■2014年11月号

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バイオジャーナル

ニュース



●北米事情
●米国でまたGM小麦自生

 米国農務省動植物検疫局(USDA/APHIS)は、モンタナ州でモンサント社の未承認除草剤耐性小麦が見つかったことを明らかにした。発見現場のモンタナ州立大学南部農業研究センターでは、2000年から3年間、GM小麦の試験栽培を行なっていた。2013年5月にオレゴン州で見つかったGM小麦は100エーカー規模で自生していたが(本誌2013年8月号参照)、今回は3エーカー弱だった。APHISはすぐさま調査に着手し、流通過程への混入はないことを表明した。前回の汚染では日韓などが小麦輸入を停止し、甚大な影響が起きたため、今回は素早く対応した。
〔Wisconsin Gazette 2014/10/1〕
 オレゴン州のGM小麦自生は農務省保健衛生調査局によって調査が進められていたが、結局「単発的事案」として処理され、原因が突き止められないまま調査は打ち切られた。〔Agri View 2014/10/15〕

●カリフォルニア州でGMサケの養殖禁止に

 カリフォルニア州で、GMサケの規制を強化する法律「AB504」が州議会を通過し、テリー・ブラウン知事が署名し成立した。これにより同州の水域ではGMサケの養殖は禁止される。消費者団体の食品安全センターは法案成立を評価したが、タンク内の養殖が対象外になっているため、そこから逃げ出し環境中に拡散する危険性を指摘した。〔eNews Park Forest 2014/10/2〕

●米国でGMリンゴの違法栽培
 ハースト新聞は、情報公開法によって得た文書に、GMOに関する数百もの違反を見つけた。その一つに、ワシントン州ゲッベルス果樹園でのGMリンゴの違法栽培があった。最も違法件数が多かった企業はモンサント社だった。〔Earth First! Newswire 2014/9/29〕

●中国の米国産コーン輸入拒否問題、農家も提訴

 中国への輸出品に未承認GMトウモロコシ「MIR162」が混入していたため受け取りを拒否され損害を被ったとして、穀物大手のカーギル社が開発社のシンジェンタ社を訴えたが(本誌2014年10月号参照)、それに続きアイオワ州、ネブラスカ州、イリノイ州の農家がシンジェンタ社を相手取り、それぞれ10億ドルの損害賠償を求め提訴した。〔International Business Times 2014/10/6〕

●中南米事情
●コスタリカのGM作物栽培地、ようやく明らかに

 コスタリカ政府はGM作物栽培地を非公開としていたが、9月11日、裁判所は情報非公開の違憲判決を下した。市民団体「グアナカステの声」が国家植物防疫局から早速入手した文書によって、栽培地の大半が、3つの国立公園、1つの野生生物保護地域を持つ自然豊かなグアナカステ州であることが判明した。現在同国で栽培されているGM作物は、トウモロコシ、大豆、綿の3作物。〔Inside Costa Rica 2014/10/1〕

●アジア事情
●中国政府がGMO推進キャンペーン開始

 中国政府は、食料安全保障で重要な働きを果たす、としてGMO推進キャンペーンをスタートさせた。しかし、習近平国家主席による「外国とのGMO開発に打ち勝て」というスピーチは数か月前に作成されたもので、発表は今週に入ってからだった。その間、期限付きで承認していたGM稲2種類とトウモロコシ1種類の許可延長を認めず、8月に期限終了を迎えている。〔Reuters 2014/9/30〕

●中国が米国産干し草の輸入も拒否

 中国はトウモロコシに続いて、GMアルファルファが混入しているとして、米国産干し草の輸入を拒否した。米国の輸出業者によると、このところ中国では検査のレベルを強化しているという。〔Global Research 2014/10/3〕

●ベトナム科学者がGMトウモロコシ承認を批判

 ベトナム農業農村開発省が、GMトウモロコシについて食用・飼料用の栽培・流通を承認したが(本誌2014年10月号参照)、これに対して国内の科学者が批判している。農業農村開発省所管のトウモロコシ研究所元所長Tran Hong Uyは、ベトナムへのGMトウモロコシ導入は失敗するだろうと述べた。GMトウモロコシは、1ha当たり8〜10トン収穫できる在来品種に及ばないという。さらに自国の農民を外国企業の従属化に置くことになるとも指摘した。ベトナム作物種子協会のTran Dinh Longは、GMトウモロコシは耐性雑草や耐性害虫をもたらすため、ベトナムの在来品種の方が優れていると述べている。〔VietNam Net 2014/9/27〕

●インドのGM作物野外栽培禁止11州に

 インド・グジャラート州政府は、GM作物の野外試験栽培の禁止を決定した。インドではこれまで10州で栽培が禁止されている。同州の有機農業推進委員会のシャー委員は、試験栽培でも野外で栽培されれば種子が汚染されると述べた。〔DNA India 2014/10/10〕