■2014年3月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●世界のGM作物栽培状況


 2013年のGM作物の栽培面積が2月13日、国際アグリバイオ技術事業団(ISAAA)によって発表された。昨年の栽培総面積は1億7520万ha、前年より490万haの微増にとどまった。栽培面積があまり増えなかった要因は、大幅に作付けが拡大した2012年のブラジルのような国がなかったことがあげられる。1800万戸の農家が作付けしたというが、その大半は中国750万戸とインド730万戸の小規模農家だ。世界の栽培面積は全農地(約15億ha)の1割強だが、米国、アルゼンチン、ブラジルの3大栽培国で1億3480万haと全体の77%を占め、栽培は限定している。そのほかの栽培国は24か国で、新たに作付けした国はなく、トウモロコシを作付けしていたエジプトも商業栽培を停止したため、全体では前年より1か国減の27か国となった。アジアではインド、中国、パキスタン、フィリピン、ミャンマーで栽培している。
作物では大豆(8450万ha)が最も多く作られており、次いでトウモロコシ(5740万ha)、綿(2390万ha)、ナタネ(820万ha)となっている。昨年の特徴としては、米国で初めて干ばつ耐性トウモロコシが5万haに作付けされた。またスタック品種と呼ばれる除草剤耐性や殺虫性など複数の性質を合わせ持つGM作物が4710万ha作付けされ、全体の27%に達した。
 ISAAAは、栽培状況とともに今後の見通しを発表している。それによると、2014年中にインドネシアで干ばつ耐性サトウキビの作付けが、2017年にはアフリカで干ばつ耐性トウモロコシの作付けが始まるという。また、インド、フィリピンで栽培拒否されたBtナスが、2014年にバングラデシュで作付けが始まると予想しているが、すでに1月より作付けが始まった。さらに、パナマで初めてGMトウモロコシの作付けが承認されたのを受け、同国も栽培国入りすると予想している。
 そのほか、フィリピンでゴールデンライスの作付けがまもなく始まり、アフリカの栽培国の増加を予測している。昨年のアフリカの商業栽培国は、南アフリカ、ブルキナファソ、スーダンの3か国だが、野外試験栽培を行なっている国は、カメルーン、エジプト、ガーナ、ケニア、マラウイ、ナイジェリア、ウガンダの7か国におよぶ。
 以前から言われていることだが、このISAAAの発表は誇大であり、発表自体がプロパガンダとしての色彩が強いと見られている。これらの数字や予想にどれだけの裏付けがあるかは示されていない。


●国際アグリバイオ技術事業団(ISAAA)発表
2013年のGM作物栽培データ

表1 遺伝子組み換え作物の栽培面積推移(万ha)
1996年 170
1997年 1100
1998年 2780
1999年 3900
2000年 4300
2005年 9000
2010年 1億4800
2011年 1億6000
2012年 1億7030
2013年 1億7520

*参考:日本の国土面積は3780万ha
    世界の農地は約15億ha


表2 国別栽培面積/作物(万ha)
米国 7010 トウモロコシ、大豆、綿、ナタネ、テンサイ、アルファルファ、パパイヤ、カボチャ
ブラジル 4030 大豆、トウモロコシ、綿
アルゼンチン 2440 大豆、トウモロコシ、綿
インド 1100 綿
カナダ 1080 ナタネ、トウモロコシ、大豆、テンサイ
中国 420 綿、パパイヤ、ポプラ、トマト、ピーマン
パラグアイ 360 大豆、トウモロコシ、綿
南アフリカ 290 トウモロコシ、大豆、綿
パキスタン 280 綿
ウルグアイ 150 大豆、トウモロコシ
ボリビア 100 大豆
フィリピン 80 トウモロコシ
オーストラリア 60 綿、ナタネ
ブルキナファソ 50 綿
ミャンマー 30 綿
メキシコ 10 綿、大豆
スペイン 10 トウモロコシ
コロンビア 10 綿、大豆
スーダン 10 綿
その他* わずか
1億7520
*その他の国 チリ(トウモロコシ、大豆、ナタネ)、コスタリカ(綿、大豆)、ホンジュラス、ポルトガル、チェコ、キューバ、ルーマニア、スロバキア(トウモロコシ)


表3 作物別栽培面積(万ha)
世界 GM品種
大豆 10,700 8,450(79%)
トウモロコシ 17,900 5,740(32%)
綿 3,400 2,390(70%)
ナタネ 3,400 820(24%)
3億5000 1億7400