■2014年12月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●米国のGMOをめぐる住民投票結果


 11月4日、中間選挙と同時に米国オレゴン州とコロラド州では、「遺伝子組み換え食品表示法案」の住民投票が行われた。ともに住民が「知る権利」を掲げて発議し、署名を集めて投票にこぎつけたものである。
 同日、ハワ州イマウイ島ではGM作物試験栽培の一時停止条例が、カリフォルニア州フンボルト郡ではGM作物栽培禁止条例の投票が行われた。
 オレゴン州の「遺伝子組み換え食品表示法案」は49%対51%の僅差で、コロラド州は34%対66%で、いずれも否決された。この投票に対してバイテク産業や食品産業は、モンサント社の1070万ドルをはじめとする3600万ドルもの巨額資金を投入、TVCMを軸にGM食品表示反対キャンペーンを張った。一昨年のカリフォルニア州、昨年のワシントン州と同様のCM戦略が展開された結果、市民は金の力に敗北した。投票結果についてバイテク産業協会のジム・クリーンウッド会長は、「表示問題は連邦政府が取り組むべき課題である」と述べ、バーモント州で採択されたGM食品表示法についてさらに攻勢を強める姿勢を示した。〔Reuters 2014/11/5ほか〕

 ハワイ州マウイ島、カリフォルニア州フンボルト郡の投票は住民が勝利した。これによりマウイ島では、安全性評価が完了するまで野外試験栽培ができなくなり、フンボルト郡ではGM作物の作付けができなくなる。マウイ島では、法案を潰そうと、モンサント社、ダウ・アグロサイエンス社を中心としたバイテク企業は790万ドルを集め、TVCMを盛んに放映したが、51%対49%の僅差で市民の意志が上回る結果となった。
〔Civil Beat 2014/11/4ほか〕

 フンボルト郡では約60%が賛成し、市民が勝利を収めた。これによりカリフォルニア州では、メンドシーノ、トリニティ両郡と合わせ、広範な地域がGMOフリーゾーンとなった。〔Redwood Times 2014/10/24ほか〕

 それより前の10月20日、ロサンゼルス市議会環境厚生委員会がGM作物栽培を禁じる条例を採択した。この後、市議会で正式な審議が始まる。条例が成立すると、GM作物、種子の栽培流通が禁止され、同市はGMOフリーゾーンとなる。〔LA Times 2014/10/21ほか〕