■2013年10月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●米国農務省研究者、新型GM作物には長期試験が必要

米国農務省(USDA)農業研究局の研究者が、開発の進むRNA干渉(RNAi)技術に基づく防除法や害虫耐性作物の安全性評価には、現行の短期間の試験ではなく、生物の寿命の長さに対応した長期試験が必要であるという論文を「バイオサイエンス」誌に発表した。

 RNA干渉とは、自然界で自然に起きる遺伝子の働きを止める現象で、人工的に干渉を起こすことで害虫の標的遺伝子に作用し、成長を遅らせたり、殺したりする技術。これを作物に応用する、あるいは作物の遺伝子を組み換えてRNA干渉が虫に害を及ぼすようにする、などの研究が現在進められている。だが、人工的なRNA干渉が、標的の害虫のみならず、益虫やその他の動物にまで害を及ぼすのではないか、と懸念されており、単に致死率を調べるだけでは、たとえば繁殖に必要な遺伝子の抑制、といった予期せぬ影響を十分に評価できない可能性がある、と指摘している。〔American Institute of Biological Sciences 2013/7〕


●イリノイ州で殺虫剤耐性害虫増加

イリノイ大学の植物科学者マイケル・グレイが発表した論文によると、イリノイ州の2地域で行った調査で、根切り虫対策のBtトウモロコシ畑で、殺虫毒素(Cry3Bb1)に影響を受けない害虫が増えていることが明らかになった。この根切り虫は、トウモロコシ畑はもちろんのこと、輪作の大豆畑でも見つかっている。〔Reuters 2013/8/29〕

●南米事情
●ブラジルのGMO特許料裁判和解に

ブラジルのマト・グロッソ州で行われていた除草剤耐性大豆の特許料徴収を巡る裁判で、原告の農業生産者がモンサント社と和解した。2009年に農業畜産連合とその加盟農業組合が、収穫した種子を採取して翌年に栽培するのを禁じるのはおかしいとして、モンサント社を提訴し、2012年に原告の訴えを認める判決が出た。この判決に従えば、モンサント社は500万戸のブラジル農家に、これまで違法に徴収していた特許料総額約62億ユーロ(約8184億円)を返還しなければならないはずだった。だが、今回結ばれた和解では、モンサント社は10億ブラジル・レアル(約438億円)の支払いのみになる。返還を取り消す代わりに農家は、モンサント社の新しい第2世代の除草剤耐性大豆を、今後4年間にわたり割安に購入できるという。〔GM Watch 2013/7/28〕


●チリ政府、モンサント法制定の動き

多国籍企業の種子特許を容認することから「モンサント法」と呼ばれている法律を、チリ政府が制定しようとしている。農家らは、この法律がチリの食料主権を奪うだけでなく、消費者の健康に脅威をもたらす、と反対の声を上げている。〔RT 2013/8/20〕

●欧州事情
●GMO禁止措置無効判決にフランス政府が反論

フランスの裁判所は、GMトウモロコシ「MON810」の栽培禁止措置を退け、このような措置は、人間や動物の健康、あるいは環境に“重大なリスク”をおよぼす場合のみ認められる、とする判決を下した。フランス政府は2012年3月に「MON810」の禁止措置を決めている。今回の判決に対して仏農務相は、「政府はGM、特に除草剤に耐性を持つ「MON810」を支持しない」、と反論した。〔France24 2013/8/3〕
 また、オランド仏大統領は、モンサント社のGMトウモロコシ「MON810」の栽培禁止措置を継続することを表明し、禁止措置は認められないとした前日の裁判所の判断に対決する姿勢を示した。〔GM Watch 2013/8/3〕


●フランスのGMO野外試験、すべて中止に

フランスのGM作物野外栽培試験がすべて中止になった。最後まで残っていたのは、仏国立農学研究所(INRA)が1995年から実施していたGMポプラの栽培試験で、1300平方メートルの敷地に1000本栽培していた。これらのポプラは、パルプの生産力の向上と、第2世代バイオ燃料(バイオマスとバイオエタノール生産)を目的としていたが、試験継続するために必要な政府の承認が得られなかったため、7月12日をもってGMポプラの破棄を決定した。〔Le Monde 2013/7/17〕


●フランスで政府主導のGMO長期動物実験開始

仏環境省の持続可能開発委員会(CGDD)の研究部が、GMOの環境・健康リスクに関する研究プログラム「GMOのリスク」への参加団体を呼びかけた。GMOの長期摂取による健康影響について調べるのを目的とする。政府から250万ユーロ(約3億3千万円)規模の助成金が拠出されるとみられる。これはカーン大学のセラリーニらの試験結果を受けて、食品環境労働衛生安全庁(ANSES)とバイオテクノロジー高等評議会(HCB)が見解を求められており、それに応えるためである。欧州委員会の保健消費者保護総局も同様に、2年間にわたり除草剤耐性トウモロコシ「NK603」の長期毒性研究に資金を提供することを決めている。〔Actu-Environnement 2013/7/15〕


●ロッテルダム市議会、ラウンドアップ使用禁止に

オランダ・ロッテルダムの市議会は、モンサント社の除草剤ラウンドアップの使用禁止を可決した。子どもを持つ親たちを中心とした、有害な化学物質の使用禁止を求める市民運動が効を奏し、緑の党などの賛同を得て、議会を動かしたという。〔Occupy Monsanto 2013/7/19〕

●アフリカ事情
●ガーナでバイオセーフティ法施行

ガーナ議会で可決後4年間たな晒しになっていた「バイオセーフティ法」が、大統領の承認を得て発効した。現在、ガーナ近隣諸国で同様の法律を制定している国は、ブルキナファソ、マリ、セネガル、トーゴで、徐々に広がってきている。〔Ghana Business News 2013/8/2〕
 成立を受けてガーナ国家バイオセーフティ委員会は、GM稲と綿の試験栽培を承認した。いずれもBt作物で、稲はカミキリムシの幼虫、綿はオオタバコガの幼虫対策である。稲はアシャンティ地域で、綿は北部の6つの地域で試験栽培が行われる。だが、国家バイオセーフティ委員会の中心メンバーであるウォルター・アルハサンがモンサント社やシンジェンタ社から資金援助を得ていた疑いや、審査員選出の公平性などに疑問が出されている。〔Food Sovereignty Ghana 2013/8/12など〕

 ガーナでは上記以外に4種類のGM作物が研究開発中である。Btササゲ、Bt綿、高タンパク・サツマイモ、窒素効率と水効率を高めた耐塩性稲の4種類で、ササゲはサバンナ農業研究所(SARI)が、それ以外は作物研究所(CRI)の下にある科学技術研究会議(CSIR)が開発している。〔Ghana Web 2013/8/2〕