。〔Thomson Reuters 2013/3/7〕