■2015年5月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース




●オセアニア事情
●豪州の有機認証取消裁判、控訴審開始

 西オーストラリア州の有機認証取消裁判が、新たに控訴裁判所で争われることになった。隣家が栽培したGMOによって汚染され、有機認証を取り消された有機農家が隣家を相手取り損害賠償を求めて最高裁判所に提訴した(本誌2011年2月号参照)が、2014年5月敗訴した。6月の控訴期限までに控訴し、これまで審理が行なわれていたもので、3月23日に裁判が開始された。〔Australian Broadcasting 2015/3/23〕
 西オーストラリア州最高裁は原告の要求に基づき、被告のGMナタネ農家に対して、裁判費用がどこから出ているか開示するよう求めた。その結果、モンサント社から多額の費用が出ていることが明らかになった。
〔Sustainable Pulse 2015/4/8〕

●遺伝子組み換え作物
●開発がすすむGM果実

 デルモンテ社は、トマトの抗酸化作用を持つ赤い色素の遺伝子を導入しリコピンを増やした、ピンク色のパイナップルを開発した。また、フロリダ州のサザンガーデン社は、ほうれん草の遺伝子を導入したカンキツグリーニング病耐性のオレンジを開発している。〔The State 2015/4/1〕


●光合成活性化稲、今年も試験栽培

 独立行政法人・作物研究所は、昨年に続き「カルビンサイクル強化稲」の隔離圃場での栽培試験を行う。このGM稲は、ラン藻由来の遺伝子を導入して、光合成を活性化するようにしたもの。ラン藻は海中に住む植物プランクトンで、活発な光合成によって地球上に酸素を大量に供給している生物である。
 カルビンサイクルとは、葉の細胞で行われる光合成の反応で、光や水から糖やデンプンを合成するサイクルのことである。サイクルを強化して糖やデンプンの合成量を増加させるのが狙いである。
 試験栽培は4月下旬に播種・育苗、5月中旬に圃場に移し、10月下旬に収穫の予定。用いる稲の品種は、日本晴、クサホナミ、モミロマンで、約10aの田んぼで、GM稲と対照群を植えて成果を判定する。

●遺伝子組み換え昆虫
●発光カイコの飼育継続

 3月26日、農水省は今年もまた、緑色に光る生糸をつくり出すカイコの飼育試験を行うため、カルタヘナ国内法に基づき一般からの意見を募集した。このカイコは、クラゲの発光遺伝子を導入したもので、品質安定や環境への影響などを評価するため、群馬県にある独立行政法人・農業生物資源研究所・群馬県蚕糸技術センターで飼育試験を行う。

●GM食品表示
●カナダでもGM食品表示を求める市民立ち上がる

 米国のGM食品表示を求める運動に呼応して、カナダでも運動が始まった。現在カナダでは任意表示のため、GM食品かどうかはわかりづらい。消費者の知る権利を求めて、17団体で構成されるカナダ・バイオテクノロジー・アクション・ネットワークが動き始めた。〔Vancouver Sun 2015/3/22〕

●企業動向
●モンサント社、GMO批判への対抗部門の存在を表明

 モンサント社にはGMO批判に対抗する部門があり、グリホサートの発癌性などの問題が起きた際に直ちに対処する仕組みになっている、と同社の研究者が農業を学ぶ学生との対話で明らかにした。この部門では、科学誌などへの攻撃も行なっているという。
〔Sputnik International 2015/4/6〕