|
ニュース
●遺伝子組み換え作物
●GM大豆で育った山羊は成長が遅れる
イタリアで、GM大豆で育った子山羊の成長が遅くひ弱になるという研究結果が「The Journal of Small Ruminant Research(小型反芻動物研究ジャーナル)」誌に発表された。実験を行なったのはイタリアの研究者ツディスコ(Tudisco)らで、GM大豆を与えた山羊の乳の栄養価は低く、通常の大豆に比べ、初乳脂肪は3分の2、タンパク質は3分の1、免疫細胞のIgG抗体は半減していた。この乳を与えられた子山羊は、身長、体重ともに通常より20%小さかった。〔Independent
Science News 2015/10/26)
●遺伝子組み換え花卉
●青いカーネーション、来春にも鉢植えで販売へ
サントリーフラワーズは、青いGMカーネーション「ムーンダスト」を来年の母の日に鉢植えで販売する予定。すでにカルタヘナ法に基づく生物多様性評価を申請中で、認可され次第、販売に踏み切る。花卉では、青いカーネーションと青いバラが切り花で販売されているが、鉢植えで販売されるのは初めてとなり、家庭で遺伝子組み換え植物を栽培することになる。
●省庁動向
●内閣府「次世代農林水産業創造技術」の狙い
内閣府は「戦略的イノベーション創造プログラム」を作成し、取り組みを始めた。その内の1つ「次世代農林水産業創造技術(アグリイノベーション創出)」は、TPP(環太平洋経済連携協定)成立を睨み、日本の農林水産技術を戦略的に強化するのが狙いである。その中身は実際に農林水産業を強化したり農家を育成するのではなく、新たな技術開発を通して強化するというもの。新技術の知的所有権を取得し、最終的には高度化された農産物を販売する。
その柱となる「新たな育種技術の確立」で最も力を入れているのが、ゲノム編集技術などの新技術開発。推進のためには技術開発と共に社会的コンセンサスを得ることが大事だとして農水省は、2013年10月から2015年7月までに計7回「新たな育種技術研究会」を開催してきた。ゲノム編集技術の中で現在注目されているのが、「ZFN法」「TALEN法」に次ぐ「CRISPR法」である。これらの技術は、カルタヘナ法の規制を免れていることから、研究者の間では、バイオテクノロジーを応用した作物の商業化への突破口になると期待されている。
●農水省調査でGMナタネ、GM大豆の自生確認
10月29日農水省は、GMナタネと大豆の自生と交雑に関する調査結果、「『平成26年度遺伝子組換え植物実態調査』の結果について」を発表した。調査箇所は、ナタネは15港、大豆は10港の周辺。交雑については、ナタネではカラシナと在来ナタネを対象に、大豆ではツルマメを対象に調査した。その結果、ナタネ調査では、セイヨウナタネが見つからなかった2港を除き、13港中8港(苫小牧港、鹿島港、千葉港、名古屋港、四日市港、神戸港、博多港、戸畑港)周辺でGMナタネ自生が確認された。大豆調査では、大豆の自生が見つかった2港では、いずれもGM大豆自生が確認された(鹿島港、博多港周辺)。交雑については、いずれも検出されなかった。
●TPP大筋合意でGM作物作業部会設置方針
10月5日TPPが大筋合意し、徐々に合意内容が明らかになってきた。内閣府の「環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要」によると、GM作物の承認に際しての透明性向上、未承認作物混入問題の情報共有化を行なうとともに、特別に作業部会が設置されることになった。この作業部会がどのような位置づけにあるかまだ示されていないものの、政府高官による協議の場であれば、単なる情報交換にとどまることはなく、安全審査の簡略化などがここで決定される可能性がある。
また、GM食品表示に関しては、「日本の制度の変更が必要となる規定は設けられていない」としているものの、ISDS条項が含まれていることも判明した。消費者の要求が実って、日本でのGM食品表示制度の厳格化がなされた場合、ISDS条項により訴えられる危険性がある。
|
|
|