■2016年5月号

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バイオジャーナル

ニュース



●GM汚染
●実験終了済GMペチュニア種子が野生株に混入

 農業生物資源研究所は3月25日、花卉研究所に分与した野生株のペチュニア種子に、GM種子が混入していたと発表した。3月4日に第一報で、その疑いがあると発表していたが、その後DNA解析を行ない、GMペチュニア種子が混入していたことが確認された。
このGMペチュニアは、生物資源研が遺伝子機能を解析するために1993年から2008年まで隔離温室で開発・栽培、2011年に実験が終了し、処理・廃棄されたはずだった。

●遺伝子組み換え作物
●ラウンドアップ被爆による皮膚癌のリスク

 除草剤ラウンドアップの主成分グリホサートの曝露が、皮膚癌の一つである黒色腫を増やすという研究結果を、C・Fortesなどイタリアとブラジルの研究者が「Journal of Occupational and Environmental Medicine(職業環境医学ジャーナル)」誌に発表した。GM作物の拡大にともないグリホサートの使用量が増え、農民の被曝量が増えている。グリホサートに加え日光にさらされると、さらに発癌のリスクが高まるという。〔Journal of Occupational and Environmental Medicine, 2016, Apri, 58(4)370-375〕

●GM魚
●アクア社のGM鮭孵化場拡張へ

 アクアバウンティ・テクノロジーズ社は米国での販売承認を受け、GM鮭の生産増強を図るため、プリンス・エドワード島にある孵化場を拡張する。現在の孵化場はすでに38年が経っている。〔CBC News 2016/4/11〕

●ゲノム編集
●ゲノム編集技術改造マッシュルームは規制対象外に

 米国農務省(USDA)は、ゲノム編集技術CRISPR/Cas9を用いて開発されたGMマッシュルームを規制の対象にしないことを明らかにした。このマッシュルームを開発したのは、ペンシルベニア州立大学の植物病理学者楊亦農(Yinong Yang)で、CRISPR/Cas9を用いて、変色をもたらす酵素のポリフェノールオキシダーゼの一部の遺伝子の働きを止めて、褐色に変色しないよう酵素の活性を減少したものである。〔Nature 2016/4/14〕

●省庁動向
●農水省系研究機構、新ゲノム技術開発センター設置

 これまでGM作物開発やゲノム解析などを主導してきた「国立研究開発法人農業生物資源研究所」、GM作物栽培試験を行なってきた「国立研究開発法人農業環境技術研究所」、遺伝資源の収集・保存などに取り組んできた「独立行政法人種苗管理センター」の3つのバイテク関連研究所が、「国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構」(農研機構)に統合され、新しい農研機構が誕生した。

農研機構は、2001年に試験場など12の国立研究機関が統合して「農業技術研究機構」として発足。その後、農業者大学校などの独立行政法人の統合などを経て、2015年4月に現在の名称「国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構」となった。今回の統合で、農水省系の独立行政法人の研究機関はほぼすべて「農研機構」に集約された。新たにゲノム解析・ゲノム編集技術に関しては「次世代作物開発研究センター」を設置。稲を用いた医薬品生産を中心にゲノム編集技術を活用していく。
水産分野も4月1日、国立研究開発法人水産総合研究センターと独立行政法人水産大学校が統合し、「国立研究開発法人水産研究・教育機構」が発足した。4つの重点課題のうちの「基盤研究」の柱に、ゲノム解析とゲノム編集技術が入っている。