■2014年7月号

今月の潮流
News
News2


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る






























バイオジャーナル

ニュース


●オセアニア事情
●西豪州の有機認証取り消し裁判、有機農家敗訴

 5月28日、西オーストラリア州最高裁で争われていたGM汚染裁判の判決が下された。裁判は2010年、有機栽培農家のスティーブ・マーシュの畑が隣家で栽培していたGMナタネに汚染され、有機認証が取り消されたため、農家は隣家を相手取り損害賠償を求めていた(本誌2011年2月号参照)。〔Perth Now 2014/5/28〕

 判決はオーストラリアにおける有機認証制度に踏み込み、一切のGMO混入を認めない(0%許容値)現在のオーガニック規格を見直し、混入率を設定するよう求めた。ここ5年間で12%成長している同国の有機農産物市場への影響は避けられないであろう。〔Reuters 2014/6/2〕

●GM汚染
●南アフリカの食パンにGM大豆汚染

 南アフリカの市民団体アフリカ・バイオセーフティ・センターが市販されている食パンを分析したところ、高い割合でのGM大豆の使用が明らかになった。食パン製造業者間で食品表示法を無視している実態がある、とセンターは指摘している。〔African Centre for Biosafety 2014/5/28〕


●大塚製薬がカルタヘナ法違反

  6月11日、文科省は大塚製薬赤穂研究所がカルタヘナ法に違反してGM生物を不適切に扱っていたと発表した。2013年9月から12月までの間、GM生物を用いた器具などを不活化処理せずに廃棄していた。

●省庁動向
●安全審査が簡略化されるGM食品添加物

 食品安全委員会は5月、3種類の遺伝子組み換え食品添加物について、安全性評価を行う必要がないとして承認した。承認されたのは、プロテアーゼとペプチダーゼ2種類、計3種類の酵素である。安全性を評価する必要がない理由は、「セルフクローニング」「ナチュラルオカレンス」だからだという。「セルフクローニング」とは、同じ種の細菌や、その細菌由来の遺伝子のみを用いて行う遺伝子組み換えをいう。「ナチュラルオカレンス」とは、異なる種の細菌の遺伝子を用いたとしても、自然界でそれらの間で遺伝子交換が起き、存在しているケースのものを使用した場合である。従来は、安全性を評価しなければいけなかったが、今年初めから安全審査を経なくてよいように変更された。

●遺伝子組み換え作物
●Bt耐性根切り虫増加

 アイオワ州立大学の昆虫学者アーロン・ガスマンらによる根切り虫に関する研究によると、最近急速にBt耐性害虫が増え、アイオワ州以外にも、イリノイ、ミネソタ、ネブラスカ、サウスダコタの各州でも見つかっている。耐性害虫の増加により、Btトウモロコシが効力を失っていると指摘した。Btトウモロコシの畑に比べて、非Btトウモロコシの畑ではBt耐性害虫の増加は顕著ではない。緩衝地帯として非Bt作物を間に作付けするなどの対策が必要だと指摘している。〔Mint Press News 2014/6/6)〕

●耐病性GM栗開発

 米国ニューヨーク州立大学のウィリアム・パウエルらの研究チームが、耐病性GM栗を開発した。この栗の木は1900年頃にアジアから米国に侵入したクリ胴枯病菌に対して抵抗力をもたせたもの。〔New Scientist 2014/6/3〕