■2015年10月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●GM食品表示
●遅々として進まぬ日本のGM食品表示制度改正

 日本で食品表示を担当する消費者庁は、今年4月の食品表示法施行以来、機能性食品表示問題への対応に追われ、消費者の要望が高い食品表示制度改正はまったく前に進んでいない。8月27日、消費者団体との話し合いの席上坂東久美子消費者庁長官は、「遺伝子組み換え食品表示問題はインターネット食品表示、加工食品の原料原産地表示、食品添加物表示とともに検討を行うことになっており、年内にも検討会を立ち上げる」と述べたが、同時に、「消費者団体にもいろいろな意見があり、業界団体の意見も聞いたりしながら、実現にどれほどの困難さがあるのかを判断の材料にしたい」と、優先順位をつけて改正ができる範囲から進める旨を述べた。

 米国で表示を求める運動が盛り上がり、アジアでは表示の厳格化が打ち出されているが、日本は今なお食用油や醤油など大半の食品が表示の対象外である。遅々として進まないGM食品表示制度の改正を求めて、市民団体の日本消費者連盟と遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンは共同で、「遺伝子組み換え食品の厳密な表示を求める100万人署名運動」を開始した。

●遺伝子組み換え作物
●米農務省が新たなGMジャガイモを承認

 米国農務省はJRシンプロット社が申請した「第二世代」と呼ばれる新たなGMジャガイモを承認した。「第一世代」のGMジャガイモは、過熱した際に生じる発癌物質のアクリルアミドを低減させたもの。今回のジャガイモは、「第一世代」同様にRNA干渉技術を用いてアクリルアミドを低減させ、加えてGM技術でアルゼンチン産ジャガイモ由来の耐病遺伝子を導入して葉枯れ耐性の性質ももつ。「第一世代」のGMジャガイモは米国内ですでに栽培が始まっている。〔Food Dive 2015/8/31〕

●南アフリカが旱魃耐性トウモロコシを承認

 南アフリカ共和国の市民団体アフリカ・バイオセーフティ・センターは、モンサント社の旱魃耐性トウモロコシ「MON87460」の商業栽培・種子販売承認に対して、農業大臣に抗議文を提出し、政府の審査会がモンサント社から提供された情報のみに基づいていると強く批判した。とくに旱魃耐性の性質が南アという地域で、環境や人体にどれほど影響があるかが示されていないことをあげている。〔Sustainable Pulse 2015/8/13〕
●クローン
●中国でGMクローン牛が初出産

  8月28日、中国で初めてGMクローン牛が出産した。このGMクローン牛を開発した北京農学院のNi Heminによれば、2012年に生まれた母親の「Niu Niu」は、高価な霜降り牛肉の生産を目指し肉の脂肪分を増やすように遺伝子を組み換えたクローン牛2頭うちの1頭。新しく誕生した仔牛に、この性質が受け継がれているかどうかは、まだ発表されていない。〔新華社 2015/9/15〕

●企業動向
●モンサント社の新たな戦略

 モンサント社はGM食品表示を求める草の根運動に対抗するため、従来のロビー活動や広告戦略の方針を見直す。彼らに代わって発言する研究者を囲い込み、公平性と科学者の権威を前面に出してGMOの悪評に対抗するという。このほどモンサント社のバイオメトリクスの責任者がフロリダ大学教授へ無制限の資金を供与していたことが判明した。教授もその事実を認めている。〔The New York Times 2015/9/5ほか〕
●省庁動向
●遺伝子組み換え稲、収穫される

 独立行政法人・農業生物資源研究所(生資研)が開発した4種類の稲が収穫期を迎えた。生資研の隔離圃場で作付けされたスギ花粉症治療稲は9月15日、複合病害抵抗性稲は10月6日、独立行政法人・作物研究所の高機能隔離圃場で作付けされたスギ花粉ペプチド含有稲は7月30日、独立行政法人・農業環境技術研究所の隔離圃場で作付けされた開花期制御稲は9月14日に収穫された。成果や問題点は、後日公表予定。

●GM作物試験栽培要請を受けた道立機関、回答拒否を陳謝

 北海道農業者の会がGM作物試験栽培実施を北海道立総合研究機構(道総研)に要請したことを受けて、市民団体日本消費者連盟と遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンが道総研に対して試験栽培を実施しないよう求めるとともに、今後の方針についての質問状を提出したが、道総研は「北海道個人情報保護条例に定める個人情報であり開示できない」と、質問への回答を拒否した(本誌2015年7月号参照)。「個人情報には当たらない」と、市民団体が再度抗議とともに情報の公開を求めたところ、道総研は8月14日付で「個人情報保護条例に基づいて公開を拒否したのは間違いだった」「情報公開の申請を行えば、情報を公開するか否か判断する」と回答した。