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ニュース
●欧州事情
●EUのGM作物規制、各国裁量に
6月12日、EUの環境相理事会が開催された。主題は、混乱をきたしているEUのGM作物規制についてである。そもそもEUのGM作物規制は欧州委員会主導だが、各国の裁量権もある程度認めていた。その結果、フランスやドイツが禁止政策を採っているにもかかわらず、ポーランドが禁止政策を採ろうとしたところ欧州委員会が否決するなど混乱が起きていた。このため、今後は各国の裁量に委ねることになった。
会議では、この方針について28カ国中26カ国が支持、ベルギーとルクセンブルクが棄権した。欧州議会の緑の党は、変更はGMO導入をもたらすトロイの木馬になりかねないと批判した。〔Neurope 2014/6/19〕
変更を受けてキプロスの環境相ニコス・クヤリスとギリシャの環境相ヤニス・マニアティスは、GMOフリー政策の継続を宣言した。〔Master’s Society 2014/7/1〕
●仏セラリーニ等の論文、別の雑誌に再掲載
長期間の動物実験によって除草剤耐性トウモロコシと除草剤ラウンドアップの有害性を明らかにした、仏カーン大学の研究者セラリーニ等の「Food and
Chemical Toxicology(食品と化学毒物学)」誌に掲載された論文は、のちに取り消しになったが(本誌2014年1月号参照)、「環境科学欧州(Environmental
Sciences Europe)」誌が論文掲載を渇望する声に応えて再掲載した。これに対してGMO推進派は、今回の再掲載はピア・レヴュー(審査)を経ていないと批判している。〔New
Scientist 2014/6/26〕
●北米事情
●スーパー雑草対策で新たな農薬投入
米国環境保護局(EPA)はテキサス州で増え続けるスーパー雑草(除草剤が効かなくなった雑草)対策のために、新たな除草剤の使用を認めた。問題の雑草はアカザで、新たに認められた除草剤は、土壌中で分解されるのに1年半以上かかるとされるトリアジン系の農薬プロパジン。EUでは使用が禁止され、EPAでも発がん物質にリストアップされている。今シーズン中、除草剤耐性綿畑の約半分、300万エーカー(約121万4000ヘクタール)以上に散布される予定で、量は最大7万314ガロン(約266キロリットル)に達すると見られている。〔Digital
Journal 2014/7/4〕
●南米事情
●援助とともにGM種子導入を図る米国
中央アメリカにあるエルサルバドルの農民団体が、援助の条件にGM種子導入を求める米国に抗議した。米国は、2億7700万ドル(約280億円)の援助実施機関としてミレニアム・チャレンジ社と5年契約を結ぶことを求め、契約書にはモンサント社の種子の購入が含まれていた。農民は、モンサント社の種子よりもエルサルバドルの伝統的品種の種子を望んでいる、と主張している。
〔Investing 2014/7/16〕
●GM食品表示
●台湾がより強化した新GM食品表示導入
台湾は、GM食品表示を強化した新たな表示規則を導入する。2月5日に法案は議会を通過し、2016年1月1日から施行される。日本と同様、油や醤油などは表示の対象外だが、意図しない混入率は現行の5%から3%になった。〔Focus
TAIWAN 2014/6/20〕
●ニューヨーク州議会、GM食品表示法案廃案に
ニューヨーク州議会に提出されたGM食品表示法案は、たなざらしのまま6月26日に時間切れ廃案となった。これにより、すでにGM食品表示法が成立しているコネチカット州など近隣の州が影響を受けることになる。施行にあたっては「周囲の州で同様の法律が成立すること」などが条件になっているからである。GMOフリー・コネチカットのダイアナ・リーブスは、再びニューヨーク州議会に法案が提出されるだろう、と述べている。〔Farm
Futures 2014/6/26〕
●オレゴン州でGM食品表示法案の住民投票確実に
5月15日、オレゴン州の草の根グループ「オレゴン知る権利」は、住民投票を成立させるための署名最低ライン8万7213筆を目標に、GM食品表示法案成立のためのキャンペーンを開始した。5月24日にはポートランドにあるモンサント社へのデモ行進も行われた。〔Portland Tribune 2014/6/12〕
GM食品表示法案の住民投票への署名は、最低ラインをはるかに超える15万5000筆強に達し、7月3日提出され、11月の中間選挙時に行われることが確実になった。〔Reuters 2014/7/4〕
●GM昆虫
●ブラジルでGMミバエ野外大量放出実験承認
4月、ブラジルのGMO承認機関であるCTNBioは、GM地中海ミバエ(Ceratitis capitata)の数百万匹の野外への放出実験を承認した。地中海ミバエは幼虫が果物の果肉を食害するが、このGMミバエは、個体数の減少をはかるよう、遺伝子組み換えによって成長を抑制している。ブラジルのメロン、マンゴー、ブドウ、パパイヤなどの果実類は世界中に輸出され、主な輸出先はEUだが、EUのGMO規制は果実中の幼虫にまでは及んでいない。〔Sustainable Pulse 2014/6/4〕
●省庁動向
●日本の新食品表示基準、GM食品表示に変更なし
消費者庁は7月7日、昨年成立した食品表示法に基づき、具体的な表示の方法を定めた「食品表示基準」を発表し、パブリックコメントを求めた。従来の食品衛生法とJAS(農林規格)法を統一化する新しい食品表示には抜本的な改革が期待されたが、製造所固有記号、アレルギー表示、栄養成分表示などに一部変更にとどまった。また、安倍内閣が進める経済成長戦略の柱の一つに「健康食品」が据えられたことから、通常の食品にも「健康に良い」という表示ができるようになった。GM食品表示に関しては、消費者が求めていた「EU並みの表示」にはほど遠く、相変わらず油や醤油などへの表示はなく、原材料にGM作物が使用された加工食品も原材料の重量が上位3品目の表示のみで、混入率も現行の5%のままである。
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