■2013年11月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●GM稲人体実験の親たちの不安続く

 米中の研究者によって、2008年に中国湖南省衡陽特別市の6〜8歳の子どもたち25人に対して、GM稲の「ゴールデンライス」を直接食べさせる人体実験が行われたが、その親たちの不安が現在もなお続いていることが明らかになった。米国では、科学・医学上の倫理違反だとして、親たちへ謝罪している。中国も地方自治体から家族に対して補償金8万元(約128万円)が支払われた。しかし、親たちは将来への影響を懸念している。(CRI English 2013/9/24)
●アフリカ事情
●GMO拒否貫くザンビア

 ザンビアは、アフリカで最も強く反GMOの姿勢を貫いている。2002年にアフリカの4カ国がGMOを理由に食糧援助を拒否した。4カ国の内マラウィ、モザンビーク、ジンバブエが、その後政策を転換させたのに対して、ザンビアはいまも反GMOを貫いている。ザンビアでは人口の85%が農業を営み、ほとんどが非GMトウモロコシを栽培している。それがアフリカ諸国に輸出され、非GMOを求める人々から受け入れられているのも、姿勢を堅持できる理由のようだ。(The Epoch Times 2013/9/18)
●GM汚染
●混入を恐れ、非GMOも買い取り拒否に

 GMアルファルファのGM汚染がアメリカで拡大している。アジアの国々をはじめ、多くの国がGMアルファルファの受け入れを拒否しているため、非GMO栽培農家の干し草もGMOの混入を恐れ、買い入れされないケースが多くなってきた。特に被害を受けているのがワシントン州の農家で、アジア向けにアルファルファの干し草を輸出しているアンダーソン社などから、受け入れを拒否されている。(Reuters 2013/9/18)
●遺伝子組み換え作物
●除草剤耐性稲はスーパー雑草を生み出しやすい

 除草剤耐性稲は、交雑する雑草の種類が多く、組み換え遺伝子が拡散しやすい、という研究を、オハイオ州立大学の進化・環境・有機体生物学教授アリソン・スノーらの研究チームが「New Phytologist」オンライン版に発表した。交雑が進み、スーパー雑草が広範囲になることが予想されるとしている。(Science Daily 2013/10/3)
●省庁動向
●農水省・環境省の2012年GMナタネ自生調査

 農水省と環境省が2012年に行ったGMナタネ自生調査の報告を、相次いで発表した。
 農水省は、2006年から輸入港周辺でのGMナタネ調査を開始し、2009年からGM大豆調査を加えた。2012年もこの2作物を対象に、ナタネは輸入港15港周辺で、大豆は10港周辺で調査している。その結果、GMナタネは7港周辺で見つかり、GM大豆は3港周辺で見つかった。

表1 GMナタネ自生調査(2012年 農水省)
採取数 GMO
セイヨウナタネ 382  131(34%)
在来ナタネ 188  0
カラシナ 823  0
1393  131


表2 GM大豆自生調査(2012年 農水省)
採取数 GMO
大豆 9 3
ツルマメ 15 0
24 3


 環境省は、2002年から調査を行ってきた。最初は輸入港周辺のみだったが、2006年からは茨城県鹿島港、三重県四日市港、福岡県博多港周辺の道路沿いと、河川敷で調査をしている。2012年もまた、その3港周辺の道路沿いと河川敷で調査を行った。

表3 GMナタネ自生調査(2012年 環境省)
鹿島 四日市 博多 合計
採取数 GMO 採取数 GMO 採取数 GMO 採取数 GMO
セイヨウナタネ 36 0 237 170 5 2 278 172
在来ナタネ 0 0 76 0 22 0 98 0
カラシナ 7 0 136 0 14 0 157 0

 農水省も環境省も、これらの結果を踏まえて、自生の分布は道路沿いや河川敷に限られていて拡大しておらず、交雑体も確認されていないと評価した。