■2013年12月号

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バイオジャーナル

ニュース


●GMOフリー
●南オーストラリア州がGMO栽培禁止政策継続

 11月7日、GM作物栽培モラトリアム(一時停止)政策を続けている南オーストラリア州が、少なくとも2019年までこの政策を継続することが明らかになった。GM作物禁止政策が、日本、EUなどとの貿易で有利に働いているという理由による。タスマニア州もGM作物栽培禁止を維持しているが、南オーストラリア州は、オーストラリア大陸では唯一のGMO禁止政策地域である。〔Australian Broadcasting Corporation 2013/11/8〕

●GM汚染
●カナダでGMスイートコーン出回る

 カナダの食料品店や農産物直売所などで相次いでGMトウモロコシが見つかった。市民団体のバイオテクノロジー行動ネットワークが全部で43試料を分析したところ、15試料が陽性だった。試料の半分近くはオンタリオ州で、残りはブリティッシュ・コロンビア州、アルバータ州、ノバスコシア州で入手したもので、調査したすべての州の試料からGMスイートコーンが検出された。〔Canadian Biotechnology Action Network 2013/10/24〕
●遺伝子組み換え作物
●ラウンドアップががんをもたらす菌類を増殖させる

 アルゼンチン国立リオクアルト大学の微生物学と免疫学の研究チームが行った研究で、除草剤ラウンドアップの主成分グリホサートが、がんを引き起こす菌類を増殖させることがわかった。2種類の菌類アスペルギルス・フラブスとアスペルギルス・パラシティクスによって、アフラトキシンB1という発がん物質が生産されるが、グリホサートはその2種類の菌類を増殖させるという。〔Natural Society 2013/10/28〕

●強い農薬耐性GM大豆続々開発

 カナダ・オンタリオ州南部エセックスで、モンサント社が新たなGM大豆の試験栽培を進めている。今回の品種は、2つの除草剤ラウンドアップとジカンバの耐性品種である。ゲルフ大学の准教授ピーター・シッケマによると、同州では農地の7%が、除草剤に耐性をもつオオブタクサやヒメムカシヨモギなどのスーパー雑草に覆われているという。現在、モンサント社以外にもダウ・アグロサイエンス社が、ベトナム戦争時に枯葉剤にも使われた2,4-D耐性の大豆を準備している。新たなGM大豆と農薬の試験場化しつつある現状に、環境保護団体から批判の声があがっている。〔CBC News 2013/10/16〕

●パキスタンで新たなGM小麦開発

 パキスタンのラホールにあるフォアマン・クリスチャン・カレッジの研究者が、鉄と亜鉛の含有量を増加させた小麦を開発した。2010年3月から開発を始めていた。〔Forman Christian College 2013/10/25〕

●企業動向
●マクドナルドなどがGMリンゴを拒否

 マクドナルド社とベビーフード・メーカーのガーバー社は、環境保護団体からの問い合わせに答えて、GMりんご「Arctic Apple」を拒否するとの立場を表明した。現在、カナダと米国に認可申請が出されているGMりんごは、茶色に変色しにくいように改変されたもの。〔International Business Times 2013/11/12〕

●経費に見るモンサント社のロビー活動強化

 この3月に成立し9月末に廃止された「モンサント保護条項」(本誌2013年11月号参照)への批判が強まっていたためか、モンサント社の2013年第3四半期のロビー活動費用は、第2四半期の140万ドルに対して、100万ドルアップの240万ドルに増えていた。〔International Business Times 2013/10/25〕

●省庁動向
●厚労省がGM食品添加物の審査簡略化

 11月11日厚労省は、一部の食品添加物を安全審査の対象外とする方針を固め、同省の薬事・食品衛生審議会・新開発食品調査部会での審議にかけられた。これまですべてのGM食品添加物は食品安全委員会に諮られ、安全と評価されたものだけを承認してきた。今回、審査の対象外とするのはGM食品添加物「セルフクローニング」と「ナチュラルオカレンス」。「セルフクローニング」は、同じ種の細菌や、その細菌由来の遺伝子のみを用いて行う遺伝子組み換えのこと。「ナチュラルオカレンス」は、異なる種の細菌の遺伝子を用いるが、自然界でそれらの間で遺伝子交換が起き、存在しているケースのものを使用する。すでに環境省が、セルフクローニングやナチュラルオカレンスは、遺伝子組み換え生物の環境への影響を規制したカルタヘナ法の規制対象外であるという見解を示していた。これに加えて、厚労省が食品としての安全審査の対象から外すことになる。