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今月の潮流●遺伝子組み換えからゲノム編集に移行する作物開発
バイオテクノロジーを用いた作物の開発は、遺伝子組み換えからゲノム編集(本誌2016年1月号参照)に移行しつつある。特に新たな技術「CRISPR/Cas9」が登場して操作が簡単になり、応用が拡大している。
市場化が間近なのが、米国カリフォルニア州のベンチャー企業サイバス社が開発した除草剤耐性ナタネである。同社は穀物メジャーのカーギル社と組んで、売り込みを図っている。ミネソタ州のベンチャー企業ケイリクスト社は、マーガリンなどに加工してもトランス脂肪酸を含まない大豆を開発している。
「CRISPR/Cas9」技術で種子市場の独占を狙っているのがデュポン社である。この技術を生み出したカリブー・バイオサイエンス社と提携して開発に乗りだしている。カリブー社は、カリフォルニア大学バークレー校ダウドナ研究室から誕生した。ダウドナ教授は、2012年に初めて「CRISPR/Cas9」の手法を論文発表し、現在、特許申請中である。デュポン社は、リトアニアのビリニュス大学の研究室が持つ「Cas9」酵素にかかわる特許の独占使用権をもっており、提携によりこの分野での市場独占を狙っている。
デュポン社はすでに、干ばつ耐性トウモロコシや収量増小麦を開発し、まもなく野外試験栽培に入る。米国農務省はゲノム編集技術について、現段階では規制対象外としているため、開発が加速する可能性がある。
他方、ゲノム編集技術が大量破壊兵器に応用される可能性があることを示した報告書が発表された。政府中央情報局、国家安全保障局、その他6つの米国の諜報機関の情報を収集した年次報告である。ゲノム編集技術、特に「CRISPR/Cas9」は科学研究に革命をもたらす上に、低コストで操作も簡単で広がりやすいため問題があると指摘している。〔MIT Technology Review 2016/2/9ほか〕
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