■2015年9月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●米国の国レベルの「GM食品表示法案」下院を通過


 連邦議会下院で「食品表示法案(HR1599)」の審議が始まった(本誌2015年8月号参照)。下院の住宅農業委員会とエネルギー商業委員会での審議を経て本会議に送られ、7月末の下院本会議で賛成275、反対150で可決した。法案は今後、上院で審議される。〔Watertown Daily Times 2015/8/9〕

 法案を強力に推し進めているのは、GM作物開発企業やGM食品表示を妨害してきた食品企業、農業者組合などである。〔CNBC 2015/7/22〕
 市民団体はこの法案を「知る権利を奪う法案」「暗黒法案」と呼んでいるが、法案が持つ性格はそれにとどまらない。法案は自治体の権利を弱め、企業の活動をやりやすくし、国の力を強化する。GM作物・食品に関するあらゆる規制が無効になり、GMOを野放しにしてしまう危険性がある、とジャーナリズムは伝えている。〔EWG 2015/7/16〕

 法案が上院で否決されても、TPP(環太平洋経済連携協定)がまとまれば、ISDS条項(投資家対国家間の紛争解決条項)で多国籍企業が国や自治体などを訴えることができるため、この法案と同様の事態がもたらされてしまう、とMint Press紙は指摘している。ISDS条項は、他国の政府や自治体の規制も訴えることができるため、TPP参加国では同じようにGMO規制を無効にされる可能性がある。〔Mint Press 2015/7/28〕