■2014年4月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●GMトウモロコシ「1507」欧州委員会承認の波紋

 2月13日、加盟国の反対が4分の3に達しなかったことから、欧州委員会は正式に、デュポン社傘下のパイオニア社とダウ・アグロサイエンス社が共同開発したGMトウモロコシ「1507」を承認した(本誌2014年3月号参照)。この承認に対して、いくつかの国で動きが見られる
 ギリシャ環境大臣は3月3日、GM作物の栽培を禁止する可能性を述べた。ハンガリー政府も「1507」について、あらゆる手段を講じて栽培を阻止することを明らかにした。〔The Budapest Business Journal 2014/2/21〕
フランス農業省は3月15日、改めてGMトウモロコシ「MON810」の流通・利用・栽培を禁止した。この禁止は、フランス政府の姿勢をあらためて示したものといえる。
〔Reuters 2014/3/17〕

●ロシア国会にGMO禁止法案提出

 GM作物の流通や栽培を禁止する法案が、ロシア国会上院に提出された(先月号参照)。提案した上院議員は、ロシア人の60%がGMOを不安視しており、GMOに対するより厳しい規制を可能にする法律が必要だと、その理由を述べた。現在、ロシア国内の14地域でGM作物の流通や栽培を禁じている。〔Russia & India Report 2014/2/27〕
●アジア事情
●中国財務省内の食堂がGM食用油を追放

 中国財務省の2月20日の発表によると、健康を守るために、省内にある食堂でGM食用油の使用を禁止した。これは昨年財務大臣が求めていたことに応えたもの。中国は世界最大のGM大豆輸入国でGM綿の一大作付け国でもあるが、主に飼料用で、食用油を除き食品としての流通はわずかだと見られる。〔Sustainable Pulse 2014/2/25〕

●中国のファストフード店でGM豆乳検出

 中国のケンタッキー・フライド・チキン(KFC)でGM大豆を用いた豆乳を販売していたことが、インターナショナル検査センターの調査で明らかになった。KFC、セブン・イレブン、マクドナルド、永和大王の4つのチェーン店を調査したところKFCから検出された。KFCは、大豆は中国東北部で生産されたものだと反論している。〔Want China Times 2014/2/15〕
●GM汚染
●西豪州の有機認証取り消し裁判が結審

 西オーストラリア州最高裁で争われていたGM汚染裁判が結審した。裁判は2010年、有機栽培農家のスティーブ・マーシュの畑が隣家で栽培していたGMナタネに汚染され、有機認証が取り消されたため(本誌2011年2月号参照)、農家は隣家を相手取り8万5000ドルの損害賠償を求めていた。数か月後には判断が下される。
 西オーストラリア州は2010年にGMナタネ栽培が解禁され、2013年には作付けナタネの17%がGMナタネになった。GMナタネ農家も2010年317、2011年325、2012年350、2013年406戸と増えている。〔Australian Broadcasting Corporation 2014/3/3〕

●京都大学iPS研がGMマウスのずさんな管理

 世界的なiPS細胞の研究拠点である京都大学iPS細胞研究所で、カルタヘナ法で厳重な管理が求められているGMマウスのずさんな扱いが明るみに出た。研究所所長は、ノーベル賞受賞者でiPS細胞研究の第一人者山中伸弥。研究所付属動物実験施設で、本来、飼育室か処置室で管理されなければならない実験用GMマウスが、器具などの洗浄室で見つかった。しかも2011年1月から2013年5月までの間に計14回も見つかっていた。

●未承認GM作物が貿易に多大な影響を及ぼす

 未承認GM作物の低レベルの混入が貿易に大きな影響を及ぼしている。国連・食糧農業機関(FAO)の調査によれば、加盟193か国中75か国の回答で、2002年から2012年までに低レベルの未承認GM作物の混入が198件起き、大半が積み戻しか廃棄処分となっていたことが明らかになった。〔Digital Journal 2014/3/17〕
●GMOフリーゾーン
●GMOフリーゾーン全国交流集会開催

 第9回GMOフリーゾーン全国交流集会が、3月15〜16日栃木県那須塩原市で開催。今年のテーマは「育てよう!未来につなぐ希望の種」で、地元の農家を中心に400人が参加した。那須塩原市は、関東地方でも特に酪農など農業が盛んな地であるが、福島第一原発事故による放射能汚染の影響をもろに受けた。徐々に回復しつつあるものの、以前の水準には程遠く、活気を取り戻すためにもと、今年の大会にこの地が選ばれた。2014年はヨーロッパでGMOフリーゾーン世界大会も開催される予定。