■2013年12月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●EUが「スマート・スタック」承認

 欧州委員会は、モンサント社の「スマート・スタック」品種について、食品・飼料としての輸入・流通販売を承認した。除草剤耐性と殺虫性の遺伝子を8つも導入したこの品種に対しては、市民だけでなく各国政府・科学者の間でも批判が強く、承認にあたっては多数の抗議のメールがあったという。〔Test biotech 2013/11/12〕

●EUが新たなGMトウモロコシを承認

 EUが10年ぶりに新たなGMトウモロコシの栽培を承認した。承認したのはデュポン社とダウ・ケミカル社が共同開発した殺虫性トウモロコシ「1507」。このGMトウモロコシは2001年に申請が出されていたもので、トウモロコシとしてはモンサント社の「MON810」に次ぐ承認になる。現在、EUでは、オーストリア、ブルガリア、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、ルクセンブルクの7カ国が「MON810」の栽培を禁止している。〔Planet Ark-World Environment News 2013/11/5〕

●英環境相が環境保護運動を批判

 英国環境相のオーエン・ペーターソンが、グリーンピースやFriends of the Earth(FoE=地球の友)などの環境保護団体がゴールデンライスを批判していることについて、それは「邪だ(wicked)」と発言し、英国内で激しい批判にさらされている。〔Yahoo News UK 2013/10/17〕
 この発言に対して、世界中の90人を超える科学者が共同で、「GM食品の安全性には疑問があり、科学的に合意されたものではない」「市民の了解を得るべきだ」とする声明を発表した。科学者らは「GMOは安全」という考え方は、危険性評価や規制の際に誤った認識をもたらしてきた、と指摘している。〔Mail Online 2013/10/21〕
●北米事情
●メキシコ連邦地裁判決、GMトウモロコシ栽培禁止

 メキシコ連邦地方裁判所は10月10日、GMトウモロコシ栽培について、試験栽培、商業栽培を問わず、野外での栽培をすべて禁止する判決を下し、農務庁長官と環境庁長官にその旨を命じた。これは市民・農民・科学者らが起こした集団訴訟の判決で、メキシコはトウモロコシの原産国であり、GMトウモロコシが環境などに脅威を与えているというのが、その理由である。〔Food First 2013/10/15〕
●南米事情
●アルゼンチンでGM大豆栽培の弊害顕わに

 アルゼンチン政府や専門家によると、GM大豆栽培の拡大によって土壌劣化が止まらず、深刻化しつつあるという。原因には、輪作が減少して大豆の連作が増えてきたことがあげられている。また、ドイツの市民団体テスト・バイオテクの依頼によるブエノスアイレス大学研究所の分析によれば、収穫直前に採取したGM大豆の農薬残留量は、ラウンドアップの主成分グリホサートが、11試料中7試料で国際的な残留基準である20mg/kgを上回っていた。〔The New York Times 2013/10/25ほか〕
●アジア事情
●アルメニアがGMO規制強化へ

 アルメニア政府は10月25日、GMOの規制強化法案を議会に提出し、下院での審議が始まった。法案を提出した環境相によると、GM食品は健康に悪影響を及ぼし得ると述べている。〔Arka 2013/10/28〕

●バングラデシュ初のGM作物承認

 バングラデシュのバイオセーフティ委員会は、「Btナス」の商業栽培を承認した。同国で初のGM作物承認となる。〔The Daily Star 2013/11/5〕
続いて、バングラデシュ稲研究所の「ゴールデンライス」の野外試験栽培と、バングラデシュ農業研究所の殺虫性・天候変動耐性ジャガイモの閉鎖系での試験栽培が承認された。〔Dhaka Tribune 2013/11/12〕

●フィリピンでGM稲、2016年に商業栽培開始

 国際稲研究所(IRRI)と農務省の研究者が、フィリピンでGM稲「ゴールデンライス」の商業栽培を2016年に開始する、と述べた。現在、「ゴールデンライス」は野外試験栽培中だが、各地で破壊され試験は完了していない。にもかかわらず、「野外試験は終了した」と宣言したものである。〔The Peninsula 2013/11/6〕

●中国が国をあげてGMOを推進

 中国政府がGMO推進を強化している。政府や州政府機関がGM食品の安全性を宣伝するとともに、5月からは20以上の都市で「ゴールデンライス」などの試食会を行った。中国では今、トマト、綿、パパイヤ、ピーマンを商業栽培している。〔China Real Times Report 2013/10/25〕
●GM食品表示
●ルクセンブルクでGM飼料不使用表示導入

 10月14日、ルクセンブルク政府は、GM飼料を与えていないミルク、卵、肉などに「GMOで飼育されていません(Reared without GMO’s)」という表示の導入を承認した。同様の規則はドイツとフランスでも導入されている。ルクセンブルクはGM作物の栽培を禁止しており、欧州委員会が新たに承認したGMトウモロコシにも反対意見を表明している。〔Sustainable Pulse 2013/10/16〕