■2015年9月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●北米事情
●米国で「GMO不使用」表示食品増加

 米国で「GMO不使用(GMOフリー)」表示食品が増加していることが自然食品マーケティング研究所調査により明らかになった。何らかの形でGMO不使用表示の食品を食べている人は、全米で2012年37%から2014年59%に増えている。ミレニアム世代と呼ばれる若い世代では、2012年45%から2014年72%に増えた。また、GMO不使用表示の食品は、2012年の551種類から2014年には1992種類に増えている。しかし、現在連邦議会で審議中の「食品表示法案(HR1599)」が施行されると、「GMO不使用」表示もできなくなる恐れがある。〔Food Business News 2015/7/14〕


●GM稲の人体実験論文、掲載撤回

 米国の「American Journal of Clinical Nutrition」誌が2012年に掲載したGM稲「ゴールデンライス」にかかわる論文を撤回した。この論文は米国マサチューセッツ州タフツ大学の研究者を主執筆者とする、2008年に米国の科学者と中国の科学者が共同で行った中国湖南省の6〜8歳の子ども24人に「ゴールデンライス」を直接食べさせた安全性評価実験。撤回理由に、子どもたちの両親の同意が十分に得られていなかったことをあげている。論文撤回に関してQuartzではコメントを求めたが、シンジェンタ社は拒否した。〔Quartz 2015/8/3〕

●遺伝子組み換え作物
●GM大豆には大豆本来の能力が失われていた

 「農業科学」誌に発表された、23か国184の研究機関が行なった実験を評価したインドのヴァンダナ・シヴァらの研究によると、GM大豆中には発癌物質のホルムアルデヒドが蓄積し、抗酸化作用を持つグルタチオンが大幅に減少していた。すなわち、植物が本来持っているストレスを制御する能力がGM技術によって破壊されていた。〔Sustainable Pulse 2015/7/15〕

●合成生物学
●アイルランド企業が合成生物学開発支援に着手

 アイルランドのインディーバイオ(IndieBio)社が、合成生物学の開発支援に本格的に取り組む。アレルゲンのないピーナッツ、長寿をもたらすヨーグルト、海にやさしい養殖魚用飼料など9つの分野で開発がスタートした。開発には、オーストリア、カナダ、フランス、米国のベンチャー企業や研究者が加わっている。〔The Irish Times 2015/7/21〕


●省庁動向
●東京でエボラウイルス研究施設稼働へ

 武蔵村山市にある国立感染症研究所で、エボラ出血熱ウイルスなどの特定一種病原体を研究するバイオ研究施設が国内で初めて稼働する。1980年代に最も危険な病原体を扱うことができる「バイオセーフティレベル(BSL)4」として完成したが、周辺住民の反対によりレベル4より危険性の低いレベル3の研究が行われてきた。8月7日、関係自治体の合意を得て、厚労大臣は「特定一種病原体等所有施設」に指定した。特定一種病原体は、南米出血熱ウイルス、ラッサウイルス、エボラ出血熱ウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、マールブルグウイルスの5種類のウイルスを指す。しかしすでに施設は老朽化し、病原微生物が環境中に漏れて引き起こされるバイオハザードの危険性は増している。現在国内にはレベル4の施設はつくば市にあり(未稼働)、厚労省は長崎大学への設置にも動いている。