■2014年5月号

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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●インド・カルナタカ州、大凶作でBt綿栽培禁止に

 インド・カルナタカ州で、大凶作を招いたBt綿の栽培を禁止することになった。同州の7地域、1983村、5万8195haでは5割を超える大凶作となり、5万4150人の農民が被害を受けた。損失額は23億ルピー(39億円)に達している。モンサント社傘下の種子会社マヒコ社は補償金1億ルピー(1億7千万円)を提示したが、州政府は少なすぎるとして拒否した。〔Down To Earth 2014/4/1〕


●フィリピン環境保護団体がGM稲中止を求める

 3月24日、フィリピンの環境保護団体は共同で、農業大臣に、ベータカロチンを増やすGM稲「ゴールデンライス」の商業栽培計画の中止を求めた。環境保護団体は、フィリピンには「ゴールデンライス」の5倍ものベータカロチンを含む在来種のサツマイモがあり、その他にもベータカロチンが豊富な野菜や果物があり、GM稲は必要ないと述べた。〔Business Mirror 2014/3/25〕

●オセアニア事情
●豪州でGMナタネ散乱事故

 西オーストラリア州でトラックの衝突事故によりGMナタネが散乱した。衝突した場所は州都パースから南東465km。この事故に対して緑の党は「重大なバイオハザードである」という声明を出した。同州では2011年8月にも、同様の事故が起きている。〔Perth Now 2014/4/2〕
●遺伝子組み換え作物
●母乳から高濃度グリホサートを検出

 米国の市民団体Moms Across AmericaとSustainable Pulseが、GM作物の広がりとともに消費量が増え続けているグリホサート(除草剤ラウンドアップの主成分)の人体への残留調査を行った。その結果、母乳や尿から高い濃度のグリホサートが検出された。
 母乳検査では、米国内の10人の母親からサンプルを提供してもらい、その内3人から検出。フロリダ州の母親が1リットル当たり166μg、バージニア州の母親が同76μg、オレゴン州の母親が同99μgだった。

*参考:1リットル当たり1μg(マイクログラム)=0.001ppm
 尿と飲料水の検査では、尿35検体、飲料水21検体を検査し、尿では、2013年に「Friends of the Earthヨーロッパ」が欧州で調査した検査結果の10倍の濃度のものがあった。米国の飲料水中のグリホサートの許容限度は1リットル当たり700μgで、これは欧州基準の7000倍にあたる。〔GM Watch 2014/4/7〕


●パキスタンのBt綿の殺虫毒素不足

 パキスタンで栽培されているBt綿に、虫を殺すための殺虫毒素が不足していることが判明した。同国の研究機関が検査したところ、米国農務省が設定している国際基準の1グラム当たり1.8μg(=0.0018r)よりはるかに低い0.3〜0.7μgしかなく、かえって耐性害虫をもたらすことが指摘されている。〔Down 2014/4/1〕

●ドイツで耐病性リンゴ開発

 ドイツのETHチューリッヒとユリウス・キューンの研究者たちが、花や枝や実が腐る火傷病に抵抗力を持つGMリンゴを開発した。野生のリンゴから取り出した遺伝子を栽培種に導入したという。〔ETH Zurich 2014/3/20〕
●省庁動向
●2,4-D耐性大豆承認へ

 3月10日食品安全委員会は、ダウ・ケミカル社が申請していた除草剤の2,4-Dとグルホシネート(除草剤バスタの主成分)に耐性をもつ大豆について「食品として安全」と評価し、一般からの意見募集を開始した。2,4-Dはベトナム戦争時に枯葉剤「オレンジ剤」として用いられた農薬で、そのため米国では反対意見が多く、いまだ承認されていない。