■2016年2月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●欧州事情
●英国議会がGM昆虫野外試験推進

英国議会上院科学委員会は議長名で、デング熱やマラリア対策のため、GM蚊などGM昆虫の野外試験を英国内でも行うべきだとする報告書を議会に提出した。世界各地でデング熱対策蚊の野外放出試験を繰り返しているオキシテック社は、オックスフォード大学の研究者が作った企業である。現在オキシテック社は、GMサケを開発したアクアバウンティなどとともに、米国バイオ企業のインタレクソン(Intrexon)社傘下。〔The Independent 2015/12/16〕
 
●GMOフリー
●ネィティブアメリカンがGMOフリーを宣言

米国カリフォルニア州北部の少数民族ユロック族評議会はGMO禁止条例を承認した。声明では、「食料主権守り、ユロック族本来の文化的で健康な暮らしを保証するのに必要なステップである。除草剤、殺虫剤、および抗生物質の乱用に依存するGMO食料生産システムは、私たちが関与すべきものではない」と高らかにGM作物栽培禁止を宣言した。あわせて、ユロック族の居留地がクラマス川沿いにあり、鮭は食料のみならず文化的にも重要なものであることから、GM鮭に強く反対すると述べた。〔ICTMN 2015/12/29〕

 
●遺伝子組み換え作物
●米国で耐病性オレンジ

米フロリダ大学食品・農業科学柑橘類研究教育センターの研究チームが、耐病性オレンジを開発した。シロイヌナズナの遺伝子を用いて緑化病を引き起こす細菌への抵抗性をもたらしたもの。〔ISAAA 2015/12〕


●日本で新たなGM稲

新たなGM稲、「ルビスコ(Rubisco)過剰生産稲」と「ルビスコ生産抑制稲」が開発された。ルビスコとは、光合成において二酸化炭素固定の過程で最初の反応を触媒する酵素。GM作物などが生物多様性に影響を与えないよう定められた「カルタヘナ法」に基づく第1種使用(隔離圃場での実験)の申請が文部科学省に出された。申請者は明らかにされていないが、東北大学の研究者と思われる。承認されれば、同大学では、鉄欠乏耐性稲、紫外線感受性稲に続く3種類目の稲になる。


●エピゲノム編集ジャガイモ

エピゲノムと呼ばれる新たな技術を用いたジャガイモが開発された。開発者は、これまでこの種のジャガイモ研究をすすめてきた弘前大学農学生命科学部の研究チームであると思われる。「カルタヘナ法」に基づく第1種使用(隔離圃場での実験)の申請が文部科学省に出されたが、ゲノム編集技術やエピゲノム編集技術を「カルタヘナ法」の対象にするかどうかは、個々の実験内容を見て判断することになっている。今回のエピゲノム編集技術が、「カルタヘナ法」初の対象となるか論議になりそうである。

●ゲノム編集
●ゲノム編集技術の危険性

『エコロジスト』誌がゲノム編集技術の危険性を指摘した。これまでの遺伝子組み換え技術は、挿入する遺伝子がどこに入るかわからなかったが、ゲノム編集技術では目標を定めた挿入ができる。しかし、挿入した遺伝子が、他の遺伝子の働きや遺伝子間の相互作用に影響を及ぼす可能性は高い。その結果、作物の毒性の増幅、栄養分の低下、新たなアレルゲンをもたらすなどの危険性が考えられる。〔The Ecologist 2016/1/13〕