■2014年11月号

今月の潮流
News
News2


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る






























バイオジャーナル

ニュース



●欧州事情
●GMO規制法グルジアで可決成立

 賛成65、反対2で、GMO規制法がグルジアで可決成立した。これまでGM種子の輸入は禁止されていなかったが、今後は閉鎖系でのGMO栽培、市場流通、輸出入などが規制される。また、すでに施行されているGMO関連の諸規則も改正される。〔Trend 2014/9/19〕
●アフリカ事情
●ガーナでGM稲開発へ

 ガーナ・アシャンテイ州にあるガーナ科学・産業研究評議会の作物研究所がGM稲の開発に乗りだす。開発費用は、ケニアのナイロビに本拠を持つアフリカ農業技術財団を経由して、米国国際開発庁が提供する。〔GBC Ghana 2014/10/14〕

●南アフリカのスーパー、PB食品のGMO削減へ

 南アフリカのスーパー、ウールワース社が、1年以内に自社のプライベートブランド(PB)食品についてGMOの割合を半分以下にすることを明らかにした。現在、GM作物が原料に含まれているウールワース社のPB食品は5.3%だが、それを2.7%以下にするという。南アフリカでは、昨年のGM作物作付面積が290万haに達し、トウモロコシ、大豆、綿が栽培されている。日本同様、GMOの原材料に占める割合が5%を超えた場合は表示が必要である。オーストラリア資本のこのスーパーは、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカで展開している。〔Fresh Plaza 2014/9/15〕
●GM昆虫
●GM蚊、GMハエの次はGM蛾

 英国オキシテック社は、デング熱を媒介するネッタイシマカを減らすのを目的としてGM蚊の大量放出を世界各国で繰り返してきた。スペインでは果樹の害虫対策のGMオリーブミバエを放出し、さらに米国フロリダ州でのGM蚊放出を計画している。ここにきて、ブロッコリーやカリフラワーの害虫駆除を目的に、ニューヨーク州でのGM蛾放出予定が明らかになった。〔Global Research 2014/10/3〕

●国際条約
●韓国・平昌で生物多様性条約締約国会議開催

 10月6日から17日にかけて「生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)」及び第1回名古屋議定書会議が韓国平昌で開催された。会議には締約国194か国(EU含む)中162か国の政府代表者ならびに市民団体など3000人以上が参加した。今回の主要な議題は、2010年の名古屋COP10で採択された「愛知ターゲット」と「名古屋議定書」、そして新たな技術として浮上した「合成生物学」だった。
 「愛知ターゲット」 2020年までに地球規模でどれだけ生物多様性を守れるか、さまざまな分野で目標をたてるというもので、今年は中間評価の年に当たる。会議では、このままでは最終目標が達成できないという認識が共有された。
 「名古屋議定書」 遺伝子資源から得られた利益の衡平・公正な分配の仕組みの確立を目的にしている「名古屋議定書」は、2014年10月12日に発効した。今回が第1回締約国会議(MOP1)となる。しかし、議論は難航しており、先行きが懸念される。日本の地名を冠した議定書だが、日本はいまだ批准していない。10月2日にはバイオインダストリー協会など5団体が連名で、日本は批准すべきではない、という声明を出した。
 「合成生物学」 遺伝子組み換え技術に続いて、人工的に生物を作りだす、自然界に脅威をもたらす技術である。COP10から議題にあげられたが、今回、専門家会合で検討することが決まり、やっと議論の端緒についた。

●カルタヘナ議定書締約国会議で話し合われたこと
 COP12に先立つ9月29日から5日間、第7回カルタヘナ議定書締約国会議(MOP7)が開催された。今回の会議のおもな議題は、@カルタヘナ議定書(以下同)第18条「(LMOの)取扱い、輸送、包装及び同定」、A「名古屋・クアラルンプール補足議定書(未発効)」で扱うことになっている第27条「責任と救済」、B第15条「リスク評価」と第16条「リスク管理」、C第26条「社会経済上の配慮」、D第17条「意図しない国境を越える移動及び緊急措置」の5テーマ。

@では検査・同定技術が問題となり、とくに同定に必要な表示が焦点となったが、最終的には、特別な表示は必要ない、ただし特別な表示を行なうことは妨げない、という結論になった。
Aの補足議定書は40か国が批准して発効するが、26か国しか批准しておらず(日本も未批准)、いまだ具体的な話し合いのテーブルについていない。
Bについては、事前に専門家会議(AHTEG)が開かれ、GM魚などに関してガイダンスがまとめられたが、ガイダンスに強制力がないためAHTEGへの批判が集中した。そのためAHTEGの存続も危ぶまれたが、最終的に継続されることになった。
Cは、前回の会議で設置が決まったAHTEGの存続が問題になり、最終的に存続が決まったものの、具体的な議論はなされていない。
Dでは、検査や同定の技術についても話し合われたが、主には途上国への資金援助が議論の対象となった。
全体的にはほとんど前進が見られず、次回2年後のメキシコMOP8への積み残しが多かった。