■2016年9月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●北米事情
●米連邦版「GM食品表示法案」成立

 米国初のバーモント州のGM食品表示法を無効にする、「農業マーケティング法改正案」が連邦議会で可決成立した(2016年8月号参照)。最終的には、オバマ大統領が署名するかどうかにかかっていたが、署名拒否を求める10万を超える市民の声を無視する形で大統領は署名し、法案は成立した。〔Inquisitr 2016/7/31〕
この法案ではゲノム編集技術は対象にならないため、消費者は知ることも選ぶこともできないとして批判があるが、農務省は、ゲノム編集技術はDNAを切断するだけで遺伝子を挿入していないため、従来の規制の対象にならないとしている。現在、モンサント、デュポン、ダウ・ケミカルなどの業界大手企業はこの分野での開発を強化している。〔Bloomberg 2016/7/14〕


●欧州事情
●仏セラリーニ論文撤回、やはりモンサント社が介入

 フランスのル・モンド紙が、セラリーニ論文撤回へのモンサント社の介入を明らかにした。「Food and Chemical Toxicology(食品と化学毒物学)」誌2012年9月号に掲載された、仏カーン大学の分子生物学で内分泌学者のジレ・エリック・セラリーニらの研究論文は、その後取り消された。モンサント社は、元モンサント社の社員で科学者のリチャード・E・グッドマンを同誌の編集委員に送り込み、グッドマンの指示で、2013年11月、同誌編集者ウォーレス・ヘイズが論文掲載を取り消した。科学論文が撤回されるのは通常、詐欺的行為、盗用、完全な間違い以外にはあり得ず、これまでセラリーニ論文のようなケースはなかった。〔GM Watch 2016/7/20〕


●スイス開発庁の助成金でインドでGMO開発

 スイスではGM作物を禁止しているが、開発庁の助成金がインドでのGMO開発の資金に使われていることが明らかになった。モンサント社のインド法人マヒコ社による、害虫抵抗性GMヒヨコ豆の開発などに使われている。〔Swiss info 2016/7/26〕
●アジア事情
●フィリピン最高裁がGMO禁止判決を否定

 フィリピン最高裁は7月26日、GM作物の試験栽培、圃場栽培、商品化、輸入を全面的に停止した2015年12月の判決を全面的に否定する、新たな判決を出した。これはフィリピンの市民団体の連合「MASIPAG」やグリンピース・フィリピンの訴えを却下したもの。〔ISAAA 2016/7/27〕


●中国がGMO推進に転換か

 中国は2016年から20年にかけて、GM大豆を中心にGM作物の作付けを進める5か年計画を発表した。殺虫性綿、殺虫性トウモロコシ、除草剤耐性大豆の商業栽培を推進するという。大豆については、今年から来年にかけて1250万トンの収穫を予定しているが、同時に米国から8600万トン輸入しなければならず、作付けの拡大が課題だとしている。〔Planet Ark 2016/8/11〕


●インドでGM綿からの撤退広がる

 インドではBt綿から撤退し、豆類や在来綿栽培に転換する農家が増えている。豆類の栽培面積は、2015年の897万haから、2016年には1210万haに拡大している。綿の栽培面積は2015年の1057万haから、2016年には965万haに減少した。Bt綿は970万haから800万haへと大幅に減少、一方在来品種は78万ha増加し、GM綿離れが起きている。〔Live ment 2016/8/6〕

●GMOフリー
●独リドル社が自社ブランド牛乳をGMOフリーに

 ドイツではGM飼料を用いない、GMOフリーの肉・卵・乳・乳製品が広がっているが、大手ディスカウント・スーパーのリドル社が、自社ブランドの牛乳にGMOフリー表示を行うことになった。リドル社は、ヨーロッパ20か国以上に約8000の店舗を展開している。この表示は、ドイツ政府によって認証されたものである。〔Food Navigator 2016/7/13〕