■2015年2月号

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バイオジャーナル

ニュース



●GM汚染
●中国からの輸入綿種子にGM種子が混入

 農水省は12月25日、中国から輸入した栽培用の綿種子にモンサント社のGM綿種子が混入していたとして、販売社に回収を指示した。GM綿の検査法開発時に偶然発見された。GM綿は、食品や飼料用の輸入は認められているが、申請がないため栽培は認可されていない。
 このGM綿種子は、札幌採種園が2010年4月から2012年7月にかけて中国から輸入し、「トールコットン」という商品名でカネコ種苗と日光種苗が、「自然の繊維・コットン」という商品名で第一園芸がホームセンターなどで販売していた。混入していたのは、モンサント社の殺虫性綿「MON531-6」と除草剤耐性綿「MON1445」の2種類。農水省は、海外でGM綿が普及しており、今後、同様のケースが拡大する可能性が強まったとして検査を強化する予定。
●欧州事情
●欧州特許庁がモンサント社のGMトマトの特許取消

 欧州特許庁は、モンサント社の灰色カビ病耐性トマトの特許(EP1812575)を取り消した。かねてより、市民団体がバイオパイラシー(生物資源の盗賊行為)に当たるとして特許取り消しを求めていた。遺伝子を取り出したもともとのトマトは、ドイツのガテルスレーベンにある国際遺伝子銀行から入手されたもので、そのトマトにそもそも耐病性の性質があることがわかっている。〔Sustainable Pulse 2014/12/22〕

●EU加盟国、各国ごとのGMO導入判断へ

 欧州議会本会議は1月13日、加盟国が独自にGM作物栽培の禁止を可能とする新GMO政策を可決した。賛成480、反対159、棄権58だった。〔Daily Mail Online 2015/1/13〕  これを受けてドイツでは、環境省がGM作物栽培禁止の検討を始めた。一方緑の党は、現在EUが協議を進めている、米国やカナダなどとの自由貿易協定が締結されれば、GM作物の市場開放をもたらす可能性があるとして、警告を発した。〔EurActiv 2015/1/14〕  英国は、スコットランドとウェールズが禁止に向けて、イングランドは栽培承認に向けて動き出し、見解が分かれそうである。〔EurActiv 2015/1/15〕
●北米事情
●米国で新たなGM大豆を承認

 米国農務省は、デュポン・パイオニア社が開発した新しいタイプのGM大豆を承認した。この大豆から作られる飽和脂肪酸をおさえた食用油「Plenish」は、オリーブオイルのように一価不飽和脂肪酸が多く、健康に良いというのが売りである。〔Examiner 2015/1/5〕

●米国で新しいタイプのGM芝承認

 米国農務省は、Scotts Miracle-Gro社が開発した除草剤(グリホサート)耐性芝を承認した。従来のベントグラスではなく、ウシノケグサを用いている。ベントグラスに比べて丈が短く厚く、しかも深い緑色になるよう品種改良がなされている。〔Capital Press 2014/12/30〕

●GM栗の木申請へ

 米国では、栗の木の病気であるクリ胴枯病によってアメリカグリは絶滅の危機にある。ニューヨーク州立大学環境科学・林業カレッジは、アメリカグリ回復計画に、クリ胴枯病に耐性を持つGMアメリカグリを開発し、申請すると11月4日発表した。このGMアメリカグリは、栗の木の形成層を冒す病原菌に抵抗力を持たせたもので、小麦の遺伝子を導入している。計画では1万本を植えるという。開発には、モンサント社と密接な関係にある、GMユーカリなどのGM樹木開発を推進するArborGen社がかかわっている。〔Popular Science 2014/12/25〕

●ロサンゼルス市のGM作物栽培禁止条例、非成立か

 昨年の10月、ロサンゼルス市議会の環境厚生委員会がGM作物栽培を禁じる条例を採択したが、本会議ではGMO推進派の介入により廃案に追い込まれそうである。昨年末の本会議では、発言者5人の内3人が条例に反対だった。〔Inquistitr 2015/1/4〕