■2013年10月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●中国がアルゼンチン産トウモロコシ輸入開始

 8月6日中国は、アルゼンチン産トウモロコシの輸入を承認した。アルゼンチン産の大豆は輸入しているが、トウモロコシは初めてである。アルゼンチン産トウモロコシは、大豆同様ほとんどがGMOであり、安全性が懸念されている。中国では豚や鶏の飼料として使用される予定。〔Reuters 2013/8/7〕

●バングラデシュで4種のGMナス認可申請

 バングラデシュ農業研究所(BARI)が米コーネル大学と米国国際開発庁(USAID)の科学者の支援を受けて開発した、4種類のGMナスの認可申請が政府に出された。それぞれ異なる地域の在来種を用い、7年間にわたり温室と圃場を用いて試験が行われていた。同国では、ナスは年間38万トン収穫されている。〔Truth About Trade &Technology 2013/8/7〕


●インドで大規模な反「モンサント保護法」デモ

 8月8日、インド・ニューデリーに20州から農民や市民が集まり、バイオテクノロジー規制局(BRAI)設置法に反対するデモ行進を行った。この法律は、GM作物の承認を促進するためのもので、別名「モンサント保護法」と呼ばれる。10月12日に再び、全国から農家らが集まり、デモ行進が行われることになっている。〔Truth Out 2013/8/26〕
●GMOフリー
●コスタリカはGMOフリー国家に向かう

 コスタリカでは、各自治体でGM作物禁止の立法化が進んでいる。最近2つの県が加わり、その数は62になった。81の県のうち、GMO禁止法を策定していない県は19となり、近いうちにGMOフリーが全国規模になる可能性が強まっている。〔Costa Rica Star 2013/8/23〕
●遺伝子組み換え作物
●イスラエルで干ばつ耐性作物開発

 イスラエル北部にあるテクニオン大学の研究者が、干ばつ耐性作物を開発した。論文は米国科学アカデミー紀要に掲載された。研究者によると、ホルモンを操作して作物の老化を防ぎ、寿命を延ばすと、水が少なくても生きられるようになったという。〔English News China 2013/8/2〕

●アルゼンチンで耐病性ジャガイモ開発

 アルゼンチン国立研究会議研究チームが、ポテトウイルスY(PVY)が引き起こす病気に抵抗性をもたせたジャガイモを開発した。〔Crop Biotech Update 2013/8/8〕
●省庁動向
●筑波大学の耐冷性ユーカリ試験延長へ

 筑波大学ではこれまで、6件の耐塩性ユーカリと1件の耐冷性ユーカリの試験を隔離圃場で行ってきた。耐塩性ユーカリは生物多様性評価をみるものであるが、耐冷性ユーカリは最大10系統を栽培し、どの系統が最も良いかを見る試験である。寒さに抵抗力を持たせるためにラン藻の遺伝子を導入したこのGMユーカリは、マーカー遺伝子にカナマイシン耐性遺伝子を用いている。
 今回、耐冷性ユーカリの試験期間の延長を目的に、環境庁に隔離圃場での試験栽培の申請が出され、8月23日までにパブリックコメントの期間が終了し、間もなく承認される。

●新たな除草剤耐性大豆、日本でもまもなく認可に

 食品安全委員会は9月6日、遺伝子組換え食品等専門調査会を非公開で開催し、シンジェンタジャパン社が申請していた除草剤耐性大豆の安全性評価を行った。このGM大豆は、HPPD阻害型除草剤とグルホシネート(除草剤ラウンドアップの主成分)に耐性を持つもので、間もなく承認されることになりそうだ。HPPD(p-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ)は、生命の活動にとって大切な酵素で、それを阻害することで植物を枯らす除草剤である。


●iPS細胞が経済成長の主役に

 自民党・安倍政権は、経済成長戦略の柱の1つに健康・医療を据え、6月14日に「健康・医療戦略」を閣議決定、8月2日には「健康・医療戦略推進本部」設置を閣議決定し、本部長に安倍首相自らが座った。健康・医療での規制緩和を行い、民間企業の力を用いて推進し、経済成長の牽引役にしていく。医療ではiPS細胞が、健康では健康食品がその中心に位置づけられた。さらに政府は9月12日に規制改革会議を開催し、健康・医療を含めて50項目の規制緩和策について、来年度の予算への配分を厚くし、法律を改正して規制を緩和する方針を打ち出した。


●今月のGMO承認情報
8月6日、生物多様性影響評価検討会総合検討会において、以下のGM作物の野外栽培(第1種使用規定)が承認された(*正式にはパブリックコメントの後に認可される)。

生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 申請(開発者)
除草剤アリルオキシアルカノエート系及びグルホシネート耐性大豆 【ダウ・ケミカル日本株式会社】
除草剤ジカンバ及びグルホシネート耐性ワタ 【日本モンサント株式会社】
ステアリドン酸産生及び除草剤グリホサート耐性大豆 【日本モンサント株式会社】
チョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート及びグリホサート耐性トウモロコシ 【デュポン株式会社】