■2015年10月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●北米事情
●覆ったメキシコのGMトウモロコシ栽培禁止判決

 メキシコ第12連邦地裁は、2013年9月の試験栽培も含めたGMトウモロコシ栽培禁止命令を覆す判決を下した。前判決は、メキシコがトウモロコシの原生地であることから生物多様性を守るためのものだったが、今回の判決は、多国籍企業の活動を優先したものである。〔proceso.com.mx 2015/8/19〕

●GMOを基因とする先天性障害児が増加するハワイ

 米国ハワイ州の小児科医が、3年間にわたる追跡調査の結果、ハワイで増えている先天性障害の原因はGMOに基因するのではないか、と指摘した。ハワイでの先天性障害を有する幼児の出生率は、全米平均の10倍に達する。ハワイにはモンサント、ダウ、BASF、シンジェンタ、デュポンの試験圃場があり、米国で開発されたGMトウモロコシの大半がハワイで試験栽培されている。使用される農薬は全米平均の17倍に達するという。〔The Guardian 2015/8/23〕

●米消費者団体が情報公開法違反で農務省検査部を告訴

 米国消費者団体の食品安全センターは、違法にGMO情報を隠しているとして、農務省の動植物衛生検査部を告訴した。センターは13年間にわたってGMOに関する情報公開を求めてきたが、応答がなかったり公開が引き伸ばされたりしていた。米国の情報公開法では要求された項目に関して厳格な応答期限が設けられている。オレゴン州で起きたGM小麦自生問題で情報が示されなかったために、小麦が輸出できないなど影響が出た、とセンターは指摘している。〔Reuters 2015/8/25〕


●欧州事情
●欧州議会がクローン家畜の輸入禁止を可決

 9月8日欧州議会は、クローン家畜の輸入禁止を賛成529、反対120で可決した。最終的には欧州理事会の判断を待つことになるので、決議が覆される可能性がある。欧州ではクローン技術への不信感が根深いが、決議は米国で流通しているクローン家畜をターゲットにしているもので、米国の反発が予想される。輸入禁止対象は、クローン家畜やその子孫以外にクローン胚や精液、クローン家畜由来の飼料も含まれる。〔European Parliament 2015/9/8〕


●アジア事情
●中国でGM大豆の違法栽培拡大

 中国東北部の黒龍江省でGM大豆の違法栽培が拡大し、大豆農家の約10%がGM大豆を栽培していると見られる。農家はインターネットで種子を購入しているようだが、モンサント社は中国の農家に種子を販売していないと述べている。黒龍江省の人口は約38万人で、年間約76万トンの大豆油が消費される。そのうち約30万トンが省内で生産された大豆で作られ、約46万トンは他の地方で生産された大豆による。同省農業部門は、これから栽培状況を調べ、違法栽培が確認されれば罰金20万元(約373万円)を徴収する。中国政府もこの事実を認め、全国調査を開始すると発表した。〔JS China 2015/9/7ほか〕


●遺伝子汚染
●名古屋大学のGM植物汚染調査委員会の報告まとまる

 5月に名古屋大学構内でGMシロイヌナズナの自生が見つかった(本誌2015年6月号参照)。名古屋大学による外部委員を委員長とする調査委員会の調査結果がこのほど文部科学省に提出された。報告書では、このGM植物自生はGM植物の不活化が不十分であったことによる。また一部は不活化前のGM植物の取り扱いが不適切であった。名古屋大学は応急処置として、GMシロイヌナズナと土壌を回収、周辺には除草剤を撒き、土壌を加熱処理した。その結果、GM植物の自生は確認されなくなったという。