■2015年12月号

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バイオジャーナル

ニュース



●北米事情
●米国連邦のGM食品表示法案、年内決着か

 米国連邦議会上院で審議中の食品表示法案(HR1599)が年内に決着を迎えそうである。この法案は「The Safe and Accurate Food Labeling Act of 2015(安全で正確な2015年食品表示法)」という名がつけられているが、これに対して市民団体は「Denying American’s the Right to Know(アメリカ人の知る権利を奪う)法」略して「DARK法案」と呼んでいる。この法案が成立すると、来年度施行予定のバーモント州など州政府のGM食品表示制度を無効にすることができるため、消費者団体などは強力に反対運動に取り組んでいる。他方、業界団体などは可決成立への働きかけを強めている。上院では議員定数100人のうち6割が支持しないと法案は成立しない。法案支持者が多い共和党議員は54人で、現段階では支持・不支持が拮抗し、予断を許さない状況にある。そんな中、法案に反対する議員の多い民主党の農業委員会のトップが年内に法案を成立させると述べた。〔Food Integrity Now 2015/11/4ほか〕


●米国のGMテンサイ農家が苦境に

 米国ではこの7年間にミネソタ州、ノースダコタ州、ミシガン州、アイダホ州のテンサイ農家の多くがモンサント社のGMテンサイに切り替えたため、昨年、米国で生産されるテンサイの95%がGMテンサイになった。そのことがテンサイ農家に影響を及ぼし始めた。砂糖生産量に占めるテンサイの割合は、2008年には47%だったが、2014年には41%に減少した。最大の理由は、若い世代がGM食品を嫌っているため、ハーシーやゼネラルミルズなどの食品メーカーがGMO不使用を打ち出したことによると見られている。〔Reuters 2015/10/29〕


●欧州事情
●EUで新たなバイオテクノロジー技術への規制を検討

 欧州におけるGMO指令で、バイオテクノロジーを応用した新たな育種技術が規制できるかどうかの評価が進められている。現在EUでは、GMOを野外栽培する際は「2001年EC指令18」、GM微生物を用いる場合は「2009年EC指令41」によって規制している。2007年より、加盟国の要請を受けて欧州委員会は、専門家による作業部会を設置し検討を開始した。
 検討されている新たなバイオテクノロジー応用育種技術は、オリゴヌクレオチド誘発特異的変異、ジンクフィンガー核及び他の類似の核技術、シスジェネシス、イントラジェネシス、グラフティング、アグロ浸潤、RNA依存性DNAメチル化、逆育種である。このうちシスジェネシス、イントラジェネシス、ジンクフィンガー核及び他の類似の核技術に関しては、欧州食品安全庁(EFSA)が、人への有害性を指摘している。〔Ag Professional 2015/10/26〕

●アフリカ事情
●タンザニアで乾燥耐性トウモロコシ試験栽培へ

 タンザニア農業省の高官は、来年4月から乾燥耐性と殺虫性を併せ持つGMトウモロコシの試験栽培を行なうと述べた。タンザニアでは、法律を改正して試験栽培を可能にしたばかりである。栽培地はドドマ地方のマクトゥポラで、耐乾燥性と収量の評価をみる予定。〔all Africa 2015/10/27〕